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浪日記④ 撮影・庫田久露武/文・鎌田浩宮
一眼レフカメラで撮影しましたので、ぜひ、写真をクリックしてみて下さい。より大きく鮮明な画像でご覧になれます。
浪、怖かったのに、ごめんね。
あんなに家の中がめちゃくちゃになっていたなんて、全然予想できなかったんだよ。
テレビでも、すぐに東北の被害の様子は映し出されたけど、東京の様子は全く分からないし、ネットで探しても、震度がいくつだったのかも分からなかったんだよ。
でも、本当に急いで帰りたかったんだよ。
でもね、ちっとも車が前に進まなかったんだよ。
そうしたら、お母さんと新父(ニューパパ)が、ようやく9時半に、僕より先に家に着いたんだよね。
お母さんは浪と、ひなと、はなが心配で、渋谷からは歩いてきたんだって。
玄関を開けてひどい様子を凝視して、浪は家具の下敷きになっちゃったんじゃないか、開いてしまった窓から外に出てしまったんじゃないか、お母さんはパニックになっていたよ。
僕に何十回も電話をかけて、ようやく繋がって、お母さんはとってもうろたえていたよ。
お母さんが浪!浪!って叫び続けても、浪は声も出せずにおびえていたんだね。
やっとのことで、押入れの奥のほうにいたのが見つかって、お母さんに抱きしめられてから、ものすごい声で泣き始めたね。
僕は、電話で、とってもとっても大きな浪の声を、しっかりと聞いていたよ。
あんなに大きな声で泣き叫んだのは、覚えていないくらい久しぶりのことだったね。
いつもは何があってもどんと構えているから、僕は浪のこと、時々「どんちゃん」って呼んでいるけど、本当に怖かったんだね。
僕が帰ってこられたのは、夜中の0時。
こんな遠距離で、浪に何かあっても駆けつけられないような遠い所で働かなくっちゃいけないなんて、馬鹿げてるよね。
もう、金なんか稼がなくたっていいんだ。
金なんざ、いらねえ。
浪との、短くなってしまっている時間を、大事にしたい。
そんな考え、間違っているかな、浪…。
2011.03.18Column&Essay
