緊急連載「有志連合と協力して」⑧

構成・鎌田浩宮

後藤さんは
ブーム、
ではない。

 

 

ありがたい事に、この連載へのアクセスは非常に多く、記事へのご意見ご感想も、続々届いています。
今日もその中から、1通のお便りを掲載します。
考え、悩み抜いて書かれた、真摯な文章です。
ネット社会では軽視しがちな、投稿のマナーを皆さんが大切になさっている事も、幸いに思っています。
どうぞお読み下さい。

H.Kさん:
少し下世話なことを申し上げることをお許し下さい。
今回のこの事件は最悪な結果となってしまいました。
日本人として、また一個人として、後藤さんと湯川さんが生還されることを祈ってきました。
「I am Kenji」をはじめ、色々な呼び掛けが始まって、無力ながら私も参加いたしました。
日本中が、世界中が2人の無事な解放を信じて声を挙げていた、その拡がりは素晴らしいものでした。

ですが、最悪な結果が知らされ、徐々に今度は後藤さんのジャーナリストとしての偉業というか、そういった事に賛美の声があがってきました。
本当にその通りだと思っています。
この事件が起こってから知った後藤さんという人。
素晴らしいお仕事であり、これからも無くなってはならない仕事です。
だからみんなも繋いでいこう…と。

んっ?
でも日本の、日本の女性は半分くらい違う方向に向いてないだろうか?
そうです。
後藤さんをアイドル、有名人、果ては芸能人のように思い、亡くなったあとににわかファンになったでもあるような書き込みをされてる人が多い気がします。
あるテレビで、後藤さんをよく知るジャーナリストの方が「後藤さんは女性に人気があったから」と言われたことが思い出されます。
あぁ、そういうことかと。
私もお亡くなりになったことに対し、深い哀しみはありますが、それを私達が声に出すべきではないと考えてます。
もっともっと、声に出すべき方々がいらっしゃるのですから。

時が経って、何事も無かったように、後藤さんのごの字も忘れてしまうのではないか?危惧しています。

何だか変なことを書いてしまい、申し訳ございません。
私達は犠牲になられたお二人の生前の活動を繋げていかなくてはならず、且つ世界中の平和が取り戻せように話し合い、行動をしていかなくてはいけないと思います。
それが後藤さん、湯川さんに報いることであり、お二人が切に望んでいることでしょう。

もうお気づきでしょうが、それぞれの投書に対して、編集長である僕は感想や意見を併記しません。
僕がそういったものを書く事によって、せっかく送って下さった方が委縮してしまうかも知れないからです。
こちらに編集権があるものですから、それを高圧的に使いたくないんですね。
個々は学校の校庭のように、皆さんが自由に語らい、時には笑ったりもして下さればいいと思っています。

引き続き、この連載に関するご意見ご感想をお待ちしています。
この画面右上の[contact]からお入りください。

エプスタインズでは、様々な人から原稿を取り寄せ、先週から集中連載をしています。

「後藤さん解放 保証なかった」 ヨルダン下院外交委員長

【アンマン=共同】ヨルダンのバッサム・マナシール下院外交委員長は一日、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」を名乗るグループが後藤健二さんを殺害したとする映像を公開したことについて、「イスラム国」は「人質交換」交渉で真剣さや誠実さに欠けたため信用できず、要求通り女の死刑囚を釈放しても「後藤さんが解放される保証はなかった」と述べた。首都アンマンで共同通信と会見した。

 マナシール氏は、日本人の後藤さんと無関係の女の死刑囚との交換をイスラム国が持ち出したことについて、「国家の最優先課題」として解放を目指している軍パイロット、カサスベ中尉奪還を求めるヨルダン世論と、後藤さん解放を求める日本政府の板挟みになるよう政権を追い込む狙いがあったと指摘。

 中尉奪還を期待する報道が過熱気味で、女の死刑囚との交換で後藤さんだけが解放され、中尉の拘束が続けば、国民の不満が爆発して「革命が起きて政権が転覆しかねなかった」との考えを示した。マナシール氏は女の死刑囚を釈放できなかったこうした事情について「日本国民が理解してくれることを望む」と述べた。

 「イスラム国」を信用できなかった理由としては、中尉が生存している証拠を示さず、女の死刑囚を釈放した後の中尉の安全を保証しなかったことを挙げ、「日本政府も同じ認識を共有している」と述べた。

 「イスラム国」が後藤さんよりも早期の殺害を予告していたカサスベ中尉の現在の安否については「五分五分」との見方を表明。既に殺害され、「イスラム国」が将来、遺体と女の死刑囚の交換を求めてくる可能性などがあると語った。

(東京新聞2015年2月2日(月)夕刊2面より 太字はエプスタインズによる)


2015.02.09