続々・関西私鉄最王手・阪急電鉄 急行通過警告音の巻

とにかく、どこにもない発車チャイムを創ろう!と野心に燃えていたわけですが、それは、メロディーラインにも反映させました。
どの会社の発車チャイムも、16分音符などの細かい符割りがほとんどです。
そうする事によって、心理的に乗車を急がせるねらいがあるわけです。
でも、僕は、それもぶち壊したかった。
その代表例が神戸線です。
ギターの音が、間を空けて、ポロン、そしてまた、ポロロン。
16分音符の連続による細かい符割りを避けて、ゆったりと、優雅で、リラックスした旅を提供するようなメロディーラインを目指したんですよ。

この「ゆったり感」は、3線全てに目指しました。
(フツー、ゆったりなんぞさせちゃったら乗車に遅れちゃうんで、電鉄会社に怒られちゃうんですけどね)

しかし!
驚いたのは、全部で15秒ある発車チャイムのうち、最後の6秒を、旧来のブザーのように、伸びる音で創ってくれと言うんですよ阪急ったら!
運転手さん、車掌さんの意見で、やはり後半はブザーのようになってないと、どこでドアーを閉めたらいいか分かりにくい、と言うんです。
それじゃ阪急始まって以来の発車チャイム大改革なのに、リニューアルする意味ないっしょ?!

しかも、15秒のうち、9秒でしか、世界を表現する事ができない。
皆さん、9秒って、相当短いですよ。
9秒の音楽作品なんて、CMでも滅多にないもん。
これは頭が痛かった・・・。

だが。
頑張りました。
なおかつ、最後の6秒も、ブザーっぽさを消し、できるだけ音楽的に仕上げたつもりです。

 

さてさて、前置きが長くなったけど、今回は、僕が当時一緒に手がけた、急行通過警告音の話を。
これは、梅田駅以外の、急行が止まらない駅にて放送される、「急行電車が通過するから気をつけてね」の音楽なんである。

これは確か、3秒の音楽の繰り返しという依頼だったかな。
こーなるともー、印象的なメロディーなんて作曲できるわけがないんです。
ですが、これに関しても、極力「いかにも警告してる感じ」にはしませんでした。
生ピアノとピアニカの音をメインとして、柔らかい印象を持たせ、さらに隠し味として、チンチン電車の鐘の音を加えました。
ちょっとおもちゃっぽい感じがするでしょ?

やはりゆったりとした、懐かしい、豊かな田園地帯を通過するような感じを出したかったんですね。
当然、ありがちな16分音符の連打による、警戒心をあおるようなメロディーにもせず。
上にあるyoutubeが、それ、です。

また、どこぞのCDからの音源かな?
作者に許可なく創られたCDなんですが、ね。

で、下のyoutubeが、実際にどんな風に鳴っているか、です。

こんな風に、急行が止まらない駅で使われているんですね。
実は、合計で5種類の曲を創ったんですが、この急行通過警告音に、お客様から1番クレームが来るんじゃないかなあ、とどきどきしてたんです。
5曲の中で、1番電車のチャイムっぽくない印象が、自分でもしてましたから。
加えて3秒の中ではメロディアスにも創れなかったので。
だから、10年以上も愛用されているのは、本当に嬉しいです。

つづく・・・。


2010.12.06