続々々・関西私鉄最王手・阪急電鉄 到着チャイムの巻

これで最終回かなあ?
最後に、アットランダムに阪急の様々な駅で使われている、到着チャイムについて書きますね。

これは、僕の敗北なんです。
このyoutubeでメロディーを聴いてもらえると分かるとおり、今回手がけた中で、最も
「どこにでもありそうな没個性のチャイム」
になっています。

最初は、海外の空港などで
「アテンションプリーズ・・・」
という女性の声でアナウンスの放送がある時に最初に流れる、あの独特な浮遊感のある感じにしたかったんです。
空港って天井が高いから、自然にリバーブ(残響音)がかかりますよね。
あの浮遊感も加味して、の事です。
そして、和音の感じもちょっとひねった感じに、音色もふわっとしたものにしたかった。

電車のホームを、あたかも空港のような異世界にする。
僕の意欲はすんごく高まったんですが。
即座にNGが出たんです。
さすがに、これ以上の冒険、実験精神は許さんぞ、という事だったのかなあ。
もっと普通のを作りなさい、という事を言われた気がします。

だから音色も、アタックの強いデジタルな感じの音で。
まさに今1番使われていそうな音色です。

ああ、悔しいなあ。
阪急電鉄を好きな人も、この到着チャイムが、1番印象が薄いんじゃないかなあ。

ちなみに、僕の創った到着チャイムでない、別の到着チャイムも阪急の様々な駅で使われていますが、あれは僕のじゃないです。
そのチャイムは僕が手がける以前から放送されていたもので、僕の方が後なんです。

というわけで、4回に分けて連載したこの記事、面白く読んでもらえましたか?
職業音楽家が、いかにクライアントの要望を聞きつつ、自我も出していくか。

ちなみにこの時は、まだまだ僕が未熟だったのもあって、5曲に3ヶ月を費やしました。
他の仕事はいっさい請けず、これに取り掛かりっきりでした。

僕が試作を創り、終電が終わってから、関係者しかいない梅田駅のホームで、何度も試放送をしたあの深夜。
懐かしいなあ。

こんな僕が普段やっている音楽はどんなもんかちゅーと、このエプスタインズにて、CD、DVDが販売されています。
買って!なんてもちろん言いません。
このサイトで、試聴が無料でできるので、ぜひ聴いてみて楽しんで下さいね。

それではまた、阪急の、どこかの駅でお会いしましょう。

鎌田浩宮


2010.12.13