2014年映画ベストテン

写真/文・鎌田浩宮

新作は
15本しか
観ていない
ので、
ヒジョーに

おこがましい
のである

発表します。

1位
小さいおうち

山田監督のここ数作の中で、出色の出来だと思う。
この原作を選んだ事自体が、80歳を越えてもまだ自身にとって新しいジャンル(今回で言えば不倫)に挑み続ける力でしょう。

 

 

2位
舞妓はレディ

子供の頃から、ミュージカル映画は大好き。
ただし、それはメイド・イン・ハリウッドだったわけで。
でも、邦画でここまで見事に、キッチュさまでも武器にしてしまい、
ミュージカルに仕立て上げたのは快挙だと思う。
すなわち、この映画はハリウッドの古き佳きミュージカル同様、多幸感に溢れてる。
初主演の上白石萌音も、よかったよお!

 

 

3位
天才スピヴェット

3Dを、芸術の域にまで仕立て上げた。
映画は、まだまだこれからも、豊かで面白いのだ。
戦略的にアメリカを舞台にしたのは、ベルトルッチが「ラスト・エンペラー」の台詞を全て英語にした作戦と重なってみえるが、ハリウッドで一切撮影しなかったところがまた戦略的。
ほくそ笑ませてくれる。

 

 

4位
ペコロスの母に会いに行く

残念ながら1位にできなかったのは、森崎監督自身が演出を取ることが困難な撮影であったために、監督の素晴らしきオリジナリティーが薄れてしまっているから。
メイキングも観たが、助監督が演出をしていたようだった。

 

 

5位
野のなななのか

自己満足、自己完結的と言われることも多い大林監督だけど、インディーズを貫き、言いたい事を言う、描くべきテーマを描く姿勢は、さらにパワフルに。
前作「この空の花 長岡花火物語」よりも、今日性が強くなったおかげで、
僕の胸に迫った。
非戦。
反原発。
この、我々が直面している緊急課題を描かない、愚かな映画人の多いことよ。

 

 

6位
リアリティのダンス

恥ずかしいことに、ホドロフスキーは初めてだった。
抽象絵画としては、意外にも解り易かった。
色彩のセンスが、抜群、ずば抜けていた。
この予告編を、見とれてほしい。
金髪に空色のジャケットが、こんなに色合いが合うなんて。
85歳だよ、この監督。

 

 

7位
ジャージー・ボーイズ

評判ほど感動できなかったのは、カネとマフィアにまみれたショービズ界に、お約束のドラッグや離婚まで出てきて、あまりのめり込めるポップスターではなかったから。
でも、全てをゴム消しする「ロックの殿堂」入りのシーン。
あそこからはラストまで、極端に良くなる。
ただ、それはクリントの技ではなくて、脚本の良さじゃないのかしら?

 

 

8位
ふしぎな岬の物語

ここから先は、褒めにくい点も多いんだけど。
鶴瓶の役が本当にタモリになっていたら、格段にいい映画になっていたでしょう。
とにかく、あの年齢で初めて企画を務めた小百合さんは、すごい。

 

 

9位
愛しのゴースト

おお、タイではこれがNO.1ヒット作なんだ。
勉強になりました。
脚本の1ページに必ず笑わせようとするカットを入れるのは、ギャグのレヴェルの違いこそあれど、クドカンのホンのよう。
だが、ギャグは全然笑えなかったんである。
でも、最後、泣いちゃった。
主役の俳優、美人だなあ。

 

 

10位
ゴジラ

第1作の批評性から比べると、全然駄作。
全てを破壊し尽くすゴジラではなく、この世界の守護神としてのゴジラになっていたし。
ただ、福島を想起させる日本の原発事故をあそこまで描いたのは、褒めていい。
今年創られる日本版ゴジラでは、あの1%も描けないだろうから。

2014年は、毎月1作フィルムで「男はつらいよ」シリーズを観る事も出来、過去の作品を観ることも増えたんでした。
さらには自分の映画「鎌田浩宮 福島・相馬に行く」の全国上映に全て立ち会い、他の映画を観る時間が減ってしまった。
これでは、本末転倒ですね。


2015.01.13