第二十五話「春雨サラダ」

文・鎌田浩宮

シングルマザーのミホ(辻香緒里)が、小学校の同級生であり親友のサユリ(粟田麗)を連れて店にやってくる。二人は小学校の同窓会の幹事をしていて、会では25年ぶりにタイムカプセルを掘り出すことになっている。マスター(小林薫)に春雨サラダを頼んだサユリ。ミホは小学校時代、春雨サラダが大好きで他人の分までもらっていたシガッチ(眞島秀和)のことを思い出すが、サユリが春雨サラダを好きな理由はまさにそのシガッチだった。
同窓会を機に再会した三人。掘り返されたタイムカプセルのように、明らかになるそれぞれの思い。ミホはサユリに独身のままでいたシガッチとつきあうことを薦めるのだが….
(公式サイトより抜粋)

 

恋愛
だけは、
法律が、
ない。

 

まあ、平凡って言っちまえば平凡な、三角関係の話。
でも、当人にとっては、生涯を決める大きな出来事で。

恋愛というのは、オソロしい。
略奪しようが昼顔しようが、罰せられない。
ましてや友情を裏切って男を獲るくらい、なんの罪にもならない。
この21世紀、チャリンコを酔っ払い運転しても2万円取られるのに、1円も取られないんだぜ。

これだけインモラル、道徳も倫理もへったくれもない世界。
俺なら、殺すね。
奪ったヤツを。
…、冗談ですけどね。

だって、25年も頼ってきた親友の好きな男に、惚れるかい?
親友というのは、尊敬、敬愛の対象でもあるもん。
その人が好きな男なら、最初っから恋愛の対象になんか、なんないよ。
友情というのは、カネにも替えられない、信頼だけで成り立っているものだからね。

と、持論ばかり押し付けても、なんなので。

僕の尊敬している親友が、僕の好きな女性を獲ってしまったら。
ああ、俺も好きなこの男なら、仕方ない、女性も惚れるだろうし、親友を赦せるんじゃないか。
ヒジョーにフィクショナルだけど、忌野清志郎が僕の好きな女性をさらって行ってしまっても、怒りの感情は起こらない。
キヨシローなら仕方ない、俺の365倍E男だもの。
それと同じで、僕の親友は人格者が多い、僕よりあらゆる面で遙かに優れているので、祝福できるんじゃないかな。

311以降、信頼していた友人の数人が、相互理解がなくなって、友情が終わった。
311で僕が失ったものは、彼らにとっては取るに足らないもので、僕の理解者ではなかった。
…、いや、僕の心は狭く、震災でさらに許容力が衰弱したのだろう。
それでいい、と思っている。
今、僕の周りにいる親友は、心から素晴らしいと思える人ばかりだから。

今回の主役のサユリも、信頼感が遂に途切れなかったんだね。
親友は、素晴らしい。
カネでは、買えない。




2014.11.26