書籍「原発総被曝の危機 -いのちを守りたい-」販売開始しました

文・鎌田浩宮

ここのところ、港の人の書籍ばっかし取り上げているエプスタですが、
弊社に参加して下さっている出版社、もう1社ありまして。

游学社(ゆうがくしゃ)という出版社でして、
以前、東北大震災と障がい者を扱った書籍
「ディプソルVol.01 多様性社会の再生」
刊行の際に、大々的にエプスタでも取り上げたんですが
游学社がまた書籍を出版したんです。

「原発総被曝の危機 -いのちを守りたい-」
と言いまして、こちら
http://epstein-s.net/archives/1019
にてエプスタでも販売を開始しました。

刊行時期と、浪のことで慌ただしかった時期がかぶり
きちんとした告知が出来ず、
関係者の皆様、どうもすみませんでした。

では、早速、紹介。

著者が「原子力行政を問い直す宗教者の会」とあって、
宗教ってなんだかなあ、と普段思っておる僕は、まずそこから抵抗感があったんだけど
読んでみると、その手の抹香臭さはなくって。

まずは序章で、
きちんとした数字のデータを引用して、
中学生くらいでも分かるような平易な文章で、
夏に全ての原発を止めても電力不足にはならない、
等が説明されています。

また、文科省が4月19日に
子供が1年あたり20ミリシーベルトの被曝を許容する指示を出したが、
これは一般の人がみだりに入室を禁じられる「放射線管理区域」の
約6倍に当たる数値である、
などの数字によるデータを、簡潔・平易に説明しています。

そして第1章では、
福井県大飯原発で働き被曝した労働者・
川口義啓さんの手記が本人の顔写真入りで載っています。
またその被曝を裏づけすべく、
元慶応大助教授・藤田祐幸さん、
阪南中央病院医師・村田三郎さんの文が掲載。

今までいわゆる「噂話」で聞いていた
原発で働く下請け労働者の想像を絶するような実態が
1冊の本に残るのは意義があると思うんですね。

ネットでも細かく検索していけば
こういった原発被曝労働者の話を知ることはできるのかもしれないけど
仮名を使っていたり、顔写真などもなく、
もっと言うとそのサイトの発信元が
どこに住む誰かも判らない場合がある。

勿論それらは、個人情報の流出や
原発擁護派からの攻撃を避けるためではあるんだけど
非常に意地悪く言ってしまえば、信憑性に欠けるんです。
(エプスタもそう思われているかも知れませんね。
しかし!エプスタはこちら
http://epstein-s.net/archives/478
に住所・電話番号などの全てを掲載しています)

でも、書籍というものは、違う。
背表紙には出版社の名称も住所も電話番号も載っている。
そしてこの本の場合、
被曝労働者の実名と顔写真がある。
誤った掲載をすればすぐに訴えられるリスクがあるわけです。

その上で第1章を読むと、
原発労働者の被曝なしに原発は成り立たないことが判ります。

また、出版社ならではの取材力の強さゆえ、
原発労働者の文章だけではなく
大学研究者、医師などの多角的な文章を加え
実証に厚みが増しています。

よく、原発は段階的縮小にするしかないという世論が大半?
即停止は難しい?
といろんな議論を聞きますが
これを読むと、即停止しないと
次々に被曝者が現れる現状が手に取るように解ります。

これからも折を見て、この本を紹介していきます。
エプスタは路面店じゃないから、立ち読みできないの。
ごめん。
だから、よかったら、エプスタで買って読んで下さいね。

あ、そうそう、帯の推薦文は
俳優にしてアクティビストの
山本太郎さんが書いてくれてますよ。


2012.02.06