barakan morning

文・鎌田浩宮

ソウルを

聴くと
身長が
3㎝
伸びます。

 

朝に聴くソウルは、どんな目覚まし時計よりも、ガツンと来る。
朝に聴くビートルズやビーチ・ボーイズは、どんなフレッシュジュースよりも、染み渡る。

震災の前から、朝は、近所で鳴く雀や蝉やコオロギの声達と、バラカン・モーニングだった。
これ以外、考えられなかった。
本当は、3時間、ソファに座り、何もしないで、じっくり聴きたい。
我慢我慢、仕事をしながら聴いた。
素敵な曲がかかると、調べてCDを買った。

もう、J-WAVEでも、もちろんFM東京でもなかった。
毎朝、僕らはインターFMにチューニングした。

http://www.interfm.co.jp/barakan/

震災。
あの頃流行った震災解雇というやつに出くわし、職を失った。
息子同然だった愛猫は、震災で体調が激変してしまい、亡くなってしまった。
それでも僕は欠かさず、バラカン・モーニングを聴き続けた。
どんなに悲しくても、どんなに苦しくても、聴き続けた。
バラカン・モーニングが、慰めてくれたからだ。
ある日、ピーターさんが、エイミー・ワインハウスの「tears dry on their own」をかけた。
窓の向こうの空が、光り輝いていた。
歌詞の意味は分からないのに、涙が、止まらなかった。

 

1度目の終了と、
2度目の終了の、
違い。

 

ピーターさんは、震災と原発事故について、番組内でコメントをし始めた。
本当の事を言ってくれないメディアへの不信感が募る中、僕らはピーターさんのコメントに、エイミーの歌と同じくらい慰められたのは不思議なことだった。
正しい意見と情報を聴くだけで、僕らは安心し、傷ついた心を慰められるのだった。

しかし、実は一旦、2012年3月に「バラカン・モーニング」は番組を終了している。
愛猫を亡くしたばかりの僕は、心から落胆し嘆いた。
でも、世間一般の反応というのは、今回ほどではなかったのだ。

2013年4月に番組が復活し、ピーターさんが反原発と同じくらい発言を強めたのは、ファッキン安倍政権への批判だった。
秘密保護法、集団的自衛権、辺野古強制工事着工、ヘイトスピーチの放置。
この空がどんどん暗くなっていく中で、本当の事を普通に語ってくれる。
僕らリスナーは、バラカン・モーニングという柔らかで穏やかなコミュニティーの中で、正しい意見や情報を共有する事ができた。
欝になっている僕らを、ソウルミュージックとソウルな言葉で、奮わせてくれた。

このコミュニティーが失われるのだから、今回の2度目の番組終了は、前回のそれよりも圧倒的な反響を生んだ。
政府批判をすると潰される、という恐怖と怒りを感じたのは、僕だけじゃなかったからだ。

でも、ピーターさんはフェイスブックで、このように記している。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=692303997519647&id=120983034651749

バラカン・モーニングの終了を発表してから、あちこちで様々が憶測が飛び交っています。ぼくが原発に反対だから下ろされたと思っている方がいるようですが、それは違います。今回の改編で消えて行く番組が沢山あって、ぼくのもその一つですが、理由はもっと単純だと思います。とにかく、フリーで仕事をする人間はこういうことがいつでも起こりうるので、受け入れる他ないです。

 

僕らが、
盛り上げて
いく。

 

僕がまだインターFMに信頼を置いているのは、前回の番組終了時と同様、日曜夜6時からの2時間、「barakan beat」という番組を再開してくれたこと。
そこで僕らができる「マジック」は、この番組をとんでもなく盛り上げて、僕らが最高の番組にしていく、新たなコミュニティーとしていくことじゃないだろうか。
そしてピーターさんが今までと同様、反原発や反ファッキン安倍を自由に喋ってもらう場所を、僕らが形成していくのだ。

案外インターFMの編成部は、60~70年代の曲ばかりかける番組よりも、「六本木の放送局」のように、トップ10に入っているような流行りの曲を流す番組に替え、聴取率を獲得しようぐらいの考えなのかも知れないしね。

(「バラカン・モーニング」の9月30日のブログより拝借した写真)

昨日のツイッターのトレンドは、#barakanmorning 一色だったようですね。

ピーターさん、智美さん、志賀さん、スタッフの皆さん、心からお疲れ様でした。
これからは、夜更かしできますね!
そしてまたいつか、朝の時間に戻って来てくれる事を、心から願っています。
ずっと応援していきます。
ピーターさんが番組の最後に流した涙、忘れません。
僕も、泣きました。

ありがとうございました!


2014.10.01