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【読者寄稿】 大友麻子さん
「命の音」
死ぬときって、どんなだろう。
自分の身体がスイッチオフする瞬間って。
誰もが、絶対に絶対に死ぬんだけど、なんか難しそう。
肉体の終わらせ方って、結構めんどくさい。
と、最近、ときどき思ったりします。
私が、最期に漂うように耳にしたい音は何だろう。
子どもの頃、雨戸の隙間から朝日が漏れてきて、
ハトのグーグルッポーという鳴き声と足音が頭上から聞こえると、
なぜだか切ない気持ちになったっけ。
熱出して寂しく寝ているとき、
母が帰ってくる自転車のキキーっという音が聞こえて
涙が出そうにうれしかったっけ。
自分が母親になった瞬間、いきなり足の間から生き物が飛び出してきて
ふみゃあふみゃあと声をあげたとき、
それはそれはビックリしたっけ。
続けて眠りたい、6時間は眠りたい!
それでも、夜中に、「ママ、ママ」と小さな手がこちらをさぐると
よっこらしょとヘルニアの痛みこらえて未だに授乳。
小さな鼻息を胸元に暖かく感じながら。
最期に聞きたいのは、そんな命の音たち。
「聞かせよう」って音じゃなくて、
吹いてくる風の音、窓の外のネコの声、近所の台所の音、
誰かの鼻歌、そんな音をかすかに感じながら
すうっと意識がフェイドアウトしていけたらいいなあ。
さよなら、命。って。
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