小諸なら青雲館に泊まる

文・鎌田浩宮

旅。
どんなオオガネモチの僕でも、
旅は民宿に限る。
ごろっと寝っ転がって、畳を嗅ぐ。
宿の人と、会話を味わう。
いい宿を見つけると、その旅が、
何倍にも楽しく、豊かなものになる。

 

 

はい。
今回は、
宣伝
です。

 

でも、いつもいい宿を見つけられるとは、限らない。
その逆の方が多いほどだ。
ネットがない頃から、僕は鼻をくんくんときかせ、宿を探したのよ。

石垣島なら、エプスタにも寄稿してくれるakeyboさんがやっている、民宿楽天屋がサイキョーだ。

奄美大島なら、こちらもエプスタに寄稿してくれるジョーオジ・akechiさんがやっている、奄美海風荘がサイキョーだ。

そして、最近頻繁に行き来している長野県小諸市にも、サイキョーの宿を見つけた。

それは、小諸が夏祭りの時。
人気アニメ「あの夏で待ってる」効果もあって、どこの民宿も旅館もホテルも満室。
エプスタにも書いた、8月4日の渥美清さん命日の献花式のお手伝いで、どうしても宿を探さなくっちゃならない。
小諸観光協会の人が、あちこち親切に当たってくれた。

そして、30分後。
「もうここしかないのよ。市街地から、4㎞くらい離れた山の方にあるんだけど、車で迎えに来てくれるって言うから、いいかな?」
ほうぼう手を尽くして下さって、ありがとうございます。
確かに山道を酔っ払いながら歩いたら1時間以上かかりますから、車ですね。
ところで、なんて場所にあるんですか?
「小諸でも知らない人が多いんだけど」
と言って教えてくれたのは、糠地(ぬかじ)という村落だった。

僕をどこに連れて行く気ど!
ワクワクするど!

果たして、小諸に着き、前祝いで渥美清さんを偲びつつココトラ(コモロ寅さんプロジェクト『いつもココロに寅さんを♪』)の人々としこたま呑み、時は深夜11時。
普通の民宿ならば、もう門限の時間。
なのに、迎えに来てくれたのだ。

迎えに来て下さった若旦那はにこやかで。
車で、真っ暗な山道、登り。
着いた。

 


から
4㎞の
悦楽。

 

「お茶でも飲みませんか」

驚いた。
こんな遅くに訪れたのに。
大広間に通されると、冷たいお茶と、瓜の粕漬けを出して下さった。
ああ、おいしい。
ちなみに、2度目に来た時は、お腹が空いてないかと、おやきも出して下さった。

おばあちゃんと、女将さんと、若旦那と、ひとしきり楽しくお喋り。
こんな遅くまで起きていて下さっただけで申し訳ないのに。

0時くらいになって、お風呂につからせてもらい、就寝。
小諸の市街地は標高660mほどで、東京よりは涼しいんだけど、糠地の標高は860m。
扇風機だけで、充分。

翌朝。
素泊まりでお願いしていたのに、朝食を用意して下さっている。
間違えて用意したとおっしゃっていたが、2度目に泊まった時におばあちゃんから
「朝ご飯も食べないでお送りするわけにはいかないと孫が言うのでね」
と真相を教えてもらった。
それでいて、料金は素泊まりの3000円のまま。

実はどっぷりの二日酔いだったんだけど、まあこれが美味しいのなんの。
まず、牛乳をコップ一杯出してくれる。
しぼりたてと言っていた気がする。
旅の最中って、なかなか牛乳を飲めるタイミングがないので、これは嬉しい。

そして、ご飯。

 

それ

そこ

採れた
だよ。

 

自分の畑で採れたぜんまいの甘く煮たの、同じく畑のみょうが、おくら。
獲れたての卵の目玉焼き。
何と2度目に来た時は、飽きちゃうからと出汁巻き卵にして下さった。
ハムとソーセージって、割合どこの宿でも出すんだけど、ここのは美味しいなあ。
よくよく聞くと、若旦那が信州ハムにお勤めとのこと。
だから、ひと味もふた味も違うんだなあ。
添え物のレタスもプチトマトも、もち、畑の。
よおく写真を見てもらうと、ソーセージの隣のオレンジの切り込みがお洒落なんだけど、若旦那は洋食関係の店でコックをやってらしたこともあり、栄養士の免許も持っているそうです。
最後に、味噌汁が、いい。
味噌も、自前。
おかわりしちゃった。

こんなに美味しい朝ごはんなら、と2度目の時は朝食付きでお願いしたんだけど、それで3800円。
安い!

 

泊め方。

 

こちらの写真の右の人が、おばあちゃん。
よく民宿では、用意だけしてもらって1人寂しく食事をとることが多いんだけど、ここ青雲館では、おばあちゃんか誰かが必ずそばにいて、お喋りの相手をしてくれる。
だから、なおさら食事が弾む。

僕の母方が、小諸のそばの上田の人間なんだけど、うちの親戚も、青雲館のおばあちゃんも、同じことを何度も繰り返して喋る。
そこが面白い。
信州って、そういう人、多いんだろうか?

今回挙げた3つの宿、どちらにも言えるのは、人が好きなんだということ。
だから、サービスでお喋りをしてるというよりかは、人と話したり、コミュニケーションを取るのが好きなんだと思う。
それは、自分の喋りたいことだけをまくし立てるのとは違う。
人と意思の疎通をすることが好きなのだから。

山なので、周りの景色もいい。
少し歩くと、小諸の市街地も一望できます。
空気も美味い。
僕は、帰りも車で小諸駅まで、送ってもらっちゃったです。

ぜし、小諸に来ることがあったら、泊まってみて下さい。
いい旅に、なりますよ。

 

青雲館
住所: 〒384-0809 長野県小諸市滋野甲糠地3368

電話:0267-22-0564
http://www.city.komoro.nagano.jp/www/contents/1377756721764/files/nouka.pdf


2013.09.16