久保田麻琴

文・鎌田浩宮

ヴァーッ。
今日も、仕事で疲れた。
心の皮っ面は、ささくれ立って、ざらついちまっている。
こんなに寝ていないの、高校の文化祭で映画を創った時以来か。
朦朧だ。

そんな時、三軒茶屋の世田谷通りに、三線の音が聴こえた気がした。
途端に、肩の力は抜け、心は慰められ、穏やかになり、凪の水面になった。

そう、それは沖縄・宮古島に伝わる神唄だった。

三線の音に、ギターのディストーションが爽快だ。
おばあも、おじいも、わらびも歌う。

世田谷通りを高円寺に向かう。
すると、懐かしい笛太鼓の音が聴こえ出した。
懐かしいのに、現代のミキシングが施されている。

阿波踊りだ。
道に溢れだす、踊り手。
今日はお祭りの日だったっけ?
まあ、いいや。
実を、任そう。

ん?
日本人離れしたフレーズを弾くあの男は、誰だ。
熊野からやって来たと言っている。

濱口祐自。
なんと、還暦近くでデビューした。
それまでは、熊野で密やかに演奏していたという。

これらの音楽は、全て麻琴さんがプロデュースしている。
天才的な嗅覚で、世界中に散りばめられた素晴らしい音楽を発掘し続けている。
そして時には、その音楽にギターのディストーションや、ドラムスやベースを挿入したり、ミキシングの妙で楽しませてくれる。
僕は麻琴さんの音楽を、数十年前の子供の頃から聴き続けてきた。
ますます、好きになっていく。

麻琴さんに発掘してもらえた音楽が、咲き誇っている。
僕らが聴き落としてしまう小さな小さな音の粒を、しっかりと拾い上げてもらい、魅力を存分に引き出すようなミキシングで録音され、世に出ていく。

そんな麻琴さんが、僕が監督と音楽を担当した映画
「続・鎌田浩宮 福島・相馬に行く 敏之が結婚」を褒めてくれている。
こんな嬉しい事は、4年に1度あるかないか。
オリンピックの如し。

「監督、浩宮さんの”杉ちゃん”という呼び方がとてもいい。
こんなプライベートな映像の中にさえヒバクが入り込む日本のムービー。」

キャマダ、ヘロヘロになりながらも、宣伝するのか。

2016年8月27日土曜日 夜6時30分より
渋谷・アップリンクファクトリーにて上映します。

当日券のみの扱いです。
一般 1800円
大学 1400円
高校 800円
中小 500円
シニア 1200円
障がいをお持ちの方、及び介助の方 1000円
乳幼児無料

UPLINK FACTORY
tel. 03-6825-5503
factory@uplink.co.jp
東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1階

麻琴さんの公式サイトは、こちらです。


2016.08.26