要キャプション。

和む!ウイグルの音楽 pt.7 ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

構成・文・一部撮影/名無シー・鎌田浩宮

 

 

قالتىس
ئۇيغۇر مۇزىكىسى

 

 

ウェブサイトもしくはヴログ
エプスタインズ創刊10周年
記念事業第3弾
和む!ウイグルの音楽
ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

 

 

ウイグルの音楽を、聴いてみようじゃありませんか。
音楽で、ウイグルを訪ねてみようじゃありませんか。
東京芸大や博物館、ウイグル料理屋さんに寄り道しながら。
その道の大家に、話を聞きに行ったりして。
きっと、眩しい旅になるでしょう。
時間は、たっぷしありますよ。
さあ、一緒に出家しましょうぞ。

 

 

 

 

最初の手掛かりは、
図書館の倉庫に眠っていた、
下記2枚のCD。
ここからウイグルへ
浸っていくのだ。

 

キャラバンの調べ~ウイグルの器楽
1 ムシャーブラクムカーム
2 グンドゥパイ
3 カーデル・マルラン(マルラン公社幹部)
4 タシュワイ
5 ヤルー(恋人)
6 ダワンチェン(大板城)
7 ディハンラー・マディア(農民讃歌)
8 豊作
9 ウッシャーク・ムカーム 第一ダスタン
10 ラクダの鈴の音
11 カルワン(キャラバン)
12 ラーク・ムカーム テザ間奏曲

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

レワープ:ダウティ・アウティ
バラマン:バーキル・トゥルディ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

 

オアシスの抒情~ウイグルの歌

1 タック・スーレイ(山水)
2 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(1)
3 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(2)
4 グリヤール
5 グレー・チスカン・ミニン・ヤレン(花を持つ恋人)
6 ティレック・ボスタン(生き生きとしたオアシス)
7 チャビアート・ムカームのチョンナグマン
8 白い泉
9 遥かなる道
10 トーガン・ジェル(ふるさと)
11 クォールケム・アルタイタウェ(美しきアルタイ山)

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

歌:パシャ・イシャ
レワープ:ダウティ・アウティ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
歌・ドゥタール・タンブル:マハムティジャン・シャキル
歌・ドンブラー:ダリルハン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

 

シシ・カワプ。クミンの媚薬。

 

鎌田浩宮
日本の焼き鳥と比べて、2倍といったら大げさかしら。とにかく、肉がデカいぞ。

名無シー
この4本×2人分=8本で腹一杯になったりして…。

 

塩と、クミンと、カイエンペッパーかな。これだけの味付けで、昇天できますです。

 


ただ、前回食べた時より、クミンが効いてないな…。このお店にしても蘭州料理屋さんにしても、シシ・カワプ ZIH KAWAP…羊の串焼きはクミンの風味が絶妙なんですよね。


言われてみると、2人いる厨房のコックさん、お1人は南アジア系の方ですね。しかも、新入りの方のようです。


そもそも他の店員さんも、いわゆる蘭州料理屋さんとは違い、中央アジアのお顔立ちです。


12ムカームを聴くとどこの出身か分かると言うくらいですから、料理もそうなのかも知れませんね。ホータンとかカシュガルとか地域によって味も違うのかも知れないですよね。


ウイグルに古くから伝わる古典音楽・ムカーム Muqam 木卡姆。ほとんどの地域で12のムカームから構成されているので、12ムカームと呼ぶそうで。それで思い出したんですが、奄美大島でも同じ曲が地域によって異なってくるんですよ。例えば「長雲節」は、北部では別れ唄なのに、南部では祝い唄らしいんです。

 


ウイグルの12ムカーム。
叙事的組曲であり、地方によって様々なムカームが存在し、歌われている。


長雲節。おお!名瀬の民謡酒場「かずみ」の女将さんじゃないか!
鎌田は以前奄美大島を訪れ、島唄と料理と黒糖焼酎を堪能しまくりました。


西和美さんは南部・瀬戸内町のお生まれだが、この上村藤枝さんは北部・笠利町のお生まれ。

 


ただ、とにもかくにも中華料理の味付けとは違う。かといってインドカレーのような味付けでもない。クミンの使い方が、ウイグルは独特なんだよなあ。

名無シー
これ、お通しですね。


そう、毎回これなんです。辛くないです。色鮮やか。いい時間が過ごせるぞって面構えしてる。

 

料理名は不明です。お通しです。

 

 

 

ウイグルでロバ。日本の北国でロバ。

 


この打楽器…ダプだけど、やっぱし羊の皮を張ってるんですか?

店員さん
ロバです。


ロバ?!

 

ウイグルの打楽器・ダプ。ロバの皮を張っていたとは!

 


ヤギとかはよく聞くけど…。そういえば、子供の頃ロバを飼ってました。


え?ご実家で?だって名無シーさんの家、酪農家とかじゃないでしょ?ロバが自生してたの?(田舎を知らなすぎ)


田舎の町にサーカスがやってきて、年老いて芸のできなくなったロバを処分するって座長が言うんですよ。で、殺すくらいなら引き取るって父が言って、うちの庭で飼ってたら、住宅地なもんで、隣の小学校が騒然となって!


がはは!あんたの家、法外だな!

 

 

 

フレットが!でもってネック長すぎ!

 


お。このドゥタールなんですが、フレットの間隔がギターと違いますね。ギターやベースは、一定の間隔があるんだけど、ドゥタールは真ん中と先端のあたり2か所に、ポカーンと間隔が空いていて。

 

ドゥタール。しかもさお(ネック)が長いので、先端(右)まで手が届かない気がする。

ギター。先端(右)はフレットの間隔が広く、
胴体(ボディ)に向かうと一定の割合で狭くなっていく。

 


なんでこんなにネックが長いんでしょうねえ?


さっき、壁にぶつけちゃったもん。いやぶつけちゃ駄目だろ!


腕を伸ばしきっても先端に届かない!


弦が長ければ長いほど、チューニングがあいまいでいいからなのかな?あるいは、チューニングが狂いやすいから長くしているとか?


中音域を重視した楽器なのかも知れませんね。


ギターはボディへ向かうにしたがって、フレットの間隔が狭くなるんだけど、ドゥタールは狭くなっていかない。ここも謎です。西洋音階・非西洋音階という解釈とは、また別の論理なんだと思います。厨房が忙しくなければ、質問したいところなのだが…うちらが注文しすぎなのだ!

店員さん
コイティリ・ハミセイで~す。

 

味はもちろんいいし、お皿が美しい。KOYTILI HAMSEI 羊の舌のサラダ。

 


これが羊の舌なんだ~。おいしいです。実際には、ウイグルでは生の野菜をあまり食べないかも知れないし、きゅうりなどの生野菜が流通していないかも知れないので、日本人向けにアレンジして下さったメニューかも知れませんね。


串焼き4本の次は、こちらですね。


せっかくだから、ウイグルの飲み物ないかなあ。前回は、ざくろのサワーおいしかった。ウイグルでは、ざくろのジュースやお酒を作るそうで。ウイグルの大きな街・カシュガルはざくろの特産地だそうです。で、本日は…シルクロードの赤ワインを、名無シーさんと1本空けてしまおうではありませんか!

 


シルクロードのワイン、キリアン(Qilian)。
西にウイグル・北に内モンゴル自治区・
南にチベット族の多く住む青海省(Qilian)
と接する、甘粛省。省都は蘭州市です。

 

 

 

とうほぐ。

 


お客さん、入ってきましたね。


あちらは、ウイグルの方かな?あと、名無シーさんの後ろの席は、漢族の方か。


ウイグルの方の会話を聴いていると、東北弁に聴こえてきますね…。子音や濁音・鼻濁音、変母音の共鳴なんかが近い。東北の人は「あいうえお」という母音の発音がはっきりしてないんです。


なるほど、僕も今聞いてて似てるなあと感じてました。

tarim
↑↑↑ここをクリックしてみてちょ。店内でお喋りする方々の声、聴こえてきますぞ。


ただ、実は東北弁というのは、支配者の言語なんですけどね。マタギ言葉を調べると、アイヌの言葉だったりするので。


僕、今秋田のラジオ番組「歌謡曲ふれあい電話リクエスト※」にはまってて毎週聴いてるんだけど、電話で出てくるリスナーの爺の言葉が、まあ聴き取れないこと!方言がきついの。

編集部注:※ABS秋田放送で、毎週月曜夜6時20分から夜9時まで放送。かなりの長尺。リスナーは高齢者が多く、DJが電話をしてもリクエストしたことを忘れ着信拒否。前半1時間で2名しかつながらない回もあった。リクエスト曲の殆どは演歌。しかも細川たかし「北酒場」のようなメジャーコードの明るい曲調ではなく、マイナーコードの鬱々とした曲が多い。さらには1コーラスでフェードアウトせず、全曲アウトロまでフルコーラスかける。時折DJの誘導で、リスナーは伴奏なしアカペラで演歌を歌い出す。番組では豊富にプレゼントを用意しているのだが、受取を遠慮するリスナー多し。逆に、〇日は不在なので〇日に届けてほしい、プレゼントはいらないからサイン色紙を送ってくれなど、番組中にもめることも。ここ数カ月で最ももめたのは、最初に電話を取り次いだ局内アルバイトが県外の者で、方言を聞き取れないためリスナーが激高。番組が始まっても怒りをぶちまけ続け、DJが凍り付きつつもなだめ続けたこと。


推測によるところもあるんだけど、新潟・山形・秋田の言葉というのは…中国から追われて逃げてきた、アルタイ語族の影響があるんじゃないかな。


ちなみにウイグル語も日本語も、同じアルタイ語族です。モンゴルも朝鮮もアルタイ語族です。一方、中国や一部の東南アジアは、シナ・チベット語族です。

 

急激に酔っ払う。紅柳…砂漠人参と呼ばれる植物を焼酎に漬けたものらしい。度数は25度

 


これは茶系の色をしていて…ウイスキーかな?「カンカのお酒」としか書いていない。頼んじゃおうっと。(グラスになみなみと注がれたオンザロックを呑み)いかん。アルコール度数、高い。


僕の話、聞いてます?


いかん。酔っ払って眼が寄り目になってた。中国の白酒かのように効いてくる!

 

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2021.04.05

和む!ウイグルの音楽 pt.6 ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

構成・文・一部撮影/名無シー・鎌田浩宮

 

 

قالتىس
ئۇيغۇر مۇزىكىسى

 

 

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エプスタインズ創刊10周年
記念事業第3弾
和む!ウイグルの音楽
ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

 

 

ウイグルの音楽を、聴いてみようじゃありませんか。
音楽で、ウイグルを訪ねてみようじゃありませんか。
東京芸大や博物館、ウイグル料理屋さんに寄り道しながら。
その道の大家に、話を聞きに行ったりして。
きっと、眩しい旅になるでしょう。
時間は、たっぷしありますよ。
さあ、一緒に出家しましょうぞ。

 

 

 

 

最初の手掛かりは、
図書館の倉庫に眠っていた、
下記2枚のCD。
ここからウイグルへ
浸っていくのだ。

 

キャラバンの調べ~ウイグルの器楽
1 ムシャーブラクムカーム
2 グンドゥパイ
3 カーデル・マルラン(マルラン公社幹部)
4 タシュワイ
5 ヤルー(恋人)
6 ダワンチェン(大板城)
7 ディハンラー・マディア(農民讃歌)
8 豊作
9 ウッシャーク・ムカーム 第一ダスタン
10 ラクダの鈴の音
11 カルワン(キャラバン)
12 ラーク・ムカーム テザ間奏曲

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

レワープ:ダウティ・アウティ
バラマン:バーキル・トゥルディ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

 

オアシスの抒情~ウイグルの歌

1 タック・スーレイ(山水)
2 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(1)
3 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(2)
4 グリヤール
5 グレー・チスカン・ミニン・ヤレン(花を持つ恋人)
6 ティレック・ボスタン(生き生きとしたオアシス)
7 チャビアート・ムカームのチョンナグマン
8 白い泉
9 遥かなる道
10 トーガン・ジェル(ふるさと)
11 クォールケム・アルタイタウェ(美しきアルタイ山)

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

歌:パシャ・イシャ
レワープ:ダウティ・アウティ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
歌・ドゥタール・タンブル:マハムティジャン・シャキル
歌・ドンブラー:ダリルハン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

 

お店、行ってきましたよ。

 

鎌田浩宮
どわー!初台に来たどー!去年新宿から歩いて三軒茶屋へ帰る時に見つけた、ウイグル料理専門店シルクロード・タリムだー!甲州街道を歩いてたら、どーんと看板が。たまにゃいいことあるもんだと、あん時ゃ涙ちょちょぎれそうになったです。

名無シーさん、遂に2人で来ましたぞ。と言いつつ僕は3度目の来店です。旨い。高くない。お店の人がいい人。憧れのウイグルが玄関から1時間で!んがー。僕は一通り味わってるんで、お好きなものを注文して下さい。

 

新宿駅南口から、甲州街道を延々歩いて15分。最寄りは初台駅。
この看板が見えたら、貴方は越境したことになる。

 


イスラムにとって水色は神聖な色、看板のトーンも水色。そうそう!池袋駅北口にある行きつけの店「アリヤ清真美食」の内装も水色なんですよ。アリヤは流行している蘭州料理のお店とも言えるけど、ハラルを意識したイスラムのお店でもあります。お店の人もお客さんも、ほぼ日本人はいません。コロナ前に行った時は、珍しくモンゴルの留学生と思しきグループが楽しそうに歌を歌ってたなあ。羊の肉を食べるという共通点があるんですね。

 

こちら、池袋のアリヤ。だまされたと思って訪れてほしい。本当に旨い。
メニューは日本語表示もあり、たどたどしいながら店員さんと日本語のやり取りもできる。

 


でも、このシルクロード・タリムは人種が雑多。日本人も来るし、漢族も来るし、欧米系の人も来ますよ。東京では唯一のウイグル料理専門店ということで、コロナ前は予約しないと入れなかったとか?

 

甲州街道から、ちょっとだけ路地に入ると出会えます。至福のひと時を、どうぞ。

 


まずはビールを!あれ?先日来た時は、ネパールのアイスビール、瓶で置いてなかったっけ?初老なもんで、記憶が痴呆なもんで。

名無シー
では、サッポロ生ビールを頼みますか。


そうしましょ!あとですね、このゴシ・ナン göshnan گۆشنان、どえらくおいしいですよ。ミートパイなんだけど、羊肉にクミンがいい感じでまぶしてあって、初めての味覚です。

 

お持ち帰りにも、いいと思う。ゴシ・ナン GOSH NAN。

 


前回来た時は、僕ら客が注文した料理を作る合間に、このゴシ・ナンをずっと仕込んでいました。人気メニューなので、ばんばん仕込まないと間に合わないんだろうなあ。あと、何に魅かれます?


これ、美味しそうですね。

 

コイティリ・ハミセイ。きゅうりと相まって、さっぱりした味です。

 


羊の舌!コイティリ・ハミセイ KOYTILI HAMSEI、外せませんな。


これ、美味しそうですね。

 

コイパチャック・コルミス。ケーリン・コルミス。
少しだけ辛い。しかし中華料理や、ましてや麻辣料理ほどではない。

 


羊の足!羊の胃!よく仕入れられるよなあ。素晴らしい。コイパチャック・コルミス QOY PACHAQ QORUMISI。ケーリン・コルミス QERIN QORUMISI。どっちにしましょ?


匂いはきついんですかねえ?


モンゴルで遊牧民のゲルに泊まらせてもらった際、1頭つぶしてすぐに出してくれた羊肉は、かなりの匂いでした。海外青年協力隊の日本人でさえ、食べられない人もいたほどです。でも、このお店の料理はどれも、匂いはありません。安心して下さい!


そうですか!では、こちらも頼みましょう。羊の串焼きと、鶏の串焼きを4本ずつ。


(心の中でそれは食い切れないぞと思いつつ)いい!どんどん行っちゃいましょ!

 

置いてあったのだよ、楽器が。

 


あ、楽器が飾ってありますね。あのドゥタールですよ。あと、ブラジルのパンデイロに似た打楽器も。

 

店内奥、カウンターの右端に鎮座おわしまする楽器群。

 


お。何度も来ているのに気づかなんだ!食べ物ばかりに気が行ってただよ。食い意地張ってるもんで!この連載で何度も取り上げている、ドゥタール。ドゥは2、タールは弦という意味なのだ。ウイグルだけでなく、カザフスタンやキルギス、タジキスタンやトルクメニスタンでも愛用されている、イラン由来の楽器。なおこちらのお店、蛇の皮を貼ったラワープは置いてなさそう。ちなみにインドの楽器・シタールの語源は「3本の弦」ですよ。


(割と大きな声で厨房の店員さんに)あの~!弾かせていただいてもよろしいですか?

店員さん
いいですよ!今チューニングしますね(日本語お上手です)。そしてこの打楽器は、達譜(ダプ)と言います。

 

こちら、お店に鎮座なさっているダプ。牛皮製。大小2種類ありました。

 


ああ、内側に金具がついてますね。


西洋のタンバリンと同じだ~。赤いひもがついてる。ぶら下げた状態で叩くのかな?僕が大久保で買った朝鮮のケンガリも、ひもがついてるのよ。手で押さえつけないから、反響していい音になるんです。

 

こちら、サムルノリでも有名なケンガリ。

 


どわー。ウイグルへ行かずとも、東京芸大博物館へ行かずとも、遂にお会いできるとは!感涙。パンデイロを普段演奏(ご愛嬌)する名無シーさん、叩いてみて下され!

 


名無シーによる、ダプのパンデイロ風演奏。店内にて。

 


ああ、いい!現地着陸気分。開店ぴったしに訪れたから、他にお客さんいないのだ。大きな音出しちゃってるのだ!


実際はどんな風に叩くんでしょうね?


お店の方に叩いてほしいのだが、僕らの料理を作ってて忙しいのだ!

 


実際にはこんな風に演奏するのだ。

 


インドのタブラか西アフリカのジェンベかって言う感じのウイグルの太鼓アニキ達の背後のウィンドウズ・メディアプレーヤー視覚効果まんまズバリが、恐らく十数年前位でしょうか、ウイグルの当時の空気を感じさせもしてまた熱いですね。高速ズームイン・ズームアウトといい、また、民俗芸能を愛する観客の爺ちゃん婆ちゃん達と言い、熱い映像だ!(編集部注:後日この映像を観て感想を挿入しました)

店員さん
お待たせしました~。シシ・カワプ ZIH KAWAP(羊)とトホ・カワプ QUWURGHA KAWAP(鶏)の串焼き4本ずつです。


(以前も頼んで知ってはいたが)んがっすぺぺっちょんわちょんわー


…ちょっと、頼みすぎましたかね…。


海外料理あるあるだわ。

 

鉄でできた串の長さは、30㎝もあろうか。
焼き鳥と同じ大きさをイメージすると、大変なことになるど。

 

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2021.04.01

和む!ウイグルの音楽 pt.5 ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

構成・文/名無シー・鎌田浩宮

 

 

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エプスタインズ創刊10周年
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ウイグルの音楽を、聴いてみようじゃありませんか。
音楽で、ウイグルを訪ねてみようじゃありませんか。
東京芸大や博物館、ウイグル料理屋さんに寄り道しながら。
その道の大家に、話を聞きに行ったりして。
きっと、眩しい旅になるでしょう。
時間は、たっぷしありますよ。
さあ、一緒に出家しましょうぞ。

 

 

 

 

最初の手掛かりは、
図書館の倉庫に眠っていた、
下記2枚のCD。
ここからウイグルへ
浸っていくのだ。

 

キャラバンの調べ~ウイグルの器楽
1 ムシャーブラクムカーム
2 グンドゥパイ
3 カーデル・マルラン(マルラン公社幹部)
4 タシュワイ
5 ヤルー(恋人)
6 ダワンチェン(大板城)
7 ディハンラー・マディア(農民讃歌)
8 豊作
9 ウッシャーク・ムカーム 第一ダスタン
10 ラクダの鈴の音
11 カルワン(キャラバン)
12 ラーク・ムカーム テザ間奏曲

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

レワープ:ダウティ・アウティ
バラマン:バーキル・トゥルディ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

 

オアシスの抒情~ウイグルの歌

1 タック・スーレイ(山水)
2 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(1)
3 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(2)
4 グリヤール
5 グレー・チスカン・ミニン・ヤレン(花を持つ恋人)
6 ティレック・ボスタン(生き生きとしたオアシス)
7 チャビアート・ムカームのチョンナグマン
8 白い泉
9 遥かなる道
10 トーガン・ジェル(ふるさと)
11 クォールケム・アルタイタウェ(美しきアルタイ山)

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

歌:パシャ・イシャ
レワープ:ダウティ・アウティ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
歌・ドゥタール・タンブル:マハムティジャン・シャキル
歌・ドンブラー:ダリルハン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

ウイグルのヴォーカルものを聴く。

 

鎌田浩宮
こんばんは。ヴォーカルものも探ってみましょうか。名無シーさんがすでに挙げて下さった、もう片方のCD「オアシスの抒情~ウイグルの歌」の2曲目「ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(1)」…パシャ・イシャン Pasha Ishan پاشا ئىشان という方が歌っています。この映像の方ですね。別の歌を歌ってますが、ちょっと観て下さい。

 


2012年のテレビ番組「Tengritagh Bulbuli Naxsha Kichiligi」らしい。

 


高音域のド迫力が、ヘビメタかっつーくらい凄まじいですね。中国の京劇のヴォーカルのようでもあり、ちょびっとだけファドの感じもあり。全くの推測なんですが、ご高齢の方をメインに慕われている、かなり著名な歌手なのかしら。

名無シー
13分くらいからスクリーンで流されるやつですね。確かにこの方の唱法、旋法、そしてバックの楽団の音楽は京劇的です。京劇が、中国的なのか、或いは古えの西方北方諸民族の音楽の流れを汲むものなのかという辺りは興味が尽きませんね。そしてこの民俗芸能のステージの演出は、旧ソ連から北朝鮮に広がる共産全体主義的であるというこのミクスチャーも凄まじい!


なるほど!共産全体主義的ミクスチャー。


嘗て、ウイグルの民族的な歌は、恐らく野や中庭などで歌われたと思いますが、共産全体主義の台頭の中で、現在とは違って、寧ろ共産党的体制は民族性をそれが守られる豊かな体制の宣伝として使ったのは、パヴェウ・パヴリコフスキ「COLD WAR あの歌、2つの心」でも紹介された冷戦時代の東側のお馴染みの風景だったと思います。オヨヨォ♪のあれです。

 

 

映画「COLD WAR あの歌、2つの心」を通して。

 


そうか!あの頃の共産全体主義は、民族の伝統や音楽を重んじる、守る、そして利用する。2018年公開(日本公開は2019年)「COLD WAR」、大好きな映画です。

 


ポーランド。13世紀にはモンゴルが来襲。
1945年にソ連の占領下となり、社会主義国化。


上の予告編で合唱された民族音楽が、経過してジャズに。どちらも極上の音楽。

 


この方の唱法は音節の頭に短く力強いコブシが入るところも印象深いですね。京劇のそれに比して、勇ましい力強さの様な表現を感じますが、そもそも歌詞は勇ましい内容なのか、悲恋とか何かなのか……。振り返ると、戦後日本の演歌も、哀しい恋を随分勇ましげな唱法で歌い上げますね。他のジャンルではあまり、「歌い上げる」等と言わないし。


前にも名無シーさんと話したけれど、日本と韓国には演歌というジャンルがあります。

 

 

アルタイ語族圏というくくり。

 


それと、歌だけではないですが、[y](ユィ)の発音を聞いていると、アルタイという感じがしますね。


アルタイは、ウイグルの北隣り。モンゴルともお隣さんです。

 

 


「アルタイ」は、国名ではなく「アルタイ語族圏」と言う感じで、トルコから朝鮮半島迄の言語族的地域となります。ヨーロッパでは飛び地的にハンガリーとフィンランドも関連のある言語地域です。


朝鮮語や日本語もアルタイ語族ですね。主語-目的語-述語という文法が、アルタイ語族圏の特徴です。

 

 


例えば古満州語を使っていた満州族の国・渤海の珮(ハイ:帯を通して腰に提げる玉器)型のパスポートには「ギュィルン・ニ・カダグム(国・の・誠)」と書かれていました。江戸時代に新潟だかの浜辺に打ち寄せられていたのが発見されています。


この時代に、もうパスポートがあったんかいな。

 

7世紀から10世紀まであった「渤海」。
満州~中央アジアを制していた契丹により滅亡。

 


満州の皇族 愛新覚羅家の姓は、愛新アイチン(黄金の)・覚羅ギョロ(血族)。そんな風にアルタイ系の言葉には変母音[y](ユィ)や、子音化した母音[j](ヤ行子音)が耳に残りますね。トルコから満州まで馬を駆って繋がった言葉の響きです。


モンゴルに2回行った事があるんだけど、耳にした感じでは、モンゴル語とウイグル語は似ているなあと思います。シナ・チベット語族圏の中国語よりも、語感が近い。

 


これが満州語らしい。

 


因みにアイチンギョロ姓には、日本で言うと鎌倉時代、満州族の一部族 女真 の阿骨打が建てた国「金」を継承する一族だという意味が込められていて、ギョロとギュィルンは音節の近似や、意味の面の血の土地への帰属意識の関連を見ると語源を共有しているのかなとも思います。

 

12世紀に建国された、金王朝。モンゴルの来襲により13世紀に滅亡。

 

 

 

日本の演歌との比較。

 


名無シーさんが指摘した、日本の演歌と比較してみましょう。敢えて、戦争が終わったばかりの曲を選んでみます。1947(昭和22)年、二葉あき子「夜のプラットホーム」です。「歌い上げる」とまではいかないけれど、パシャ・イシャン同様に高音域を聴かせる歌唱ですよね。この頃はまだ、演歌という言葉はありません。

 


当時はSP盤。くすんで聴こえることもあいまって、ウイグルの歌に近いものを感じる。

 


でもって1949年「悲しき口笛」。なんと12歳の美空ひばり。低音に聴き応えがあります。演歌のルーツとして「りんご追分」が挙げられますが、そちらは1952年。こぶしやうなりで「歌い上げる」天才・都はるみのデビューは1964年。演歌という言葉が「現代用語の基礎知識」に掲載されたのは、1970年だそうですね。

 


低音で歌われることもあり、大陸の歌と異なる「演歌」へと向かっていく。

 


ふと思ったのは、都はるみが口蓋垂(編集部注:のどちんこのこと)から鼻腔の振音を激しく発しながら歌っていた歌を、日本語が分からない海外の方々は何を歌っていると想像したかなと言うことが気になって仕方ありません。それは、恋でありながら、日本海の荒波に向けて舟を出すような、何かに立ち向かうようなものに聞こえたのではないかと。


そうそう。例えようがないので、ついついパシャさんのことをヘビメタと当てはめ、いやそうじゃないだろと自分ツッコミする。


ウイグルの方の、先に言及した勇ましげな音節の頭の短いコブシは、まるで馬を駆って闘いに出るような勇ましさを感じさせます。普段の気持ちの根のようなものが、歌い方に現れる空気を取捨選択したという事はないかななどと想像します。


なるほど。日本のコブシと、ちょっと違う。いや、だいぶ違うか。


第一次産業の従事者が減っていった90年代に向かって演歌が下火になっていったのはそう言う事と関わりが無かっただろうか等と、今ウイグルの歌を聴きながら、日本の現代音楽史について振り返らせられる気がします。

 


都はるみ17歳、映画初主演作「アンコ椿は恋の花」(1965年)

 

三日おくれの 便りをのせて
船が行く行く ハブ港
いくら好きでも あなたは遠い
波の彼方へ 行ったきり
アンコ便りは アンコ便りは
ああ 片便り

三原山から 吹き出す煙
北へなびけば 思い出す
惚れちゃならない 都の人に
よせる思いが 灯ともえて
アンコ椿は アンコ椿は
ああ すすり泣き

風にひらひら かすりの裾が
舞えばはずかし 十六の
長い黒髪 プッツリ切って
かえるカモメに たくしたや
アンコつぼみは アンコつぼみは
ああ 恋の花

 


あんなに唸り声を上げて、何歌ってるかと思ったらラブソングかよ!海外の人、ビビりますよ。


力んで絞り出す恋!


都はるみ、好きです。このご時世で何か歌ってくれないか。


あ゙ん゙こぉ~、あ゙ん゙こぉ~ みたいなあれ…当時は、ロックぽい曲もどこか演歌っぽい唱法があったように思い出されます。


鼻腔を使った歌い方では、西城秀樹も思い出します。ヒデキ、好きなんだよなあ。で、その歌唱法を矮小してリサイクルしたのが、氷室京介。

 

 

CDの曲は「恋人よ」だった。

 


逆にパシャ・イシャンさんも、全曲少女の恋心を歌っていたりして。先に挙げたCD2曲目の曲名「恋人よ」だし。


そんな気がします。戦後の日本人が力んで恋愛したように、ウイグルの方々も勇ましく恋い焦がれるのかも知れませんが、歌詞の和訳を読みたいですね。


叙事詩と叙情詩と叙景詩…歌詞をこの3つに分けてみて、パシャさんはウイグルの広大な風景とかを歌ってるのかなと想像しつつも、実は「ウルムチ山から噴き出す煙 あれは私の恋心 ウルムチ椿は ウルムチ椿は」と歌っているのだ。

 

 


このCDのライナーノートを読む事も忘れ、夢中になってお喋り尽くす我等愛おしい初老2人。種明かしのようで嫌だけど、ここに転載しますね。

「パシャ・イシャ(Pasha Ishan)は、エルキン・クトゥブディン(Erkin Kubidin)、アイシャム・キューム(Aishem Keyum)、ジェミリー・クルバン(Jemile Kurban)などと並ぶ人民芸術家の称号を持つウイグル最高の女性歌手だ。1954年のワルシャワ世界青年交歓会での銀メダルを皮切りに、ウイグル・中国はもとより、世界各地でステージを行い、極めて高い評価を受けている。圧倒的な声量と、絶妙なコントロールは本CDでも堪能できる。そんな名声にもかかわらず、ふだんの彼女は冗談の好きな“気さくなおばさん”といった雰囲気で、これがまた敬愛される理由でもあるようだ。


シルクロードの音楽を記録するプロジェクトのページでアブドセミ・アブドラフマンさんと仰るウイグル人の音楽家で研究者の方が、ウイグル音楽を解説しています。今読み始めました。矢っ張り恋歌はメインのテーマの一つらしいです!


げ!同じサイト、僕も数日前から見てました。

 


ウイグル・テレビジョン
「Séghinip Keldim, Weten’ge Medhiye, Tagh Suliri Pasha Ishan」より

 


2011年にアップされたYouTube「Pasha Ishan-Bulbul. Saitov Zainidin」。

 


2017年にウイグル・テレビジョンで放映された
「Pasha Ishan Zepmu chirayliq Keldi baha」のようだ。

 


そして遂に!2人でウイグル料理を食べに行ったのだ。次回、たっぷり語り倒すので、お待ちあれ!

 

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2021.03.09