第66話 第2章「海から吹く風」の巻

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土曜日深夜2:00

 

閉店後の深夜のキッチンで冷蔵庫を漁る

 

「よし!今日はビーフシチューをつくろう!」

 

ボクはネットで検索して、

レシピを見ながら、本格?ビーフシチュー作りをはじめた

 

最近、実は料理にハマっている

というか、トーキョーでの暮らしと違って

時間がたっぷりとあるのだ

会社は辞めたが、フリーでちょこちょこ制作の仕事はあるのだが

無駄な通勤時間もないし、タイムカードも残業もない

納期さえ守れば、常にマイペースで仕事ができるってワケ

 

まあ、それだけに自己管理が逆に大変だけどネw

 

ということで、夜な夜な静まり返ったお店で

料理をするのが最近の楽しみってこと

 

カノジョは一応、

お店でお客さんからカネをもらう商売ってことで、

もっぱら“まかない”というか、

ボクたち2人の食事は、ボクがつくっている

これが案外楽しくてね…

 

ビーフシチューを煮込んでいる間

シチューで使った残りのワインを飲みながら

音楽を聴き、本を読む

気晴らしに、外に出れば汐の香りと波の音

 

ちょっと前のボクを含めて、

なんで、みんなトーキョーであくせくしているんだろう?

ナニを求めて?ナニが不安で?ナニが楽しくて?

なんて、自分を棚に上げて考える、そんな今日この頃

 

店の2階では、クリスとカノジョはスヤスヤ寝ている

 

将来のこと?

 

それを考えると、正直不安になることもある

でも、いまのところそんな不安を払拭してくれる

心穏やかな生活がここにある気がする

 

「ふえ~、寒いや…中にはいろっと」

 

まだまだ、海から吹く風は冷たい

でも、

トーキョーの冷たく乾いた風とは違って、

ボクはここの風が、空気が好きだ

 

そろそろ、2人のまかないがいい感じになってる頃だな

 

2012.02.09