第67話　第2章「バレンタインショコラティエ」の巻

caonocafe-title

「ウギャーーーーーーーーー！」

 

ン？　ど、どうした？

 

夜中の12時を過ぎた頃、店のキッチンでカノジョが大声で叫んでる…

店の2階の部屋から様子を見にいってみた

 

「うんがーーーーーーーーー！」

 

ったく、うるせーやつだ…

 

「どしたん？ゴキブリでもでたか？」

 

「キミキミ、ちょっとこっちに来たまえ！たいへんなのだよぉ」

 

「だからなにが？」

 

「コレだよコレ！」

 

そういって指を指す先にあったものは…

 

「なにこれ？チョコレートパン？」

 

「なにをいうか！フォンダンショコラだよ、ふぉんだんしょこら～」

 

「で、なにをそんなに騒いでんだよ？」

 

「くってみ、これがものすごくうまいのだよ、アタシャ天才だね、まさに女ヨロイザカだよ」

 

・・・。

 

だれだ？　ヨロイザカって？　それって、ヨロイヅカとちがうかい？まあ、いいけどさ

 

「ふーん、んじゃ、味見してみるかな」

 

「ちょっと待て！」

 

「なんだよ、食えっていってみたり、待てっていってみたり…」

 

「今日はバレンタインだろぉ？作ってやったんだからちゃんと味わって食え」

 

そうか、今日はバレンタインか…

 

去年までは、キャバクラ勤めで忙しそうだったからな…

帰ってきてもコイツいつもベロベロで、

バレンタインのチョコなんか、まともにもらったことなかったしな…

 

「ありがとな、んじゃちゃんと座って食べるよ」

 

「あー、ちょっと待て！」

 

「なんだよ、しつこいな～」

 

「せっかくだから、シャンパンあけてやる」

 

「いいよ、もったいないから」

 

「うるさい、年に一度の総決算大放出だ」

 

「よくわかんないけど、んじゃ、２人で飲むか」

 

店の照明を落とし、キャンドルに火をつけシャンパンを抜く

 

「かんぱ～い！」そういって、グラスのシャンパンを一気に飲み干すカノジョ

 

「かぁ～、これだよこれ、注いでちょ♡」

 

なんだよ、主役はオレじゃないのかよ？まあ、いいけどさ

 

2杯目のシャンパンを飲み干してつぶやくカノジョ

 

「はやくくえよ、うまいんだから…」

 

ははは、なんだか、調子が狂うな…

じっと見つめられてなんだか食いづらいな

 

「んじゃ、いただきますよ」

 

フォークで一切れのなんちゃらショコラを口に頬張ったところで

ボクの感想を聞くのを待たずにカノジョは席を離れた

 

ン？　ああ、音楽かけるのね

 

カノジョのセレクトはヴァンモリソンだった

 

 

ふふふ、照れてんのかね？

おいしかたよ、なんちゃらショコラ、

ミスパティシェのヨ・ロ・イ・ザ・カさん！

2012.02.16

<< >>