第六十八夜:「神の国は汝らのうちにあり」

diary_kamino

こんばんわ。 若女将のけい子です。
昨年は大変お世話になりました。 ありがとうございました。
本年も何卒お引き立て宜しくお願いいたします。
昨年はアホな私でスタートしてしまったので、
今年はしっとりと始めてみたいと思います。
 
 
久しぶりに、ゆるりとした正月を満喫させて頂きました。
穏やかな老夫婦、若いご夫婦でお子様連れのお客様、普段は各地で
暮らされている一族の面々が集結してご利用されたお客様方など、
この正月は沢山のお客様に来て頂けました。
しかし、例年とは何処か違う空気が、
当館のお正月にも流れていたように思います。
お客様方の皆が皆、穏やかに、ご家族やご友人と語り合う姿、
笑いあう姿、何かを思い出し涙を流される姿がありました。
そんな光景をそっと見る度、私は心の中で頷いておりました。
皆、スタートしたんだ、と。
私もちゃんと今を喜んで生きてくよ、と。
 
 
 
 
最後に正月のこんなお話を。
当館では小学校に入る前のお子様にお年玉をあげます。
もちろん、大女将は猛反対した企画の一つです。
お年玉とは言っても、五円玉を二枚、赤や紫、黄色の紐で通し、
ぽち袋に入れただけのもので、五円=御縁という事です。
いつものように、ある若いご夫婦がお連れになった女の子に
私はお年玉をあげました。
少女はそれが何の事か分かっていないようで、
満面の笑みでぽち袋の柄を異常に確認しておりました。
うんうん、中身は残念だからね、キティちゃんのぽち袋を
楽しんでくれるなら、わたし本望よ。
うんうん、ありがとうを連続10回言われるのは
おばさん、本当に嬉しいわ。中身を思うと胸がイタイのだけれど。
 
 
翌日、そのご夫婦がお帰りになる際、玄関で見送っていた私の元に
あの少女が走ってきました。
そして、金色の折り紙で作った小さな袋を私に差し出し、
 
 
「・・おかみさん・・おとしだま・・」
 
 
と呟いて、私にその袋を握らせました。
そのまま少女は車に乗り込み、行ってしまいました。
何処ぞの田舎のワンマン社長のよな渡し方でした(笑)
その「おとしだま」と一生懸命マジックで書かれた金色の袋の中には
一つの五円玉が入っておりました。
いい年こいた私ですが、顔がフニャってトロけました。
 
 
新年早々、御縁を渡したら御縁を頂きました。
この御縁は再び誰かに、未来に、繋げねばなりませんね!
よぉーし!おばちゃん頑張っちゃうぞー!
 
 
 
 
 
 

 
喜べ!喜べ!人生の事業、人生の使命は喜びだ。
空に向かって、太陽に向かって、星に向かって、
草に向かって、樹木に向かって、動物に向かって、
人間に向かって喜ぶがよい。

by トルストイ

 
 
 
 
 
 
 
 
 

2012.01.18