浪日記⑰　　撮影・庫田久露武／文・鎌田浩宮

この日記をいつも読んで下さる人、
そして浪を応援して下さる人へ、
いつもありがとうございます。

こんなことを書こうか書くまいかさんざ迷ったんですが、
11月1日に、浪の容態が悪化しまして。

このままだと、最悪1週間で、と診断されまして。

外出もやめ、断酒して、24時間看病しました。
酒、呑んじゃうと、夜中の看病がおろそかになっちゃうんで。

東北大震災で瀕死になり
酷暑の夏も乗り越えた
浪の生命力、すごいです。
最悪の状態ではなくなったけど、予断を許しません。
覚悟しておいて、とお医者さんに言われてます。

でも、元気のいい時は、
一緒にベランダに出て、
朝陽を気持ちよさそうに浴びてます。

「浪、ごみを捨てに行くけど、ついてくる？」
浪は410号室の玄関を出て、
僕を追い越して階段を降りて行きます。

1階からは肩に乗せ、
ゴミ捨て場に行って、
うちの真向かい、ナチュラルローソンまで
一緒に煙草を買いに行きました。
店員さんが肩の上を見て、
可愛いですねと言ってくれました。

昔は浪とよく三軒茶屋を散歩しました。
肩乗り猫、って有名だったかも、なんてね。
浪、あの時のこと、覚えているかい？

この間はNHKの人が、
受信料を払って下さい、って来たね。

僕は2009年にキヨシローが遠い旅へ出た時、
何度も何度もキヨシローの番組を放送してくれた時から
受信料を払いたくなって、
最近は反原発に寄った番組も多いから
なおのこと、だったんだよ。

すると浪は玄関に来て、
僕とNHKの人のやり取りをしばし眺め、
1人で玄関を出て行っちゃったね。

「猫ちゃん、大丈夫ですか？」
はい、大丈夫なんですよ。

契約が終わって、浪を追いかけに行ったんだよ。
浪は1階まで行って、
Uターンして2階へ昇るところで、
僕を見つけると、
大声で泣きだしたね。

「遅いよ！いつまで契約してるんだよ！」

ごめんね、さあ、帰ろう。
肩に、乗りなよ。
僕らの家は、ずっとあそこだよ。
17年前から、そしてこれからもずっと、あそこだよ。

2011.11.14

コンテンツ