第50話「吉野家デビューの巻」

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「オーイ、キミキミ、ヨシノヤにいこぉ~ ヨシノヤ」

「ン? 吉野家? 牛丼の?」

「そうだぉ♡ ヨシノヤはヨシノヤだぉ」

「その だぉ っていうのヤメてくんない?キミがいうとなんだかキモイ…」

「なんだぉ~」

「ていうか、イラっとくる… ところでなんでまた吉野家?」

「アタシの人生の中で食べたことなかったことに気付いたんだぉ♡」

「だぉ っていうのヤメたら行ってやるよ」

「チッ 心の狭いオトコダネ~ アンタは! そんなことじゃ出世などせぬぞよ」

どーでもいい…
ということで、日曜の昼下がり
お洒落なカフェではなく、なぜだか吉野家に行くことに

でも、なんかイヤだな~
オンナ連れで吉野家って…
切ない感じがするよ
ボクの中では、吉野家ってのはさ “ヤロウヒトリ”で行くとこなんだけどな…
ということで、散歩がてらナカメの駅前に向かう

「あ、そうだテイクアウトする?」

「イヤだ~ 中で食べる~」

「なぜ故?」

「入ってみたいだもん、ヨシノヤ」

「ヒトリで行きゃいいじゃん」

「ナンデ?いいじゃん一緒に食べる!ツユダクとか専門用語も知らないし」

別に専門用語なんてないと思うけど…
などと、いってる間に吉野家に到着

「キャホー!ヨシノヤ~♡」

「バーカ、大声出すなよ、はずかしいだろ」

「ヨッシノヤ♪あそれヨッシノヤ~♪フレーフレーヨッシノヤ~♪」

バカかコイツ?
ていうか、みんなみてるし…
何がそんなにウレシイんだろうね

カウンターに座りとりあえず注文

「並2つ」

「あーーーーー!アタシ、ツユダクーーーーーーー!」

またバカでかい声
店内の客が一斉にこっちを見る…
ツ、ツライ…
なんかの罰ゲームか?

程なくして牛丼並が目の前に到着

iPhoneで写真をとるカノジョ

あー、何から何迄、恥ずかしい

写真をとり終わると同時に、また大声で
「イッタダキマース!」

もう、あきらめた、好きにしな…

一口食べるや
「ギャーーーーー!なにこれ!ウンマイヂャン!なんであたしゃ今迄ヨシノヤにこなかったんだろう!よし、常連になる!オニイサンよろしくね!」

って、店員のオッサンに挨拶してどうする
オッサンも苦笑いしてるし…
なんだか客も笑いこらえてる….

“すみません、コイツバカなんで気にしないで下さい”
そう心で呟く

「ゴチソーサマ〜♡」

満足そうで何よりだよ…

「よし、今日の夜もまたこよう♡夜は大盛り〜♡」

次からはヒトリで行って下さい…
心からのお願いです…

2011.09.15