第48話「夏の終わりの朝の巻」

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明け方5時

歌にならない歌と、言葉にならない言葉を発しながら

いつものように酔っぱらい女王が帰ってきた

最近は、めっきり朝晩過ごしやすくなってきたのだが

今日は何やら蒸し暑い

いつもなら一度目が覚めても

カノジョの帰宅を確認するだけで二度寝するところだが

今日に限っては、目が覚めてしまった

「#$%&'()POPJKHGJLK+a あーーーー」

だーかーらー、ナニいってっか解んないってーの!

放っといて、冷蔵庫を開け、ペリエのキャップをねじる

ライムのやつ

これに最近ハマってる

“はあ、眠れそうにないしな、クリスを連れて散歩に行くか”

そう思い、T-シャツとショートパンツに着替え

いつもの酔っぱらいを放置し、少し早い散歩に出かけた

冬になると、7時前くらいまで暗いけど

この時期のこの時間は、気持ちのよい朝陽がのぼるところだ

でも、もう夏は終わりだな

蝉の鳴き声も、お盆の頃に比べおとなしい気がする

夏でもなく秋でもない、晩夏ってところかな

「よし、走るぞクリス!」

そういって、ボクはリードを引っぱり走り始めた

太って、足の短いコーギー犬のクリスは犬のクセして足が遅い

しかも、体力がないのか、10mも走ると走りをヤメたがる

「たく、しょーがないやつだ、ゆっくりでいいから林試の森公園まで行くぞ」

いつもより早い分、いつもより長めの散歩をした

家に戻ると、カノジョはベッドの上で死んだように寝ていた

クリスは水をひたすら飲んでいる

ボクも2本目のペリエを空ける

7時か、いつもの起きる時間だな

2時間の早起き、別にたいしたことはないけど

なんとなく、2時間分、得した気分になった

後は変わらない一日の始まり

朝食をとり、いつもの時間に家を出る

いつものとおり、酔っぱらいの頬にかるくキスをしてね ×××

2011.09.01