第42話「夏はスグそこ、ガリガリ君の巻」

caonocafe-title

「ガーリガーリクン♪ガーリガーリクンガーリガーリク〜ン♪スチャラカチャンチャン」

「キミキミ、ガリガリ君買ってきてくれたまえ」

「カネにイトメハツケンヨ!コンビニにあるやつゼンブだ!ゼンブ!」

まだ梅雨は開けてないのに、外は真夏の暑さだ

カノジョはタンクトップと短パン姿で

クリスと同じように口を半開きにして下を出し、だらしなく叫ぶ

そして、また歌い出す

「ガーリガーリクン♪ガーリガーリクンガーリガーリク〜ン♪スチャラカチャンチャン」

「もういいからその歌ヤメテクンナイ!ウザイんだけど… んで、エアコンつければいいぢゃん!」

「いやだ、アタシャ今年の夏はエアコンはつけない自然と暮らすエネルギーなのだ」

「ンダソレ?意味解らん」

どうやら、カノジョは柄にもなく、節電を心がけているらしい

別にちょっとくらいエアコンつけたところで変わりゃしないとも思うのだが…

まあ、心がけとしては良いと思うので、好きにすればいい

と、思いたいのだが、とにかくガリガリ君買ってこいだの、

ウチワで扇げだのウルサクてしょうがない!

「たのむからガリガリ君かってきて♡ そしたら褒美にチューしてやる」

「ウッサイナー、わかったよ!買ってくるよチューはどうでもいいから」

最近の暑さで、朝昼晩と1日10本くらいガリガリ君を食べているカノジョ

よく、飽きもしないで…

ちなみに、カノジョは、沖縄に疾走(失踪)して帰ってきてから、

キャバクラ仕事にも行かず(当然クビだろうけど)

一日中家でウダウダしている

“仕事しろよ”と、いっても、“シューカツチュウ”とか、

ワケわからんことをいって何もしない

んで、一日中家にいてガリガリ君を食べている

“少しは表にでろよ!アイスくらい買いにいけよ!”そういっても

“お化粧節電モード”とか、ワケわからんこといって外にも出ない

困ったものだ

しかし、ボクは日中仕事に行くからわからないが、

このヒト一日中何してるんだろう?

そんでもって、仕事しない割には金持ってる…

キャバクラって、この不景気でもそんなに給料良かったのか?

そういえば、飲食はたいていオゴリ、もらいもんも多い

キャバ嬢って、収入の割には出費が少ないのだろう

ガリガリ君を大人買いしたところでたかが知れてるしな…

クリスを連れて散歩がてら近所のコンビニに

“あっ!ガリガリ君売り切れ!”

他のアイス買ってくと、ウルセーから

仕方なく、別のコンビニへ

“あっ!ここも売り切れ!”

そうなんだよな、急激な暑さでガリガリ君人気の上に

ここんとこ、10本単位で買ってるし、そりゃ無くなるわな…

参ったね、アイツのためになんで、コンビニ探し回らニャならんのだ?

そう思いつつ、3軒目はスーパーに

あった、5本! ベターザンナッシング! とりあえず全部買っとこ

カゴに5本のガリガリ君を入れ、レジに向かおうとすると

子供連れのお母さんが、アイス売り場の前でつぶやく

“あら、残念、ここも売り切れみたい”

哀しそうな3歳くらいの少年

そして、なにやらスゲー罪悪感に駆られた…

「あの〜、よかったらコレどうぞ」

うれしそうな少年の顔

「いいんですか?ありがとうございます」

そういって、お礼をいうお母さんにガリガリ君1本を譲った

カゴに残った4本を見つめていたら、さっきの子供の喜ぶ顔が浮かんできた…

ボクは、アイス売り場に戻り、ガリガリ君をもとあった場所にもどし、

代わりに別のアイスを数種類カゴに入れた

今日は、どこもガリガリ君は売り切れだ

そういうことにしておこう

節電できるくらいなら、買い占めもよくないことくらい

カノジョも解ってくれるだろう

そのかわり、ご褒美のチューはないけどね

続く

2011.06.30