第32話「チャイに夢中?の巻」

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「ちゃかちゃっちゃちゃっちゃっちゃん」

とある週末

カノジョは、クリスの散歩帰りに、スーパーの袋一杯に何やら買い込み

キューピー3分クッキングのテーマソングを歌いながら帰ってきた

「ちゃかちゃっちゃちゃっちゃっちゃん(リピート)」

どうでもいいけど、相変わらずしつこい

おまえは壊れたジュークボックスか?

そんでもって、スーパーの袋からテーブル一杯に広げ出したのは

“香辛料”だ

何に使うんだろう?

「ちゃかちゃっちゃちゃっちゃっちゃん(リピート)」

「ねえ、そこの3分クッキングの方、なに作るおつもりですか?カレーでも作るの?」

「ン?気になるかね、そこのキミ?どうしてもチューんなら教えてあげようか?」

「べつに、そこまでぢゃないけど…」

「ハゲシクキケヨォーーー!」

「チャイだよチャイ、本場のチャイをこれからつくるのだぁ〜よ、アタシャね!」

「インド人ウソつかない、なんてねーーー!キャハハハ」

・・・。へんなヤツ

どうやら、どこぞのカフェに行った時に飲んだチャイが気に入ったようで

作り方を聞いてきて自分で作ってみようということらしい

しかし、ガラムマサラにシナモン、ターメリック、ナツメグあたりは良しとして、

チリパウダーに鷹の爪、S&Bのわさびにからしって…

とにかく、ありとあらゆる香辛料を買い込んできたな

「ねえ、そこのおネエさん、本場インドのチャイに和からし入らないと思うけど?」

「んぁ?カフェのおニイさんは、香辛料はいろんな物入れてOKっていってたモン」

「アタシの本場スペシャルオリジナルインド式チャイを飲ませてあげるから、いいからそこでクリスとお待ち!」

「もう一回いってみ?」いぢわるしてみる

「本場スペシャル… いいからだまってマッテロ!」

キッチンに立ち、アレやコレやと香辛料を手当り次第にぶち込み

煮出し始めるカノジョ

んで、部屋中に立ちこめる香辛料の臭い

チャイというより、まさにカレー屋の臭いになってきた

クリスはというと、香辛料の臭いが嫌なのかベッドルームに逃げ込みやがった

格闘すること30分

チャイといえど、お茶わかすのにそんなにかかるものなのかね…?

「そこのおネエさん、できたの?」

「うーん、ひと味足りない…」

嫌な予感、チャイのいい香りが一向にしてこない…

「まあ、いいやとりあえず完成♥ キミ飲んでくれたまえ」

なんで、ボクにだけすすめる?自分は飲まないのか?

そのチャイとやらを見てみれば、なにやら黄色っぽい不気味な液体…香りはカレー…

恐る恐る一口だけ、口に含んでみる

「・・・。」小田和正の曲ではないが、言葉にできない…

「ねえ、ナニコレ?」

「えーと、チャイ…な、ハズ♥ オイシイ? わけなさそだネ♥」

「・・・。」小田和正状態…

「ちなみにさ、肝心の紅茶とミルクいれた?基本的にはミルクティなんですがチャイって…」

「・・・。」こんどはカノジョが小田和正

「たく、しょーがねーな、どいてオレつくっから」

ミルクで紅茶を煮だして、シナモン、カルダモンetc…

ウン、いい香り

「ハイどうぞ、チャイでございますオジョウサマ」

悔しいのか、だまってボクの作ったチャイを啜るカノジョ

飲み終えてひと言「ウー、ク・ヤ・シ・イけど、オ・イ・シ・イ」

「ホレ、ごほうびぢゃ」といって、キスをしてくれたカノジョ

なんか香辛料の香り…

フレンチKISSというよりインドKISSだなこりゃ

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2011.04.21