第33話「夜明けのスキャットを口ずさむの巻〜前編〜」

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「るーるーるるるー♪るーるーるるるー♪はー…」

 

ン?なんだっけコレ?

由紀さおりの夜明けのスキャット?

また古い曲を口ずさんでるなぁ〜、しかもため息まじりに…

 

「どうしたの?くらい歌なんか歌っちゃって?」

「るるる?」

「ン?なんだよ」

「るるるのるー!」

なんだバカボンに出てくるレレレのオジサン?

「フツーにしゃべってくんない?」

「るるる…」

やめた、相手にするの

「クリス天気いいから散歩いこうぜ!」

目を輝かせ、ないシッポを振って玄関に駆け出すクリス

ようやく上着が要らないぽかぽか陽気だ

散歩がホント気持ちいい季節

玄関でジョギングシューズを履いていると

背後から「るーるんるるるるるるるるるるんるるー」

「だーかーらー!ナニいってっかわかんないってぇー!」

ちょっとまってのポースを取り

リビングに引き返し紙とペンをもってきた

また、筆談ホステスか?

走り書きしたメモをボクの顔に突き出す

なになに【はーいたい】?

「なんだよ、ハーイ鯛?鯛に挨拶してどうすんの?」

ちがうちがうのポーズをとって再度メモを書く

【はがいたいの】?

「あー、歯が痛いのね」

そうそうと頷くカノジョ、今後はほっぺたを指で指して泣きまねをする

ジェスチャーってヤツね…

「歯が痛いからってフツーにしゃべればいいじゃん!」

【はがいたい!ゆーつだ!おくばいたい】

「歯医者いけばいいぢゃん…」

【きらいだ!いたい!こわい!いっしょにいってくれんならかんがえてもいー】

アンタは小学生のこどもか?

「わかったよ、歯医者連れてきゃいいのね?」

頷くカノジョ

そういえば同棲を始めてから歯医者になんて行ったことがなかったけな

ネットで日曜日でもやってる歯医者さんを調べて電話する

ちょっと遠いけど見てくれる歯医者さんがあったので予約をとる

「はいよ、見てくれるって、でも午後からだからちょっとクリスと散歩いってくるね」

哀しげな顔で右のほっぺたを両手で押さえながら

リビングのソファーに横たわるカノジョ

「るーるーるるるー♪るーるーるるるー♪」

夜明けのスキャットは壊れたジュークボックスの様に

リピートしたままだ

ちなみにこの曲ってたしかズーっとイントロだけだった気がする

サビってあったっけ?

 

カノジョのおかげで散歩の間、

ボクまで夜明けのスキャットのイントロをひたすら歌うハメとなった
スクリーンショット(2011-04-28 12.30.58)

 

歯医者の続きはまた来週

2011.04.28