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小諸に渥美清さんが、いる。
文/写真・鎌田浩宮
2013年6月11日。
午後4時。
雨降る小諸。
いっちーは何でも詳しいので、「寅次郎サラダ記念日」の撮影時、渥美さんはじめ山田組がどこに泊まったか、訊いてみたのだ。
「それはですね、すぐ近くの小諸グランドキャッスルホテルですよ!」
さすが!
観光案内所より、詳しい。
するといっちーは、素早く携帯電話でホテルに連絡してくれ、空き室があるか、宿代はいくらか訊いてくれた。
僕が頼んでいないのに、だ。
なんて親切な人なんだろう。
何から何まで、すみません。
いっちーはもしや、こんな事まで知っているかなあ。
渥美さんは、どの部屋に泊まっていたか。
「当時勤務してた人は、今日ホテルにはいないから、その人に電話してみますね!」
すんごい。
地元の人の誰よりも、詳しい。
「715号室ですって。当時は29000円、今は2万円くらいだそうです」
何から何まで、本当にすみません。
ただ、さすがにその部屋ほどの持ち合わせはないです。
まあ、渥美さんと同じ部屋に泊まろうなんて自体、おこがましすぎるのだ。
例えば僕が大金持ちで、その部屋に泊まるだろうか。
そこは、冒してはならない場所なんだと思う。
以前、柴又の高木屋さんに行き、渥美さんがいつも座っていた「予約席」へ特別に座らせてもらいそうになった時も、僕は断った。
その代わり、その椅子のところに、注文したビールを注がせてもらい、手を合わせ偲ばせていただいた。
という事で、普通のシングルルームを。
素泊まり5500円+入湯税150円で計5650円。
そう、なんと温泉もあるのよ!
安くて、助かるわあ。
まるでビジネスホテル並み、でないの。
いい外観でしょ。
懐古園からすぐそば、駅も近い。
なんと運のいい事に、渥美さんと同じ階の、705号室を案内してくれた。
いっち―も、ラッキーだねと言ってくれる。
この部屋に泊まった山田組のスタッフさんは、いたのかなあ。
そう思うだけでも、感激。
古いホテルなので、ベッドサイドにラジオが備え付け。
地元のラジオ、聴いて過ごすだに。
窓から、小諸の街並みが見られる。
渥美さんの715号室とは部屋の向きが違うので、渥美さんの見た風景とは違うんだけど、スタッフさんが見たかも知れないものね、感慨深くって。
一礼をして、渥美さんを偲びつつ、こちらも撮らせていただきました。
48作、いろんな所に行って、いろんな宿に泊まった山田組。
ぐっすり疲れが取れれば、眠れない夜もあったでしょう。
渥美さん、本当にお疲れ様でした。
そして館内の温泉へ。
サウナ付きの広い大浴場。
体を洗い、小1時間、湯船でゆったり足を伸ばして旅の疲れを取っていると、次第に客が増え、おじさんおじいさんで一杯に。
洗い場で座る場所もなくなったので、さ、上がりましょ。
平日でも、沢山の宿泊客がいて、ほっとしただに。
日が暮れつつある7時、いっちーがホテルに迎えに来てくれる。
いっちーさん、このホテルのロビー、見覚えありませんか?
そう、「男はつらいよ」第2作、寅の実の母・お菊さんが経営してた連れ込み宿の階段にそっくりだよ。
ホテルのフロントの人に聞こえちゃうよ、なんて2人で笑い合って。
そして小雨の中、ホテルを出て。
この「休館中」という貼紙も、いっちー達が貼っていったそうだ。
悲しくて涙が出ました、と話してくれるいっちー。
再開のめどがついて、本当によかったね。
すごいよ、いっちー。
すると、なんといっちーは、あちこちを寄り道して、ここはこのシーンの撮影場所で、と説明してくれるのよ。
こりゃあ普段彼が人力車で、お客さんからお金をもらってやっている事。
それをごめんなさい、ただで案内してくれて…。
なもんで、感謝を込めて、ここで宣伝です。
轟屋いっちーは、
懐古園の入口で
人力車をやってます。
http://www.kanko.komoro.org/jinriki/
◎人力車料金 ※施設の入園料、入場料は別にお支払いください。
◆試乗 1台2人乗り・1,000円 1台1人乗り・1,000円
体験乗車・三の門周辺一周 ※懐古園には入場しません
◆10分 1台2人乗り・2,000円 1台1人乗り・1,500円
三の門~黒門橋~本丸跡・懐古神社前まで
◆20分 1台2人乗り・3,500円 1台1人乗り・2,500円
三の門~黒門橋~本丸天守石垣~水の手展望台前まで
◆30分 1台2人乗り・5,000円 1台1人乗り・3,500円
三の門~黒門橋~馬場跡一周 ~天守閣跡石垣~藤村記念館前まで
◆40分 1台2人乗り・6,000円 1台1人乗り・4,500円
三の門~黒門橋~馬場跡一周 ~天守閣跡石垣~藤村記念館前~三の門まで戻ります
◆30分を超えて 10分毎に1,000円加算
小諸城址「大手門(重文)」や北国街道「小諸宿」など別のコースもご相談ください。
そしてなんと言っても素晴らしいのは、「男はつらいよ」のロケ地を回る
「寅さん心のふるさとコース」!
60分 2人乗りで10630(トラサン)円
1人乗りは6670円(-3960(サクラ)円)也。
小諸に
お寄りの際は、
ぜしとも
笑顔の素敵な
轟屋へ!
街の中は江戸時代から残る家屋も多く、寅さんファンでなくっても、豊かな情緒を味わえます。
寅さん
という名の
酒場。
寅さん
という名の
酒。
寅さん
が導いてくれた
出会い。
うわあ、ここがあのシーンなんだ、流れるよな案内に感涙してると、おお、いつの間にか「寅さん」という名の居酒屋へ到着。
「あら、寅さんのそっくりさんが入って来たかと思ったわよ」
と女将さんに言われ、僕、ものすごく嬉しい。
ここの女将さんも渥美さんとは縁があり、店の中には渥美さんと撮った写真と、色紙が飾ってあり。
ガンに苦しむ前の、元気な頃の渥美さん。
涙が出そうになる。
いっちーさん、ここからは敬語は抜きにして喋りましょうよ。
じゃあいっちー、俺の事は、寅さんを真似て、鎌さんって呼んでくれるかい?
笑顔で、乾杯。
そして、こんな酒も。
まさか、噂のマドンナ・寅さんなんて酒があるとは。
小諸市のお隣、佐久市で作っている麦焼酎。
いっちーと女将さんと3人で、寅さんの話が弾む。
「小諸のロケで、山田監督は大きなミスを2つやってしまったの、知ってる?」
と、いっちー。
「あの夏祭りのシーンは、10月末に撮影したんだけど」
「なのに大雪が降っちゃって、撮影が1週間も延びたのよね」
「1つ目のミスは、エキストラで出た地元の人達が、コート着ちゃってるの!」
へぇーっ!
「もう1つのミスはね、遠くに映る浅間山、雪が積もっちゃってるの!」
「ハハハ、それだけは山田さんでもどうにもできないわね!」
こんなお宝のような話を、一杯聞かせてくれる。
「いっちーがくれたチラシ、取っといてあるのよ」
なんですか、これ?
これはまだ寅さん会館再開のめどが立たなかった頃、なぜ小諸にこそ記念館を残すべきなのか、地元の人に知ってもらおうと、いっち―達が説明会&無料上映会をした時の物なのです。
沢山の人が来てくれ、地元テレビ局も取材に来た。
震災のため福島県から小諸に避難している人達も、来て下さったそうで。
偉いのは、この時「男はつらいよ」を、DVDではなく、HDDでもなく、35㎜のフィルム上映で行なった事。
今や映画館でさえ、映画をフィルムで観られる事は少ない。
フィルムも、きちんと松竹から借りたんだって。
当然、映写技師さんも呼ぶわけです。
行動力、すごい。
色んな肴を出してくれる女将さん。
これ、サービスよと言って、てんこ盛りのそばがきを出してくれた。
たっぷりの大根おろしと、とろろも一緒に。
その昔、蕎麦というのは、そばがきの事だったそう。
それを小諸のお殿様が、麺状に切って茹でて食べたのが、今の蕎麦の始まりだそう。
いい酔い心地、心もお腹も一杯になって、こんなに安くっていいの?というお会計。
女将さん、また寄りますね、それまでどうぞお元気で。
こうして更けていく、
小諸の夜。
小諸に渥美清さんが、
いる。
渥美さんの魂は、
今も小諸にいて、
微笑んでいる。
会館と中の展示物は小諸市が引き取ってくれたけれど、どんな風に再オープンさせるか、市との折衝をしていかねばならない、これからが大変。
皆さん、エプスタインズと一緒に、いっちーを応援していきましょ!
この、放られた看板が、いっちーや僕らの願い通りに、ぴっかぴかの看板に生まれ変わるように…。
この後2人で行った、素敵なスナック。
普段はカラオケをしない僕も、いっちーと一緒に「男はつらいよ」を歌ったのさ…。