第58話「カノジョの鎌倉ライフ〜中編〜」

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カノジョの手作りランチをごちそうになり

リビングでカフェオレを飲む

風景というか、状況は違うが

カノジョがいて、クリスがいて

なんだか“懐かしい”感じがする

カノジョに話しかけようと試みるが

なんだか、かける言葉が思い浮かばない

こんな時にクリスはありがたい存在だ

「おい、クリス散歩いこうか?」

相変わらず“散歩”という言葉には反応してくれる

「ちょっとクリスと散歩いってくるね」

「ドーゾー いってらっしゃーい」

なんだかクール

「一緒にいかない?」

「あー、アタシは朝いったからいいや、洗い物しなきゃなんないし」

ふーん、むかしは皿洗いなんかしたこともないのにね…

「じゃ、行ってくるね」

「いってらっしゃ~い、コースはクリスが知ってるよ」

「あ、うん、わかった。クリス行くぞ」

この前きた時とは違い、

秋の湘南の海は、人も少ない

3時を回ったところだけど、もう太陽は沈む準備を始めている

なんとも秋の海っていうのは物悲しさを感じるもんだ

クリスに引っ張られるがまま海辺に行き

のんびり散歩をしながらボーッと過ごす

「いいな、こんな暮らしも」

だれに語りかける訳でもない、いわゆる独り言が自然と口に出る

なんでも自分の思い通りに突き進むカノジョ

悪いけどボクにはマネ出来ない

羨ましいけどボクには出来ない

やっちゃいけないことないのに出来ない

その気になれば出来ないことないのにその気になれない

自由な暮らし

それを選択するのは自分

でも、ボクは自由な暮らしではなく、

トーキョーで縛られた生活を選択している

仕事をやめることに躊躇してしまう…

ところで、

カノジョはまだボクのことを好きでいるのか?

ここで一緒にボクと暮らしたいのか?

結婚も視野に入っていたハズだよな?

そもそもカノジョはこれからボクとどうしたいんだろう?

ボクのこと好き?

一緒に暮らしたい?

そんなことは、いまさら口に出して聞けないしな…

逆にボクはどうしたいんだと聞かれたらこたえにつまるだろうな

“あ、夕陽が水平線に沈んでく”

クリスは退屈なのか、いつの間にか眠ってる

うーん、

なんだか頭がぐるぐるする

なんとも心がもやもやする

とりあえず“カノジョのウチ”に戻るかな

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2011.11.17