第十七夜:「たぶんウソだとおもうハナシ」

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コレなんだか分かります? 私は最初分かりませんでした。
これは使用済みの手筒花火だそうです。
手筒花火は古くから家内安全や商売繁盛などの縁起を招くものとして
珍重されてきたそうで、大女将がまた勝手に買ってきました。
「縁起物だからね、奮発しちゃった!」とかヌカして。
オイオイ、幾らすんだよ?! こーゆうのって高いんでないの??
ったく、家内安全で火薬モノかよ・・・。
と、大女将のやる縁起事には一切信心深くない、けい子です。
 
 
ここのところ団体客が非常に多く、もうてんてこ舞いの日々です。
海外からのお客様も多く、若い仲居が
「若女将っ!英語わかりません!タシケテ~!」と言うから飛んでくと、
あ、フランスの方でしたか・・ボ、ボ、ボンジュール! なんて事も(笑)。
しかし全く手が足りず、悔しい事でしたが大女将に相談したところ、
元・大女将の片腕で、仲居クイーンであらせられました愛子様(笑)が
久々の降臨となりました。
まぁ面白い方です愛子さんは。 もう七十は越えているかと思いますが、
大女将とは異なり、誰でも和ませられるスーパー老仲居。
ま、冗談もハッタリも多いんですけどね。
 
丁度愛子さんが手伝いに来てくれた頃、ある団体さんが到着しないと
いう事態が起きました。 チェックインの時間はとっくに過ぎている。
こっちに連絡も無ければ、携帯電話すら繋がらない・・・。
何か事故でもあったのか??? と皆が落ち着かなくしていると、
愛子さんは神妙な顔をして静かに語りだしました。
アタシがここの前に勤めていた、古い旅館でのハナシなんだけど、と。
 
 
昔、愛子さんが働いていた老舗旅館で、会社の慰安旅行の団体さんが
到着せず、従業員一同が心配して待っていた夜があったそうです。
電話があり、それは警察からだったそうで、なんと事故でバスが
山道から転落し、乗っていた皆さんが亡くなられたのだと・・。
従業員はその大惨事をひどく悲しんだのだそうです。
しかし!
その後、次の年から毎年同じ日に、
その団体さんが「アレ」になって訪れるようになって困ったとか。
だからその日は確実に貸切にしないといけなくなったと。
他のお客が怖がるから・・。
そして「アレら」の幹事は言ったのだと。
「料理はいいんでお線香を持ってきてください。 あ、多めに」
と、さも瓶ビールのように・・・。
 
 
だからお客様は定刻に来てくれた方がやっぱりいいものよねえ、
あと、ちゃんと仕切ってくださる幹事の方も助かるわよねえ、と
ケタケタ笑って話す愛子さん・・・。
ツッコミどころは満載だったのですけれど、
私の後ろで話を聞いていたあの霊感少女みずほちゃんが
ウンウンと頷いてるのを見てしまったので、とりあえず誰かに
お線香を大量に買いに走らせようかとも思いました・・・。
 
その後、遅れていた団体さんはお見えになりましたので安心しました。
愛子さんは若い仲居や私を和ませようとしただけだと思いますが、
旅館業というもの、有り得ないハナシは沢山ありますしね・・。
ま、落語が大好きな愛子さんだから、たぶんウソだと思います。
しかし、本当にそんなん来たらどーしよう・・・。
ウチは生きてるお客様だけで十分です! だから来ないでえ!
 
 
あ! あの手筒花火、追っ払うのにバズーカとして使えないかな!?
 
 
 
 
 

2010.11.24