第十八夜:「マイラストソングをさがして・・」

diary_my

冬本番の寒さがパキパキとやって来ているので、
私のカラダも遅い冬眠準備を始めているのだとおもいます。
そう考えないと、止まらないこの旺盛な食欲の意味が分からない、
報道されていたクマさん達にも今更ながら同情する、けい子です・・。
 
 
この【Epstein’s】には【マイラストソング】というコンテンツが御座います。
 
「今際の際に、あなたはどんな曲を聞きたいですか?」
 
Epstein’s主催者であり、音楽家である鎌田浩宮氏から
私などにも、この【マイラストソング】を書いてくれという
連絡が御座いました。 鎌田さん、なんと難解で高尚なものを
こんな場末の旅館女将に依頼するの?! と思いました。
この世界での最後の瞬間に・・・ですか。
ぶっちゃけ、最後って何時なんでしょう?
30年後? 10年後? 来年? 来月? 明日?
そう考えながら、私は気づきました。
私はあまり「死」を恐怖していない事に。
多分、この生、この身に対しては未練がないのかもしれません。
相当に、自由気ままに、自分勝手に生きた半生ですから、
何が起きても文句は言えません。
 
 
【マイラストソング】に寄せられている様々な方の文を拝見しました。
それぞれに最後に聞きたい曲があって、理由があって。
守りたいものがあって、残したいものがあって。
何方も最後の瞬間は分からないけれど、
そうだろう、そうでありたいと、願われていて。
そしてその想いを代弁するような音楽、曲、歌があって・・・。
私は少し胸が締め付けられるような想いになりました。
 
演出家・久世光彦先生が考えられたというこの企画。
なんとも美しく、なんとも人の心をえぐる題材なのでしょう。
理想と現実、罪の意識、そして救済を願い、辿り着く自身の珠玉の一曲。
久世先生は音楽というものにどのような効果、存在理由を
見出していたのでしょう。
永久に言葉にできない私達の想い、そんなのを旋律だけが
抱きしめて連れ去ってくれる、共に天まで上ってくれる、
そうあって欲しい、そう願われていたようにも私は思えます。
 
 
私の「マイラストソング」、辿り着くのには随分と苦労しました。
音楽をやっていたせいもあってか、好きな曲は無数にありましたから。
悩んでいた時に、寄稿された文の中で幾つかありました「自作の曲」と
いうのを見て、そうか! と思い、私も昔の自分の曲を引っ張り出して
聞いてみましたところ、大ショックを受けました。
ええ、バリバリのパンクでしたので・・・。
歌詞のところどころで「死ねっ!」とか叫んでるし、
「セカイをバクハする!」、「みんなが死んでも私だけは生き残るぜ!」
みたい事もゆっちゃってるし。
嗚呼、今すぐ死んでしまいたい・・・。
 
 
でも、ある曲を思い出せてからは一気に書き上げられました。
書きながら、あの人の事、息子の事を想ってしまったら、
切なさと愛おしさから涙が止まりませんでした。
こんな私でも願ってしまうんです。
どうか許してください。
 
 
私の「マイラストソング」は、あの人が好きだった歌でした。
 
 
ありがとうね。
 
 
 
 
 
 

2010.12.01