2012年8月16日(木) That’s why god made the radio

取材/写真/文・鎌田浩宮

新曲を創り、
ニューアルバムを出し、
ツアーに出る。

理想的なバンドのあり方だ。

それを、齢70歳、結成50周年でやってのけた。
すごいことだ。

日本公演の中盤で、その新曲は演奏された。
驚いたのは、あれだけ熱狂的だった観客の声援が、
少しだけトーンダウンしたことだった。

50代以上、もしかしたら60代が中心の客層、
昔の曲は全て脳裏に焼き付くほど、としても、
新曲は聴く機会もなく、ここにやって来たのかも知れない。

「なんだいこの曲は?聴いたこと、ないのお」

しかし
「神の創りしラジオ」
というその新曲は、
ビートルズの
「フリー・アズ・ア・バード」
と同じくらいの
重さがあると思う。

片や、今は亡きジョン・レノンの未発表曲に、残された3人が曲を書き足し
最新のテクノロジーと、60年代の音質を大事にしたレコーディングにより
4人の曲として完成させたことが、とてつもない注目を集めたけれど、
苦しみながらもなんとか生き永らえたメンバーによる新曲というのは、
相当に貴重なことに違いはないはず。

だって、そんなバンド、他の何処にも、ないんだよ。

アンコールになった。
ほんの若干だけど、1時間半近く立ちっ放しの高齢のお客さん、
ここで帰る人もいた。
当のビーチ・ボーイズも、
引っ込んだと思ったら、間髪入れずすぐに出て来た。
引っ込む時間も惜しいほど、野外の暑さで疲れていたんだろう。

何とここで、ブライアンが精神疾患やらドラッグ漬けなどで
脱退し、ソロで復帰していた頃のビッグヒット曲「ココモ」を演った。
ブライアンは何のわだかまりもないように、
ピアノを弾いていた。

ライヴは終わり、僕とタカツカアキオは
えも言われぬような幸福感に包まれていたんです。

1時間40分というステージは、
その後の名古屋、大阪でのそれより短かったし、
ワールドツアーでは、香港やシンガポールを含め
3時間のステージをこなしたので、かなり短いド。

 

これ、幕張公演の曲目です。

01. Do It Again
02. Little Honda
03. Catch a Wave
04. Hawaii
05. Don’t Back Down
06. Surfin’ Safari
07. Surfer Girl
08. Don’t Worry Baby
09. Little Deuce Coupe
10. 409
11. Shut Down
12. I Get Around
13. That’s Why God Made the Radio
14. Sail on, Sailor
15. Heroes and Villains
16. Isn’t It Time
17. Why Do Fools Fall in Love (Frankie Lymon & The Teenagers cover)
18. When I Grow Up (to Be a Man)
19. Cotton Fields (Lead Belly cover)
20. Forever
21. God Only Knows
22. All This Is That
23. Sloop John B
24. Wouldn’t It Be Nice
25. Then I Kissed Her (The Crystals cover)
26. Good Vibrations
27. California Girls
28. Help Me, Rhonda
29. Rock and Roll Music (Chuck Berry cover)
30. Surfin’ USA
—encore—
31. Kokomo (with Christopher Cross)
32. Barbara Ann (The Regents cover) (with America)
33. Fun, Fun, Fun (with America)

 

そしてこれ、シンガポール公演です。
http://www.setlist.fm/setlist/the-beach-boys/2012/singapore-indoor-stadium-singapore-singapore-7bdc0624.html

01.Do It Again
02.Little Honda
03.Catch a Wave
04.Hawaii
05.Don’t Back Down
06.Surfin’ Safari
07.Surfer Girl
08.Wendy
09.This Whole World
10.Then I Kissed Her
11.Getcha Back
12.Isn’t It Time
13.Come Go with Me
14.Why Do Fools Fall in Love
15.When I Grow Up (to Be a Man)
16.Disney Girls
17.Please Let Me Wonder
18.Good Timin’
19.It’s OK
20.Darlin’
21.Cotton Fields
22.Kiss Me, Baby
23.California Saga: California
24.Don’t Worry Baby
25.Little Deuce Coupe
26.409
27.Shut Down
28.I Get Around
29.Pet Sounds
30.Add Some Music to Your Day
31.Heroes and Villains
32.I Just Wasn’t Made for These Times
33.Sloop John B
34.Wouldn’t It Be Nice
35.In My Room
36.All This Is That
37.That’s Why God Made the Radio
38.Sail on, Sailor
39.God Only Knows
40.Good Vibrations
41.California Girls
42.All Summer Long
43.Help Me, Rhonda
44.Rock and Roll Music
45.Do You Wanna Dance?
46.Surfin’ U.S.A.
—encore—
47.Kokomo
48.Barbara Ann
49.Fun, Fun, Fun

 

色々調べると、
元々はサマーソニックのヘッドライナーとして招聘したものの、
ポシャって単独公演。
但し契約はロックフェスティバル仕様の演奏時間のまま、
という噂もあります。

でも、でも、全然いい。
33曲も、生で聴けたんだから。

http://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-2208817/Youre-fired-Three-Beach-Boys-founding-members-dumped-bands-frontman-Mike-Love.html

そして遂には、9月26日には、こういった報道が。
ヤフーニュースでも、9月29日に載ってましたね。

「マイク・ラヴは、
ブライアン・ウィルソン、
アル・ジャーディン、
デヴィッド・マークス
を抜きにして

ビーチ・ボーイズのツアーを続ける
との声明を発表している。」

これも噂だけど、このままフルメンバーで活動を続けると、
自分の取り分がいつまで経っても増えないだろうから、
脚光浴びている時期にフルメンバーでの活動を停止し、
しばらくはマイクがメインを続ければ、客も入るし収入も上がる
という話も。

でも、でも、全然いい。
僕らはまだ、幸福感に包まれたままです。

その日、あまりに嬉しくて、タカツカアキオと記念写真を撮りました。

QVCマリンフィールドの係員の若い女性がとっても親切で
「撮りましょうか?」
と言ってくれたんです。
いい人、いるでしょ。

ラジオが、ずっと、鳴ってます。


2012.10.01