第92話 第2章「蛇オンナと蛙オトコ!?」の巻

「よう元気かね!レイコー頼むよレイコー。ウチのクリスにはミルクね!」

 

エラそうな態度でいきなり現れた

なにがレイコーだよっ!なにがウチのクリスだよっ!

 

「はいはい、お待ちくださいね、なんせ、みての通りいま忙しいんでね~」

 

「ふーん、要領わるいんだ、そこのオニイサン」

 

なんか、ケンカ売ってるとしか思えない…

まあ、いいや。相手にしない方がいい

しかし、なんだか、やたらケンカ売るな

そもそも何だっけか?コイツ怒らせたのって?

 

時間が経って、原因が何だったかイマイチよくわからなくなってきた

 

「はいよ、おまちどう、冷コーですよ冷コー!ガムシロとミルクたっぷり入れときました、お客様~」

 

今度は、何も言わずに目も合わせない…

 

一連のやり取りを見てヤツの居候先の初老の紳士が微笑む

 

「パパさん、ママさんがお昼はそうめんにしますか?だって」

 

「いいね、こう暑いとね」

 

「了解、LINEで伝えとく」

 

「ライン?なんだねそれ?」

 

「ん、まあそーゆーのがあるの!パパさんもそろそろスマホにしなよ!」

 

ふん、機械オンチがなにエラそうにいってんだろうね、

アイコン1つ自分で変えられなかったニンゲンがさ!

 

「ところで、お客さん新しいスマホですか?」

 

「そうよ、昔のヘンなオトコからかかってこないように変えたの、フン!」

 

なんとも、フツーに且つオモイっきりムカツク、コイツ…

 

冷コーなる、アイスコーヒーを一気飲みすると立ち上がり

 

「パパさん帰るよ~、ほら、クリスも!」

 

何しにきたんだコイツ!? イヤガラセか?

 

そこで、初老の紳士が口を開く

 

「ホラ、カレに言うことがあるんだろ?」

 

「・・・。」急に口を尖らせ、下を向くヤツ

 

何の話だ?

正式な別れの言葉か?

それとも謝りの言葉か?

帰ってくるってか?

それとも…

なんなんだ?

 

「うん、今日はいいや、やっぱ。コイツの顔見たら… 帰る」

 

そういって、店のドアを開けて出て行った

 

「何なんですか?何の話なんですか?」

ボクは思わず紳士に尋ねた

 

「君たちの間の話だから、彼女から聞くのがいいと思いますよ」

 

そういって、ヤツとクリスのミルク代を余分に払って

いつものように、ゆっくりとした動作で店を出て行った

 

おい、おいおい、何の攻撃だ?

だからいったい何なんだよ!何の話なんだよ~!

蛇の生殺しとはまさにこのことだな

 

今日は一日

イヤな気分で過ごさなきゃならなそうだなこりゃ…

 

2012.08.16