第75話 第2章「続・1日店長」の巻

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「ありがとおと〜♪きみに〜いわれええると〜♪なんだーーーーーか気持ちワルイ…」

 

でた!ウタダ…

髪の毛を切りに行くといって

お昼前にトーキョーの美容室に出かけて行ったカノジョが

帰ってきたのは翌朝の8時だった

「たっだいま〜 うえい! いや〜 トーキョーは都会だね〜」
「オイ!そこのあんちゃん、みずをいっぱいくで〜」

「おいおい、朝帰りはいいけど、なに酔っ払ってんだよ!」
「キャバクラ勤めの帰りじゃあるまいし!」

まあ、久しぶりのことだから許すとして
少し嫌みを込めてボクはカノジョにいった

すると

「そだよ〜 キャバクラではららいてきたぞー」

はららいてって、呂律がまわってねーし…

「マジで?」

「マジ〜! ほら2万円ももらってきた♡」

なんだコイツ…

昨日はボクに店番させて
アレだけ客が来て、忙しくて、腰と足が痛くなって
売上3万ちょっと、原価やら家賃やらボクのバイト代を考慮すれば
1万円あるかないかの利益だ

それが、ふらっといって、よっぱらって
2万円持ってこられてもなあ〜

やっぱ、世の中なんか間違っているような気がするよ、ホント…

「んで、なにキャバクラって?」

「まあさ〜 ていうかさ〜 髪きってさ〜 せっかくだからさ〜 アゲハにひさびさ電話したらさ〜 ごはん食べようってことになってさ〜 そのまんま店いこうよってことになってさ〜 いったらさ〜 店長のやろうがさ〜 バイト代出すから働いていきなよってことになってさ〜 こうなったわけでさ〜 んでもってはやくみずをくで〜」

ったく、久しぶりにスッゲーうざいしゃべり方だなコイツ…

「まあいいや、ハイ水! んで、どうするの店? 今日は休むか?」

「なにおいうんだねキミ〜!あけますよお店は、キミがね、きゃははのは〜! てなことで、あとはヨロ! アタシャ少し寝る… さいなら」

そういって店の2階の部屋に姿を消した

「なんなんだ、いったい?」

まあ、いいけどさ、昨日1日店番してノリは掴めたし
大変だけど、なれると案外楽しいし

よし、今日も1日店長でもやるか

やってやれないことはない

っていうか、どうせ今週ヒマだしな、オレ…

髪結いの亭主は今日も行く!ってとこだな

そんなこんなしていると、
いつもの常連客の姿が…

「おはようさん、どう?オクサン帰ってきたの?姿が見えないとこ見ると逃げられたか?」そういって笑う

「いらっしゃい、まあ、帰ってきたような来ないような、そんなとこです」と笑って返す

「いつものね」

「はい、いつものですね」

こうしてなんとなく、

いつものここで、

いつもの店で、

いつもの1日が始まるのであった

2012.04.12