第72話 第2章「春一番バーベキュー」の巻

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今年は関東では春一番が吹かなかったってニュースでやっていた

地震に温暖化にエトセトラ

ゆっくりと環境は変わっているのだろうけど

さほど実感できないのが、浅はかな我ら人類なんだろう

などと、小春日和の店のカウンターでふと思う

 

ようやく春か

桜はこれから一気につぼみが膨らむんだろうな

桜が散ってゴールデンウィーク

それから夏が来て、秋がくる

あっという間にまた、冬が来て正月

寒い冬が終わると春が来る

 

当たり前だけど、季節がひとまわりすると

ボクらも一つ年を重ねることになるワケで…

 

「ただいまんてんパパラッチ~、きゃほ~い!」

 

店のドアが開き、クリスの散歩がてら

店の食材を仕入れにいっていたカノジョが帰ってきた

 

「キミキミ、ショーバイはどうだね?ヒマそうな店だな~ キャハハ」

 

何が楽しいんだろうね、コノヒトは?

まあ、年がら年中浮かれているし、春だからな…

 

「なに浮かれてんの?なんか買い物いっていいことあったん?」

 

「ン?別に~」

 

いまどき、沢尻エリカのマネかよ?

 

「今日は春一番のバーベキューをやることにしたのだ~ 野田は醬油か?総理大臣か?ってね~ キャハハ」

 

「バーベキュー?」

 

「そだよ」

 

「どこで?」

 

「そこで」

 

アゴで指すのは小さなテラス席

ふーむ、ちょっといいかもしれない、天気もいいし

 

「ということで、キミキミ、ボーっとしてないで準備しなさい」

 

「準備って?」

 

「キミはオンナか?バーベキュー&キャンプはオトコのジャンルだろ!」

 

「あー、まあ、そうだね」

 

なんの、予告もなく気の向くままに行動に移す

多分、人間だから悩みの一つ二つあるだろうけど

なに考えてるんだかわからない

 

コイツって、ホントはスゲーヤツなのかな?

なんて、最近思うんだよね…

 

「オーイ!そこのオッサンのキミ~!早く炭を起こせ~!日が暮れる~!日が暮れる前に夕日にカンパイするんだからな~!」

 

「ハイハイ、わかりましたよ~」

 

「何度いったらわかるんだね!ハイは一回でいいのだよキミ!」

 

「ハイ…」

 

夕方日が暮れる前になんとか準備して、

ボクは肉だの魚だの、カノジョが準備する食材を外で焼きはじめる

すると、通りすがりの人たちが一人二人と集まってきた

 

「いらっしゃ~!どーぞどーぞ!1時間3000円ポッキリで食べ放題の飲み放題ですよ~♡」

 

なんだよ、コレ?

ボクとのんびりテラスでバーベキューやるつもりじゃないのか?

単なる客引営業だったのか?

しかもポッキリって、キャバクラじゃねーんだから…

 

そんなこんなでなんだか宴は盛り上り

売上は、いつもの10倍くらいになった!?

 

コイツ、実はバカみたいにしてるけど

もしかしたらスゲー商才あるのかも…

 

この夜、ボクは、カノジョからバイト料をもらった…

すっかり、髪結いの亭主だな…

2012.03.22