第六十一夜:「エビス顔にワンピース」

diary_ebisu

先週はお休みしてしまい、申し訳ありません。親類のお葬式があり、
息子と共に実家に戻り、そのままプカ~っとゆったりして参りました。
今後はマジメに書いていくと思います。たぶん?
 
当初の用事は問題なく進んだのですが、そんなタイミングで
妹がやってくれました・・・。
私が二、三日こっちに居るならちょうどいいと、
突然彼氏を連れてきたのです!
もちろん、父も母もそんな男に会った事は一度もありません。
妹の美香子はブサイクとまでは言えないくらいの顔だし、
年齢はともかくモテない事はないだろうと思っていましたが、
性格は自由奔放というよりただのいい加減、掃除、洗濯、料理は
一切できない、しかも自分だけに優しいという欠陥シスターですから、
私も両親も戦々恐々としてそのカレシとやらを待っておりました。
どーせ、ろくでもない男に違いない…と。
 
はい、ろくでもない男でした…。
詳しくは書けませんが、仕事は普通、収入も普通、見た目はやや…、
でも話す事は常識に欠け、自己中心的な思想が吹き荒れてて、
こちらが一応用意した晩餐(といっても大した事はないけれど)も、
 
「あ、僕、他人の家の食べ物は食べれないんで」
 
とかぬかしやがる!これには父母もコブシを固めたそうで。
エビスヨシカズの息子みたいな顔してて、年齢は私よりかなり上なのに
マザコン臭が漂っていましたから、その歳まで結婚してなかった理由は
随分理解できました。これも女将業のなせる技か…。
息子も「あの人、キモチワルイ…」と言ってましたけどね…。
エビスが帰った後、緊急家族会議が始まりました。
家族の怒りの熱は一気に燃え上がり、そして一気に収まりました。
 
 母「なに、あの人?アンタ、ホントに付き合ってんの!?」
 妹「ん~、まだ全然日は浅いけど。ん~、付き合ってんのかな?」
 私「連れてきたんだからそーなんだろうがよ!!!」
 妹「いやね、周りの友人もやめろって言うけど、そんな悪い人でも
   ないし、ならお姉ちゃんとお母さんに判断してもらおうと」
 母・私「んなもん、自分で判断しきってから連れてこいっ!!!」
 
妹もエビスはダメなんだと理解し、別れるそうです。
ま、まともに付き合っていたかも定かではありませんが。
どちらにせよ、これであの男とは永遠に会わなくてすみそうです。
ホッとした両親の表情は5歳老けていましたが…。
 
 
 
いやはや、ウチ一番の問題児は歳を食っても変わりません。
本当に困ったものです。
そしてそれが未だに許されている妹にもまた嫉妬を覚えました…。
私よりスタイルだけは昔から良かったから、服に関しても
私のお下がりを着る事なく、新品のイイ物ばかり買ってもらってました。
私と言えば親戚のお姉ちゃんのお下がりばかり着させられたので、
どっちが長女なのかは当時悩んだほどです。
高校三年の頃、私はショーウインドウの中で輝いていたワンピースに
惚れこみ、母にだだをこねて買ってもらいました。
後にも先にも私の「だだ」はそれくらいのものでした。
しかし高校を出て一人暮らしを始めてから、私の体型が可哀相なほど
変わってしまった事もあり、あまり着れなくなったので泣く泣く実家に
置いておきました。しばらくして久しぶりに実家に帰ってみると、
なんと妹がそのワンピースを勝手に着ているではありませんか!!!
「なんで着てんのよ!?」と叫んだ私に妹は「ちょうど合ったし」とか
悪びれる事もなく、母も母で「けい子より似合うわね」などと言い…。
私の宝物を横取りしておきながら悪びれる事もなく、しかも私より
似合ってしまっていた事に私はその場で崩れ落ちたのを覚えています。
 
 
何故、突然こんな事を言い出したかって?
そのエビス襲来の際、なんと妹はそのワンピースを着ていたのです!
今でも着こなせる妹の体型に嫉妬しながらも、エビスを招く為の
イッチョウラとしてそのワンピースは私の元に来たんじゃない!と、
私はエビスの中身とは別に、妹に対して怒り心頭だったのでした。
 
 
ヒトは自分に似た人間を好むとは言いますが、
よくよく考えると美香子とエビスは似ていたのかもしれません。
身勝手で悪びれない性格。言い換えれば「反社会的ニンゲン」。
でも、ま、好きにやればいいと思いました。美香子の事なんで。
私のワンピースさえ一生着なければ、ね…。
 
 
 
 
 
 
 
 

2011.11.09