第-5 「兄と私は毎晩、寝ずに見守っていました。」

Тэрбээр Японы эмэгтэйтэй гэрлэсэн нь уулзалтын Монгол , Япон руу цагаачилсан юм. Монголчууд Японд амьдарч , маш хэцүү байдаг. Энэ өгүүлбэрийг уншиж, зориг уу.

Камата хийж Hironomiya

Terbeer Yapony emegteitei gerlesen ni uulzaltyn Mongol , Yapon ruu tsagaachilsan yum. Mongolchuud Yapond amidarch , mash khetsüü baidag. Ene ögüülberiig unshij, zorig uu.

Kamata khiij Hironomiya

この不定期連載の回想録
「モンゴルの友達、日本で暮らす。」
の説明をしますね。

僕がモンゴルで出逢った
遊牧民の鉄くん(仮名)が、
現地で日本人の女性と出逢い、
言葉も分からない日本で結婚し、
生活するために奮闘する様を書いてくれています。

まずはその女性と出逢う前に起きた、
鉄くんにとって重大な出来事を
前回から書いてもらっています。

それは、日本の僕らにとって、
阪神・淡路大震災や
東北・東日本大震災に匹敵するような出来事…
ゾド(雪害)が起こり、
家畜のほとんどが死んでしまった…。

生活の糧を全滅させてはならぬと
温暖な地を求め、
鉄くんは体力と気力の全てを振り絞って
東京-神戸間に匹敵する、
600㎞の大移動を始めます。
(通常、モンゴルの遊牧民の移動距離は多くても40㎞)

震災後、日本の僕らにも、
厳し過ぎるほどの状況を
いかに生き抜くか、どう生き抜くか、
ということが重要なテーマになっていますが、
この鉄くんの文は、
大きなヒントを与えてくれている気がするんです。

それでは、ぜしお読み下され…。


エプスタインズ編集部 鎌田浩宮

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文 鉄
写真 鎌田浩宮
(写真は鎌田がモンゴルを旅した時の写真で、本文とは関係ありません)

翌朝、早く起きて北西へ向かいました。
そこ、ホンゴリンボラグを出るときに細い川がありました。
その川を越えて進まなければなりません。
けれど、私たちの羊・ヤギ・ラクダは川のないゴビ出身なので、水が流れる川を初めて見て怖がりました。
川から逃げ、引き返そうとします。

そこで私は、ラクダを先に、引っぱって川をわたってみました。
ラクダも川を怖がりましたが、2歩でわたりました。
それを見たヤギの中でも一番大きくて強いオスヤギたちが、勇気が出たのか、川をわたり始めました。
それでもできるだけ早く川からおさらばしたいのか、ジャンプしてわたりました。
2度のジャンプで、わたりきれました。

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それを見た他の羊・ヤギみんなが、では自分たちもと勇気がわいたようで、いっせいに川をジャバッ!ジャバッ!とわたりました。
この出来事はゴビ出身の動物たちにとって、初めての不思議な体験になったようです。

そして再び、皆で進みました。
さらに進むと、昔、村があった跡地のわきを通りました。
昼すぎに井戸水を見つけました。
そこで動物たちにたくさん水を飲ませました。
その後は夜まで移動を続けました。

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夜は、丘が続く小高い所で休みました。
丘と丘の間の平らな所でした。
その晩は兄が一晩中起きて羊・ヤギを見守る当番でした。
夜中に羊・ヤギたちを見守るのは、
① 狼に食べられないように
② 好き勝手なところへ行かせないために
③ 人間のどろぼうに盗まれないように
必要なのです。

兄と私は毎晩、交替で夜中寝ずに見守っていました。
寝ずの見守り当番をした翌日は、ラクダの背に乗り進みます。
そこでウトウトすることもあります。
夜、寝た方の人が、翌日は自転車をこぎ、進みます。

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さて、その夜中のことです。
明け方四時頃2匹の番犬が大声でほえました。
私はすぐに目を覚ましました。
寝ていたテントから外を見ると、羊・ヤギがいません。
兄の姿もありません。
ラクダだけがいました。

次週・10月3日(月)に次回を掲載します

2011.09.26