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浪日記⑪　　撮影・庫田久露武／文・鎌田浩宮

浪くん、17歳の誕生日おめでとう！

浪は拾ってきた猫なので、
本当の誕生日は分かんないんだけど、
1994年の7月16日に浪を拾って
19日の深夜、うちに来るんだよね、
で、その後割合すぐに近所の病院に連れてったんだ。
今もお世話になってる病院だよ。
その時ね、
大体、生後40日くらいだって言われたの。
両手の平にすっぽり入る小ささでね。

だから引き算すると、
6月10日を誕生日って決めたんだよ！

去年の頭に、
1年以内の命だと覚悟してくれと言われて、
なんてこったい！
誕生日だよ！

1歳の誕生日の時から
その日はお祝いに、
滅多にしない贅沢、
普段は買わない高い缶詰のキャットフードを買ってあげてたね。
大体、鯛が入っているやつだったんだよ。

今日、それ、買ってくるね。

僕の友達を皆招いて、
お祝いしたい気持ちだよ。
もし、今日この日記を読んだら、
僕と浪の家に来てみてよ。
お酒と料理でお迎えするよ。
浪もきっと言うよ、
「いやあ、ありがとよお」
って。

セラゲートインダストリーなんていう、
君のことを塵にしか思っていないような会社は
3月末で辞めちまったんだ。

拾った以上は、責任を持って、命を守る。
命は、金よりも、放射能よりも、重い。
君は、あの時からずっと、僕の息子だよ。

浪、無理はしないでいいからね、
往きたくなったら、つらくなったら言うんだよ、
それまでは、
楽しく＝豊かに、生きてこうね。
自分の人生は、自分のものだからね。