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- 2012.11.14:第九十八夜:「わたしの想うアレやソレ」
- 2012.10.31:第九十七夜:「いきものアルバム最終回 <イヌ>」
- 2012.10.24:第九十六夜:「百夜通い」
- 2012.10.18:第九十五夜:「二度と辿り着けない場所」
- 2012.10.11:第九十四夜:「わたしの理想」
- 2012.10.03:第九十三夜:「ワカゲノイタリ」
- 2012.09.26:第九十二夜:「私は巨大になりたい」
- 2012.09.19:第九十一夜:「近頃のあたしゃ・・・」
- 2012.08.15:第九十夜 :「あなたは知らない世界」
サブ・コンテンツ
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- 2023.03.04:[Radio] walkin’ to the beat everlasting⑥
- 2023.02.26:[Radio] walkin’ to the beat everlasting⑤
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第三十七夜:「母の日に」
皆様、ゴールデンウィークは如何お過ごしなされたでしょうか?
ゴールデンけい子です。 こちらは久々の賑わいがございまして、
幸せな日々を過ごさせて頂きました。
働く事、お客様がお越しになる事、笑顔がある事、喜ばれる事、
それは普通のことではないのですね。 少し忘れておりました。
文字の如く、「有難い」ことなのですね。
しみじみと、しみじみと、幸福を噛み締めております。
さてさて、先日の「母の日」。
毎年、私の実の母と義母(大女将)には「母の日」のプレゼントとして
お花や御菓子、陶器やなんやかんやを送っておりました。
ウチの母は、私が言うのもなんなのですが、
何に対してもハードルの低い人なんで、何をあげても喜んでくれます。
ええ、可愛いお方です(笑)
しかし、義母はと言えば・・・・・・・。
好きなお花をプレゼントしても「色が悪い」だの「匂いがキツイ」だの、
好きな御菓子を贈っても「味が落ちた」だの「これじゃない」だの、
二、三年前に美しいお箸をお店で見つけたので贈ったら、
「使ったけど手が痛くなる」とかヌカして二度と使わないんでやんの!
ムカっ!!!
私が憎くて憎くて仕方ないんでしょうね・・・。
それは承知しているんです。 それはもう・・・。
私が大女将の息子の寿命を縮めたのだとまだ思っているんでしょうね。
でも日本全国のイベントの日くらい、普通にしてて頂きたいものです。
そんなのが毎年でしたから少し億劫な気分になっていましたら、
先に大女将に言われました。
「母の日なんてなんにもいらないからね。 あんたなんかから」
ほんとうに可愛くありません。
とはいえ、少しせいせいした気もしました。
でも何も渡さなきゃ渡さないで後でぶちぶち言われそうな気も。
でもいらないって言われたんだし。 でもナシって訳にも・・・。
と、一人モヤモヤしていたら、息子の鉄郎がちょうど来たんで、
どう思うか聞いてみました。 そしたら鉄郎はこんな事言うんです。
「おばあちゃんはお母さんの本当のお母さんではないんだよね?」
「うん」
「お父さんのお母さんなんでしょ?おばあちゃんは」
「うん。そだよ」
「じゃあ、お父さんからおばあちゃんに贈れば?」
「んんん??・・・おおお!!!」
さすが私の息子! マイ・グレート・サン!
そか! 私からじゃなく、太郎さんから贈った事にしよう!
そしたら私が贈ったんだけど、太郎さんからだし、
いらないといった大女将の面子も保たれるってもんだ!
(※えっと、私の旦那はもうこの世にはおりません。 補足です)
てな感じで、鉄郎の作戦で義母にカーネーションを贈る事にしました。
プレゼントの贈り主は太郎さんにし、名前だけカードに書いてもらって
お花屋さんから直接大女将に渡してもらう事にしました。
日曜日。
お花屋さんには前日に頼んでおいたのですけど・・・。
考えてみればこんな事、余計義母を怒らすだけかもしれないと思ったら
全然落ち着かなくて朝からオロオロしっぱなしに。
しかし叱られるにせよ、お花屋さんから義母に手渡されるところは
傍で見届けねばと思っていたら、私はお客様の対応で離れた為、
その現場にいられませんでした。
結局、花は義母と鉄郎が一緒にいた時に届いたそうで。
鉄郎曰く、差出人を見て義母は一瞬驚いたそうですが、
すぐにいつもの顔に戻り、別段怒る事もなく、部屋の中央にある
机の上に置いたのだそうです。
鉄郎から話を聞いた時「ボス猿がそんなわけ・・・」と思いました。
大女将はすぐに私の顔が浮かんだはずです。 ブルブルブル。
と、日曜の昼間は結局大女将と会う事なくバタバタしていたのですが、
やはり気になり、夜にお伺いしようと思いました。
夕飯後、大女将が落ち着いている時間にでもと思い、
大女将の部屋に向かうと、いつものように大音量のテレビの音が
しないので「あれ?もう寝たのかな?」と思いました。
電気は付いていたのでそおっと襖を開けて覗いてみたら、
贈ったカーネーションを前にして、
お母さん、肩を震わせていました・・・・・・。
それを見て、私ももらい泣きしてしまいました。
よく考えてみたら自分よりも早く息子が召されてしまうなんて、
母親ならば、そんな哀しいことはないのです。
今ならば私にも分かります。
だからあの花はけっして私が贈ったものではない事にします。
それでいいでしょ? あなた?