第29話「キャバ嬢、山ガールになる?の巻〜中編〜」

caonocafe-title

「オカ〜お、コエ〜♪ イコ〜およ〜♪ るるるる〜るるる〜る♪」

「おいおい、みんな見てるよ!ハズカシイからやめろよ」

そして日曜日。明大前で乗り換え、

カノジョとボクは山登りをするために高尾山に向かう電車の中だ

でもって、電車の中でも人目をはばからずに歌を歌っている

ハッキリいって恥ずかしい

カノジョお気に入りのブルーのカルマンギアで行かないのかって?

まあ、古い車だし、週末に乗るか乗らないかくらいで、

バッテリー上がっちゃって動かないんです

そんでもって、恥ずかしながらボクはメカオンチでして、ホッタカラシ…

ということで、電車なんです

「おーみえたぁ!あれが高尾山か!まるで富士山みたいだぁ〜」

カノジョの言葉に、電車の窓の外を眺める

「あれ、本物の富士山だよ…」

電車の中から見えた山、それはまぎれもなく富士山

まったく、ああ、はずかしいったらありゃしない

あらあら、まわりの乗客の何人かは、笑いこらえちゃってるよ…

でも、東京からも富士山てみえるんだよな〜

少し、ボーッと窓の外の景色を見ていたら

なにやら歌うのをヤメて話し込んでいる

ン?携帯電話は禁止だぞ!?と、おもいきや

隣に座ったおじいちゃんとおばあちゃんと世間話をしている

さすがは現役キャバ嬢、

初対面のどんな人とでもおしゃべりはできるというのはすごい

「でさぁ〜、おじいちゃんはおばあちゃんのどこにほれたワケ〜?」

「エッ?それっていわゆる、おみあいってヤツ?」

「スンゲ〜、アタシ憧れてんですよねお見合い結婚!」

「ウチですか?ウチはドーセーケッコンって、やつなんですよいま!」

なんじゃ?ドーセー結婚って?

同性結婚てオトコトオトコ、オンナトオンナが結婚する事だぞ!

てことはお前はハルナアイか?

まあ、見ず知らずの老夫婦に誤解されても別にどうってことはないけどさ

そんなこんなしていると

“次は終点高尾山口、高尾山口〜” 社内のアナウンスが流れる

へえ、案外近いもんだな

高尾山口で降り深呼吸、都会とはちがう空気だ

天気のいい日曜日、おもったより結構すごい人出だ

あまり下調べもしてこなかったし、どうせみんな山登りするんだろうから

ついてきゃなんとかなるだろう

そして、人の流れにそって歩いているとケーブルカー乗り場へつく

とりあえず、これに乗ってきゃいいんだな?

山登りの本番はまだこれから先ってことだな

次週に続く

024

2011.03.31