第20話「風邪っぴきな週末の巻 〜後編〜」

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前号の続き

時計の針は夜中の01:40

「キミキミ、起きたまえ。食事の時間だよ」

非常識な時間に非常識な言葉

熱のせいで、ボクがおかしいのか?

いや、そんなことはない…ハズ

「なに?今頃さ食事の時間って」

「栄養つけたほーがいいですゼ!ささ、ダンナ起きて喰ってくだセー」

アホかコイツ?なにがダンナだよ!

「ジャジャーン!栄養満点スペシャルディナ〜!」

おい、なんだよこれ、ハンバーグに生姜焼き?

部活帰りの腹を空かせた高校生かオレは!

「オネーさん、ちょっとコレ…」

「うまいですぜ〜、ささドーゾ、ドーゾ遠慮なく」

ちなみに、なんだよそのキャラ?時代劇でも見てたのか?

「あのね、オレ熱あんの!わかる?んで、食欲あんまないしさ」

「てか、ふつーさ、お粥とか思いつかない?」

「・・・」

あっ、露骨に機嫌悪くなってるコイツ

と、思った瞬間

プイっと背を向けてキッチンへ

「クリスおいで〜!ちょっとさ〜、人がせっかく作ってやったのに文句たれてるヤツがいるんだけどさ〜あ、ね〜、いやなかんじよね〜、がんばってつくったのにね〜、クリス君なら美味しそうに食べてくれるのにね〜、人の気持ちわかるもんね〜クリスは犬だけどさ、でも人のクセして人の気持ちわかんない人もいるんだよね〜、哀しいね〜」

なんだこいつ!これみよがしに!ムカツク!

オカユなのオカユ!熱ある病人は普通は食欲ないの!

「あとでクリスとたべるから!たべなくっていいよ!バ〜カ!」

ン、泣いてる?

カノジョの性格からして悔しくて泣いてるんだろうけど…

「もう、いいよ!心ない人はほっといて深夜のミッドナイト散歩にいこ!クリス」

そういい残して足早に出て行ってしまった

深夜のミッドナイト散歩か、
深夜とミッドナイトがかぶってますけどね…

「ちぇ、なんで機嫌悪くなるんだよ、常識だよ常識」と

独りごちり、目の前の特製スタミナ定食を眺める

そういえば、カノジョの手料理、久しぶりだな…

複雑な気持ちで箸をつける

ン、珍しくウマイじゃん、このハンバーグ

でも、ホント食欲ないんだよなあ…

ため息とともに、生姜焼きにも手をつける

そういえば、はじめて作ったんだよな、この生姜焼きも多分…

30分くらいかけて頑張ってはみたものの、ハンバーグは何とか完食

さすがに、生姜焼き半分でリタイヤ…

時計は2:30

まだミッドナイト散歩とやらからは帰ってこない

クスリを飲んでベッドに戻る

だいたいヤツは、ボクの看病しているのか、

それとも病気を悪化させようとしているのか?

そんなこと思いつつ、しかたないのでメールを打つ

“ハンバーグうまかった。でも、生姜焼き半分残しちゃったゴメン”

メールの返事はない

それもそのハズ、

カノジョの携帯はソファーの上でメールの着信音が鳴っていた

ま、いいや

なんだか、もやもやしつつも、やはり熱のせいか

しばらくすると寝入ってしまった

翌朝、目が覚めるとようやく少し熱が下がって楽になっていた

リビングのテーブルの上には無造作に

ドンキの黄色いショッピングバックの中に

20袋くらいの白がゆが置かれていた

カノジョとクリスの姿はない

そのかわり置き手紙があった

“オカユ食べホーダイ!すきなだけくえバ〜カ”

と書き記してあった

あっかんべーと書いたつもりであろうへたくそなイラストと共に

今度は朝のモーニング散歩にでもいったのかな?と

苦笑いしながらオカユを三袋あたためる

ボクとカノジョとクリスの分を…

2011.01.27