第一夜:「多生の御縁」

diary_001

はじめまして。 信州の山深い土地で旅館業をさせて頂いております、
けい子(仮称)と申します。 この度は私の東京時代にて多大なる御厚志を
頂いた、音楽家・鎌田浩宮氏からのお誘いでここで隠れ日記をやらせて
頂く事になりました。 どうぞよろしくおねがい致します。
何か場違いな気も致しますが鎌田氏の御言葉通り、好きに愚痴らせて
いただく所存です!
ええと私は今、世間でいわれる「若女将」というものをやっております。
追々語る事になりそうですが、私の上には「大女将」がいます。
ボス猿です。義母だったりします。
それはそれは一時期の関係は酷いモノがありました。
「は?これ火サスかよ!?」なんて事も。 ここ数年は落ち着いています。
ちゃんと笑顔で対話もしています。 勿論、無言です。
あまりドロドロとした事は書かないつもりですが、
多分そうなります。 ご了承とご期待下さい。

最後に、付けろと言われて名付けたブログタイトルは、
鈴木しづ子さんの俳句から頂きました。
鈴木しづ子さんとは伝説の女流俳人らしいです。
「娼婦俳人」とも呼ばれていたそうで、本の出版記念のパーティの席で
「それでは皆さん、ごきげんよう。 そして、さようなら」
と挨拶をしてそのまま姿を消したそうです。 その後の消息は現在も
不明だということです。 昨年、あるお客様から彼女の事を教えて頂き、
すぐに本を取り寄せて読んでみました。

生涯でたった二冊の句集だけを残して消えた彼女。
読んでみて彼女が「娼婦俳人」という呼ばれ方をされた事に私は
怒りと哀しみを覚えました。 それは句から受ける情念や眼差しではなく、
彼女の外側だけを切り取って、戦後日本の男達が面白がって
そう呼んだだけのように思えて。
それくらい、彼女の句はただただ「女」なだけでした。
理由もなく「女」は「おんな」なんです。
しづ子さん、もしも何処かで生きてみえたら今90歳だということです。
少し、憧れます。 おんなとして。 

 

夏みかん酸っぱしいまさら純潔など   -鈴木しづ子-

 

 

2010.07.21