第8話「キャバクラに行く〜後編〜」

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食品メーカーのクライアントとの飲みの席。

地鶏のやきとりと希少な芋焼酎で宴もたけなわ。

同世代の専務達と、同世代であろうお連れのボクたちは、

仕事の話しはそこそこに、酔いもそこそこで会話がはずむ。

専務と先方の部長が何やら昔のディスコの話しで盛り上り、

「次いきませんか?」と、上機嫌なクライアント。

「ディスコとはいきませんが、面白い店いきませんか?、歌謡曲BARなんですけど」

と、専務。さすが、いろんな店知っている。ということで、2軒目に。

モニターに映し出される佐野元春だとか、キャンディーズに

大盛り上りの店内、クライアントさんも、さらにヒートアップ!?

汗を拭きながら「いや〜、楽しいですね、もう一軒!今度はウチもちでいきましょう!」

とノリノリのクライアントさん。

「色気がないんで、キャバクラいきませんか?」

「いいですね、お付合いさせて頂きます」と、専務。

まさか、カノジョの店だったりして…

まあ、ここで月9のドラマなら、カノジョの店にいって波乱が巻き起こるところだが、

そこまで話しはうまくできてはいない。

で、ボクの人生で2回目となるキャバクラ訪問。

実は、キャバクラ初体験も専務のお伴で、実際いくら払っているのかすら知らない。

入り口には60分20,000円と書かれてあるが、次から次へと席に着くお姉様達が

「一杯頂いてもいいですかあ〜?」などとぬかし

カシスウーロンなどを注文し、乾杯して一口啜ったところで店員に

○○さんご氏名です!と、よばれ席を離れる。

その一口だけのドリンク料金も加算されてゆく訳で…

だいたい、何のためにキャバクラなんぞに来るのだろうか?

なにが楽しいんだろうか?何か期待することでもあるのだろうか?

そして、ボクのカノジョはそんな客達を相手に、どんなことを考えているのだろうか?

薄い水割りを飲みながら、アレやこれや思いを巡らせているうちに

ぐるぐると頭と目が回りはじめた。

キャバクラではたらくカノジョを持つボクとしては、

何かと複雑な気分で、まったくといっていい程に楽しめない。

まあ、どうせ“ごちそう”になっているのでどうでもいいことだが。

でも、クライアントさんにはもちろん

「いやー、楽しかったです!また誘って下さい」と、

所謂、社交辞令を忘れてはいけない、社会人としてね…

酔い覚ましに、トイレにいって顔をあらい鏡を見れば、

赤い顔をした、だらしない顔のボクがいる。

エロイオヤジから若いイケメンまで、いろんな客がくるんだろうな…

結構大変かも知れないな、カノジョの仕事って。

まあ、その分時給もはずむって訳ね。

とにかく、今のボクにとっては、キャバクラというところは

あまり楽しめないところ、ってことだな。

2010.10.28