【読者寄稿】 長尾順也さん

「つばさ / 本田美奈子」
 
 これしかない。
 俺はライダーだ。
 俺にはバイクという翼がある。
 その翼は俺に自由と勇気と希望をくれた。
 そしてその翼を羽ばたかす時は、死と隣り合わせでもある。
 いまわの際に何を想うのか、色々考えてみた。
 
 結果、未練しか残らないだろうと思った。
 愛する妻、まだ幼い娘を残して潔くなんて死ねるわけがない。
 俺はまだまだ死にたくない。
 どんなことがあってもだ。
 死を逃れる為なら、どんな悪魔とでも契約してやる。
 だが、それでも死から逃れられないとするならば、
 せめてこの曲で眠りたい。
 死を旅立ちに置き換えて、未練を希望に変化させたい。
 本田美奈子の優しく、楽しそうに歌う顔を思い出し安らかに逝きたい。
 
 とかなんとか、色々もっともらしい事を書いたりしてみたが・・・
 妻がこの歌が好きなのだ。
 この歌を口ずさみながら、娘と晩御飯の用意をしてる姿を思い出す。
 もし俺が死ぬときは、楽しそうな家庭を思い出しながら死にたいね。
 最愛の妻、最愛の娘の歌声を聞きながら逝きたいもんだ。
 
  

私つばさがあるの 太陽にきらめいて
はばたきながら 夢追いながら
はるかな旅を つづける
 
私希望があるの 心からかがやいて
夜明けの色 夕日の色に
つばさを染めて 飛ぶのよ
 
自由が私には 勇気と光をくれたわ
 
あなたもある つばさがある
飛び立つのよ 空へと
美しいわ 幸せでしょう
風にのり 虹を渡ろう
 
みんなつばさがあるの
未来へと華やかに
月日を越えて 悩みを越えて
あなたの道を たどるの
 
つばさが大空の 蒼さと優しさ教える
 
あなたもある つばさがある
飛んでいるわ ひとりで
誇り高く そのつばさで
なないろの 虹を抱こうよ
 
広い宇宙だわ あなたきれいだわ
雲のなかで私と つばさが重ねるよう
 
あなたもある つばさがある
飛び立つのよ 空へと
美しいわ 幸せでしょう
風にのり 虹を渡ろう
 
 
 

2010.11.02