【読者寄稿】 村田啓治さん (俳優)

「深夜高速 / フラワーカンパニーズ」
「死ぬまでに自分でつくる歌」

歌は好きです。
週一くらいで独りカラオケする程度には好きです。
部屋の中で熱唱してしまうくらいにも好きです。
ただ、リスナーとして大雑把というかイージーすぎるというか。
その時々でなんとなくお気に入りの歌を聴いたり歌ったり、
というスタンスなので、特に「この歌!」みたいなのがございません。
ひとつの歌に対するこだわりみたいなのが薄いんですね、きっと。
そんななので「いまわの際の聴きたい音楽」と訊かれても…すみません。
 
 
 
いやいやいやいや、それだけじゃあまりにも。
というわけで考えます。
どんな状況で死を迎えるのかにもよるわけですが、
とりあえず今でいうと最初に思い浮かんだのは、
フラワーカンパニーズというバンドの「深夜高速」でした。 

生きててよかった  そんな夜を探してる

そんな歌です。
もしこの文を書いている今この瞬間に突然死にそうになったとしたら、
慌ててPCのフォルダをmp3→フラカンと開いて、クリックですよ。
そして歌のラスト、 

生きててよかった……

で息を引き取れたら大成功!
ただ、一曲にこだわれない性格上、一年後には別の「いまわの際の歌」
を挙げていると思われます。 一ヵ月後でも違う歌かもしれません。
もっと言うと明日のもわかりません。グダグダでごめんなさい。
 
 
 
っていうのでもまだアレだと思われるので、もう一回改めて考えます。
そして、思い出しました。一生の目標のうちの一つを。
十代の頃に決めたんですよ。
「死ぬまでに一曲でいいから歌をつくろう」って。
その為に何か努力してるかって言うと、まあちょっと忘れかけてた
くらいの温度で絶賛放置プレイ中でした。
でもこれからはその目標を忘れないようにして生きようと思うので、
どうか許してください。
そしていまわの際は、その、自分の中から絞りだした歌をと思います。
死という状況に相応しい種類の歌になるかどうかはわかりませんが。
言ってみれば、コミックソングみたいなのになる可能性もありますか。
まあそれはそれで。
 
 
 
っていうところで、さらに考えました。 そして、気がつきました。
実は、何か引っかかってたのでございます。
いまわの際に「聴きたい」っていうか……。
僕は、
聴きながら死ぬより、
歌いながら死にたいです。
声を出せる死に方かどうかはわかりません。
声帯は震わせられないかもしれないけれど、
聴いて死ぬよりも歌って死にたいです。
その歌は「生きててよかった……」かもしれないし、
それまで創りあげた「自分の歌」かも知れません。
つまり、自分の歌としてコミックソングみたいなのを歌いながら
息を引き取る、ということになるかも。
まあ、それはそれで、ユカイ。
満足です。
 
でも、ああ、お題からズレちゃいました。
申し訳ないです。
  

青春ごっこを今も 続けながら旅の途中
ヘッドライトの光は 手前しか照らさない
真暗な道を走る 胸を高ぶらせ走る
目的地はないんだ 帰り道も忘れたよ

壊れたいわけじゃないし 壊したいものもない
だからといって全てに 満足してるわけがない
夢の中で暮らしてる 夢の中で生きていく
心の中の漂流者 明日はどこにある?

生きててよかった 生きててよかった
生きててよかった そんな夜を探してる

年をとったらとるだけ 増えていくものは何?
年をとったらとるだけ 透き通る場所はどこ?
十代はいつか終わる 生きていればすぐ終わる
若さはいつも素裸 見苦しい程ひとりぼっち

生きててよかった 生きててよかった
生きててよかった そんな夜はどこだ

僕が今までやってきた たくさんのひどい事
僕が今まで言ってきた たくさんのひどい言葉
涙なんかじゃ終わらない 忘れられない出来事
ひとつ残らず持ってけ どこまでも持ってけよ

生きててよかった 生きててよかった
生きててよかった そんな夜を探してる
生きててよかった 生きててよかった
生きててよかった そんな夜はどこだ

いこうぜ いこうぜ 全開の胸で
いこうぜ いこうぜ 震わせていこうぜ
もっともっと もっともっと見たことない場所へ
ずっとずっと ずっとずっと種をまいていく
全開の胸 全開の声 全開の素手で
感じることだけが全て 感じたことが全て

生きててよかった 生きててよかった
生きててよかった……
 
 
 

 

2010.11.09