映画「鎌田浩宮 福島・相馬に行く」制作日誌02

撮影/文・鎌田浩宮

死ぬ
まで、

生きる。

  • 左から主演の杉本紀男、杉本敏之、共同監督の大友太郎。ロケ中ですど。

前回、鈴木明子ちゃんの話を書いたけれど、安藤美姫ちゃんも頑張ったなあ。
妊娠した、なんて言ったら、関係者、支援者、スポンサーが怒り出すの、分かってたはずなの。
五輪が終わったらでも赤ちゃんは産めるじゃないか、って。
アスリートとしては駄目なのかも知れない。
我慢して練習に専念するアスリートがほとんどだと思うの。
でも、美姫ちゃん、人間らしくっていいなあ、と思ったの。
彼女は、あの時に、赤ちゃんがほしかったんだなあ。
僕らみたいな一般庶民って、目標に一途になれなくって、ぶれるじゃない?
ダイエットしてたって我慢できずに食べちゃうし、会社での成績だってなかなかうまくいかない。
目標からぶれちゃうのが、人間なんだよ。

それでは、今日も、行ってみよう!

 

 

2014年2月11日(祝) 撮影、そしてなんとか許諾

朝から撮影。
9割方映画は完成しているが、何かが足りないと思い、今回も大友君がカメラを持って来ていた。
お父さん(紀男さん)と僕が腹の底から笑っているカットが撮れたらいいな、と思っていた。
予定では、お父さんの大好きな釣りを僕とやっているカットを狙ってたんだが、大雪の後なもんで、釣りにはあまりに不自然な天候ということで、NG。
ドキュメンタリー映画は、その状況に瞬時に合わせていかないとならない。
時間ぎりぎりまで撮影し、昼に悪路の中、大友君東京へ帰って行った。
明日彼は仕事なので、夜中には帰宅しないといけないのだ。
本来、海沿いの常磐道ですぐに東京へ着くのに、原発事故のため、県の中央部、東北道へ迂回して帰らないといけない。

午後、関係者向けの試写のため、昼飯を取らず杉本家へ戻る。
試写開始。
どえらい緊張。
観終わり、
「身内で観る分にはいいけど…」
と、上映の許諾を渋られる。
本音で喋っているシーンが多いので、被災者に誤解を招き怒りを買うのではという危惧だった。
誤解を招かないようテロップを加えるなどの提案をするが、聞き入れてもらえない。
バカマダ、焦る。
頭を床につけんばかりにお願いする。
こんな時に限って、共同監督の大友君も菅野君もいない。
孤軍奮闘。
ダイイチ!
関係者は大丈夫だからと先走って昨日市民会館まで先導したお父さん、黙ってしまって全然加勢してくんない!
杉ちゃん(敏之君)も黙ったまま。
なんだチミたちは!

確かに、誤解を招き、後ろ指を指され、非難の対象になるのは、僕らスタッフではなく、出演した関係者の方だ。
結局、誤解を招く発言の部分を全てカットすることで、なんとか上映の許諾を得る。
ああ、疲れた。
関係者が帰り、普段は吸わない煙草を思いっきしふかす。
2日ぶりに風呂にも浸からせてもらう。

この日の夜も呑んだ。
お父さんと杉ちゃん、関係者の時全然喋らなかったせいか、とにかく酔っ払い喋りまくる。
逃げたい。
早く楽になりたい。
でもここは杉ちゃん家。

この晩も、おばあちゃんの部屋で寝る。
夜中起きて、ひっそりとオリンピックを観る。

  • 次のロケ先をカーナビで確認する、大友共同監督と杉ちゃん。

後日、結局この関係者からの要望で、その人が映っているカットは全て削除してほしいと言われた。
もちろん、了解した。

つづく・・・

 

 

映画「鎌田浩宮 福島・相馬に行く」特別先行無料上映会

入場無料です!!お気軽にお越し下さい。
日程 2014年4月6日 日曜日
開場 午後1時30分
開映 午後2時
場所 相馬市民会館内 多目的ホール
福島県相馬市中村北町63-3 電話 0244-35-2426

出演 杉本紀男 杉本敏之 チャコ 鎌田浩宮 他
監督 大友太郎・鎌田浩宮・菅野宏彰
撮影 菅野宏彰・平野哲郎
編集・構成 大友太郎
タイトルデザイン 井上綾
音楽 鎌田浩宮


2014.02.24