2012年10月22日(月) 新しいYES

文・qurata kenji

 

目も眩むよな秋空の下に立っても、
心地よい秋風を浴びても、
“通勤”という概念を失くしてしまった僕に、
何時、何処へ、誰に会うのか、何に出会うかさえ、
想定も予測もできなくなってしまった僕の人生に、
どんな音楽が今、必要なんだろう?
 
 
このコーナーの執筆を依頼され、そんな事を考えていた時に
ふと思い出されたのはSalyuさんの歌声だった。
 
 
Salyuは映画『リリイ・シュシュのすべて』で誕生した
“Lily Chou-Chou”としての活動を経て、
その後ソロデビューという形で現在に至る。
 
 
厭世的なメロディと歌声、時折“救済”のように差し込む光、
そんなものを湛えていたLily Chou-Chou。
その本体とも言えるSalyuの本来の歌声など
全く想像もしていなかった。
それほどにSalyuの歌声は眩しかった。
 

 
 
 
僕らと同じ視線の声などではなかった。
もっと高く、もっと上の位置から、
もしかしたら、空や天から降ろされる、
太陽の光のような歌声。
でもそれは遠い宇宙からではなく、地球の上から響いている。
母とも異なる、過去から現在、未来までを包んでくれるよな温かさ。
己の肉体の何れかを犠牲にしても、余りある幸福感。
何百年も待ち焦がれた人にようやく出会えたよな、その感謝の瞬間。
 
 
 
何処に連れて行かれるか分からない感覚に、いつも付き纏われる現代人。
それは生活上の不安なのか、生命体としての焦燥なのか。
Salyuの歌声は、か弱く、寄る辺無い一生命としての僕らに
“そうだよね、でも大丈夫”と、軽やかに伝えてくれる気がする。
そして見上げればやっぱりそこには青空がある。

 

 

 

新しいYES

歌詞 / Salyu

 

自分の中にあるけれど
どうしても うまくとりだせないもの

しくじった うまくのれなかった
ひっそりと 奥の方で縮こまってるよ

空は曇り空で 曇ってる事以外気づかない
だけどそこに雨がポツリ
またポツリと降り出した

雨は空から落ちて
全てを濡らして行った
新しいYES が光った

涙の向こう側に
光がこぼれていた
新しいYES と出逢えた

ららら

いつでも 夢を見てたいけど
包まる 毛布が見つからないから

探そう外に出たら いまもどっかで待ってる新しいサウンド
自分の中 何か響いて
それが輝きだすから

風が舞い誘ったら
あなたが微笑んだら
新しいYES が聴こえた

明日の空に浮かべた
雲を追いかけてたら
新しいYES と出逢えた

どこまで続く この空の先は
わからないけれども あなたといたいな
そしてそれがいつでも 最高のYES で あれたら

雨は空から落ちて
全てを濡らして行った
新しいYES が光った

涙の向こう側に
光がこぼれていた
新しいYES と出逢えた

風が舞い誘ったら
あなたが微笑んだら
新しいYES が聴こえた

明日の空に浮かべた
雲を追いかけてたら
新しいYES と出逢えた


 

 
 

2012.10.22