行く、東北へ。⑤相馬

取材/写真/文・鎌田浩宮

何日か、 厄介になるよ、 おじさん。 帰る日、 決めてなくても いいでしょ?

2012年4月16日(月)。 電車は震災で不通になってしまったため、代行バスでJR相馬駅に到着。 去年亡くなった杉ちゃんこと、杉本敏之君のおばあちゃんのための、 花屋を探す。 あった。 よかった。 百合を買う。 東京より物価が安いのか、僕のヒンソーなポケットでも、 花束は豪勢になった。 ほどなく、杉ちゃんのお父さんが車で迎えに来てくれた。 おじさん、久しぶりですねえ!何日か厄介になります! 何日か、決めてなくていいのだ。 それがおじさんの、懐の深さ。

  朝から 肉炒め 作ってくれた おばあちゃん、 今年、 亡くなった。 杉ちゃんも、 おじさんも、

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悲しみの中、 だった。 (今回の写真は全て、杉ちゃんの家の近辺のもの) おじさんと会うのは、10年以上前。 1度、親友の加藤久直と2人で、相馬に来ているのだ。 あん時ゃ楽しかったなあ。 杉ちゃんは介護施設勤め、夜勤だったから おじさんと3人で呑み歩いた。 相馬は魚が旨いんだぞ、 おじさんの連れて行ってくれた居酒屋の美味。 2軒目、おじさん行きつけのスナックで 普段決して歌わない久直が、楽しそうにカラオケしてた。 おじさんも大いに歌った。 いい年こいて定職に就かなかった僕らを おじさんは大歓迎してくれた。 杉ちゃんのお母さんは若くして亡くなったので おばあちゃんが家事をしていた。 若いから体力つけて、と 朝飯から肉を炒めて出してくれた。 その心根の嬉しかったこと、旨かったこと。

  相馬 なのに、 うなぎ?? 家に着き、すぐにおばあちゃんへお線香。 百合と、東京は銀座なんぞで買ってきたおせんべいを、お供え。 夜、おじさんはうなぎ屋を予約してくれていた。 あれ? おじさんは魚が大好きだから、刺身の旨い店かと思ったけど。 「放射線量が高くて、相馬は禁漁になっただ」 おじさんは魚を食べるのも釣るのも大好きで、これだけでも、 生きがいの一部を削がれてしまったようなものだ。 「敏之が東京の大学さ受かって、敏之を預けた東京の下宿のおばさんがな、 『敏之君、魚だけは、どんなのを出してもまずそうに食べるんです』 って言うから、相馬の魚をおばさんに送ってやったんだよ。そしたらな、 『こんな旨い魚を食べて育ったんですね、これじゃ無理ないですわね』 って納得してくれた。それだけ違うんだ」 これ、おじさんの自慢で、口癖にもなっていた。

  ガンは、 楽には 死ねない ことは 知らないか。 ただ、相馬が禁漁で、今日はうなぎ屋ということ、 僕は杉ちゃんともおじさんとも嘘っこなしでいたいから書くと、 ちょっと、ほっとした。 というのは、杉ちゃんやおじさんが、 相馬の食物と体内被曝に関してどのような知識や考えを持っているか 話したことはないし、話すつもりもなかった。 出された物は全て美味しく食べさせてもらおうと思っていた。 でも、怖いという感情も偽りではなかったのだ。 体内被曝に関しては、世界のどこを探しても、科学的なデータがないのだ。 微量でもガンなどの原因になると説く科学者はいくらでもいる。 僕は、20代の時に親友を脳腫瘍で亡くしている。 だから知っているが、決して楽に死ねる病気では、ない。 苦しんで、苦しんで、苦しみ尽くして、 しかも、治らないという絶望を叩きつけられながら死ぬのだ。

  会いたかったぜ、 おじさん。 会いたかったぞ、 キャマダ。 相馬で 会えた 喜び、 尽きない。 おじさん、今夜は久しぶりにとことん呑もうね。 「俺はまだ強いぞ」 じゃあ、競争だ、おじさん。 こうなるとおじさんは、じっとしていられない。 仕事から杉ちゃんの帰宅が遅くなるというのに 当初予約した6時半までに店へ行くと言って聞かない。 家に来ていた2人の娘…杉ちゃんにとっては2人の妹なんだが、 彼女らが予約を遅らせようと言っても、完全無視。 2人の娘。 長女は嫁いだ宮城から、仕事の休みが取れたので、実家に1人で来ていた。 次女は旦那と相馬で産まれたばかりの赤ちゃんと3人で、実家の近所に住んでいる。 2人とも、僕とは初対面に近かった。 結局おじさんと僕の2人だけで、先に店へ行くことになった。 おじさん、本当に愉快な70歳だなあ。 皆が来る前に、2人、たらふく、呑む。 おじさんは、僕の前に、壁を作らない、偉ぶらない、飾らない。 まるで杉ちゃんよりも、おじさんとの方が親友かのように。 この日はおじさん、酔っぱらって、皆より早く寝ましたぞ。

つづく・・・

2012.05.22