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行く、東北へ。④仙台、そして相馬へ。
取材/写真/文・鎌田浩宮
魚を
無造作に
くるんだ、
新聞紙。
それさえ。
仙台で買い物をした際に、くるんでくれた新聞紙。
河北新報 2011年11月2日(水)。
これだから、気を抜いて新聞紙1枚捨てるのもとがめられ。
「義援金・寄付金」
「ボランティアセンター」
「心の相談」
「遺体安置所」
「亡くなった東北の人々」
例えば「義援金…」「ボランティア…」は、
それぞれの振込先や受入先が書かれている。
つまりは、読者である東北の人も、余力があったらお願いしますね、
という募集なんです。
旅に出たら、
その土地の
フリーペーパー。
旅が、
楽しい=豊か
に、なる。
これは、ホテルかコンビニか飲食店で手に入れた
「読者参加型FREE PAPER 輝人達(キララ) vol.10」。
創刊から1年の、全48ページ、オールカラー。
「目指せ有名人 仙台から全国へ!自分を発信しませんか?」
「キララをきっかけに恋人を作ろう!」
「十二支霊場 仙台向山 虚空蔵尊 届け、恋の祈り。良縁成就祈祷会
水子供養いたします お守りプレゼント券」
「仙台から発信!合コンセッティングサービス 登録料/年会費無料」
それらの一方で「東日本大震災から1年」と、硬派な記事も。
他にも、ファッション、農業などの体験型ツアー紹介など。
念のため書くけれど、エロネタ、一切ないよ。
硬軟、清濁取り混ぜる姿勢は、全くエプスタと同じ。
共感するぜ。
2012年4月16日(月)
昨晩までに引越がほぼ完了。
今日から早速ワオ君(仮名)は、朝から出勤なので、
僕も同時刻に家を出て、友人の待つ相馬へ。
本来なら仙台駅から相馬駅へは、海沿いを走る常磐線1本で行けるのだが。
駅の
路線図が、
既に、
SFで見た
情景。
地元の人はもう知っているので、それほど大々的に告知はしていない。
こんなポスターをところどころで見かけるだけ。
相馬駅の数駅手前の、亘理駅(宮城県)までしか行かれない。
そこから先は、駅舎が津波で損壊しているそうだ。
亘理駅からは代行バスで相馬駅まで行く。
その間にある数駅には停車しないので、
そちらに降りたい人はどうするんだろう?
で、さらに、相馬から先へ、南下するとどうなっているかというと。
小高~双葉間は「運転見合わせ区間」とある。
そう、放射能汚染、無人の荒地だ。
相馬から5駅しか離れていないことにも驚く。
この路線図の下には自動券売機があって、
何も起きてないかのように、人々が切符を買う。
だが僕は、SF映画でしか観た事のない光景に、立ち止まってしまう。
よく見かける、駅ホーム内の時間表。
本来なら相馬駅まで1時間で行くところを、
バスに乗り継ぎ、計1時間半で向かう。
あくび、
出るほどの、
蟹工船に、
揺られ。
大体、1時間に1本だ。
出発。
東京では珍しい、汽笛を鳴らす常磐線。
のどかに揺られ、あっけなく亘理駅に。
ここから先、電車は決して走らない。
白い紙で、隠してある。
改札。
何分後にバスが発車するのか分からないので、慌てつつ。
ここでも、路線図が、気になった。
塞がれている。
たった、1枚の紙で。
もう、説明文さえ、ない。
バスに乗り、出発。
放射線量の高い地域へ近づいているのに、長旅で、あくびばかり出る。
しかし、たまに煙の出ている大きな煙突を見かけ、どきっとする。
もちろん、それは原発であるはずはないのだが。
8割がた埋まったバスの乗客は、皆無言で。
正直に書こう。
蟹工船を想起させた。
道がすこぶる空いていたので、早く着いた。
相馬駅。
立派な駅舎。
実際には、原ノ町駅~広野駅間が、立ち入れないようになっていた。
相馬駅前ロータリー。
以前書いたように、僕の友人・杉本敏之君が、震災・原発事故で失職し
やむを得ず、宮崎県の農場で働くことになった。
そのさなかにおばあちゃんが体調を崩し、お亡くなりになった。
震災・原発さえなけりゃ、おばあちゃんを看取れた。
いや、体調を崩すことからも守れたかもしれない。
以前相馬へ来た時に飲み明かした杉ちゃんのお父さんも、
自分のお母さんの急な旅立ちに、さぞ打ちひしがれていると思う。
そんな「二次被災者」とも言える友人の家に、僕は何ができるか。
浪のためだけに生きてきたこの1年から、新しく動き出す。
さあ、歩き出そう!
つづく・・・
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