第61話「ひさしぶりの、・・・。」の巻

caonocafe-title

人間というのはそれなりに順応性があるものだな

もう、かれこれ2ヶ月くらい経つのか、早いモンだな

一人暮らしにも慣れてきた

行きつけのBARもできて

最近では、ほぼ毎日足を運んでいる

おかげで酒が少し強くなった気がする

もともとキャバクラなんぞで働いていたアイツだから

どうせいつも真っすぐ帰ったところで、いないんだけど

どうにも家にはいたくないんだよな

酒飲んで寝て、起きるだけの家

そう思うと、家賃高いよな

引越しも考えたけど

気まぐれなアイツのことだから

もしかしたら…

なんて考えて、だらだらと今に至るワケで

そういえば、

オンナは過去にすがらずに未来というか、将来のことを考える

んで、オトコはっていうと、結構過去にすがる

そんなことをこの前ネットで見たんだけど

やっぱそうなのかな?

なんて思う次第

最近行きつけのBARに何人か常連の女性客もいて

それとなく仲良くはなったものの

フェイスブックのトモダチになった程度で

それ以上に、デートだのナンダのって気分にもなれない

やっぱ、引きずってんのかな?

街はイルミネーションで飾られた

幸せもどきな空気が漂う

そうすぐクリスマス

去年は確か、ベロベロに酔っぱらって

ケリーのバックの中に、ケーキがグチャっと入ってたっけ

「なにをヒトリでニヤニヤしてるの?」

声をかけてきたのは

このBARで知り合い

ファイスブックトモダチになったコだ

「いや、ちょっと去年のクリスマスのこと思い出してさ」

「聞かせてよ!」

そういって、そのコはボクの隣に座った

少し酔っていたこともあり

飲みながら、だらだらとそのコに、

カノジョとの去年のクリスマスのことや

今に至るまでをボクは話し続けた

一通りはなし終えて

結構酔いがまわった頃

そのコはボクにこういった

「ねえ、キミのカノジョになってあげようか?」

ン? ン? ン?

キョトンとしているボクに

そのコはいきなり抱きつき、こともあろうに

そのコの方から唇を合わせてきた

BARの若いマスターは

気を効かせてか目を背けているのが横目で見えた

どのくらいだろう?

結構長い間唇を合わせた

どのくらいぶりだろう?

カノジョ以外のオンナのコとキスをしたのは

唇をそっと離し

そのコは、つぶっていたまぶたを開き

照れくさそうに

「てへ」っと、いって、

飲みかけのモヒートのグラスに手を伸ばした

その仕草が、ものすごく可愛らしかった

そして、今度はボクからキスをした

さっきよりずっとずっと長いキスを…

2011.12.07