第80話 第2章「キャバ嬢、カマクラに再び〜後編〜」の巻

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「こんにちは、ようこそおいでくださいました」

 

とても、品の良いご夫人だ

 

「こんにちわ~!おまねきありがとうございま~す!これおみやげで~す!」

 

「あらまあ、きれいなお花ね、ありがとう」

 

うーむ、流石はキャバ嬢社交性はあるんだよな~

 

アンティーク風の調度品に囲まれたリビングに招かれると

常連客である初老の紳士が窓際のロッキングチェアに腰掛け

新聞を読んでいた

 

そういえば、最近ロッキングチェアも珍しいよな?

 

「おお、いらっしゃい、よく来たね!なんだい、彼女も一緒か?」

 

「はい、一応お伺いすることをメールしたら、いきなり帰ってきたんです。派手な格好ですみません」と苦笑いをしながら言った

 

「ははは、彼女は銀座?いや、六本木ってとこかな?」

 

「ぴんぽーん!六本木のキャバで~す!」

 

「相変わらず元気そうでいいね、キミは」といって笑う紳士

 

「ドンペリ持ってきたんでかんぱいしましょ~!」

 

「ははは、まあまあ、のんびりやりましょう、夜は長いんだから。折角だから庭でBBQをやろうと思ってね」

 

「いいですね」

 

リビングでまずは奥様の入れてくれた紅茶と手作りスコーンを頂く

うーん、まるで英国にいるようだ

 

カノジョはいたく、スコーンが気に入ったようで

熱心に焼き方を聞いていた

 

そして、庭に出てBBQの準備

手慣れた感じで炭に火をおこす紳士、楽しそうだ

 

子供達はもう独立して東京で働いており

盆と正月に帰ってくるだけなので、普段は夫婦2人きり

悠々自適にここで暮らしているわけだけど、正直、寂しいのだろう

だから、朝食だけは散歩がてらあえてウチに来て食べているのだろう

 

日が長くなったな…

 

沈むオレンジの夕陽に包まれ

カノジョの持ってきたドンペリで乾杯

 

終止笑い声が絶えない宴は、

長く長く、夜遅くまで続いた

 

2012.05.17