応募作品#6 昭和四十五年九月十七日木曜日 火山、川、犬、人のことなど

編集・鎌田浩宮

 

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
「エプスタ随筆大賞」

随筆には、色々あります。
日常を描くもの。非日常を描くもの。
現在を題材に。過去を題材に。
私たちの「綴方教室」が、今日も始まります。

 

 

題:昭和四十五年九月十七日木曜日 火山、川、犬、人のことなど
著:名無シー
テーマ:おれは悪くない

 

 ∮       §       ∮       §       ∮

 

昭和四十五年九月十七日木曜日、夕刻から、秋田県中東部の奥羽山脈の山塊の中、秋田駒ヶ岳が噴火した。
噴火の様子は周辺市町村からも確認出来たが、それを目撃した人の思い出話によると、山が吹く火柱は線香花火の「柳」のようだったとも、ただ山が吐く赤い煙を空が映していただけだったともいう事で、皆思い出がそれぞれの記憶の中で色々に形を変えているのかも知れなかった。
同山から直線距離で四十キロメートル程離れた町の東部カンカン内の河岸段丘上の住宅地に建つ古い日本家屋の玄関で、小学一年生の少年が息を潜めて靴を履いている。
少年が夜陰に乗じてこっそり家を抜け出すと、三歳の弟がそれを目敏く見つけ、兄の後を追った。
二人は二百メートル程真っ直ぐ通りを進み、突き当たりの川の神を祀る神社裏、川岸の江戸期からの石垣の上に立った。
既に川端の住人達が暗がりの中に集まってきていて並び立って同じ方向を見ている。
神社裏の川原はグラウンドの様に広々としていて、空が開けて眺望が利く。
山脈の横に広がる黒い影のなだらかな凹凸の一箇所が、線香花火の「柳」の様な火を吹いているか、盛んに赤い煙を立ち上らせ、それが空に返照しているか、どちらかの状態をホログラムの様に交互に思い起こさせる。
火山は一際勢いを増して「柳」を散らし、若しくは煙を増量させ、北国の寡黙な人々も固唾を飲む合間に、「おおっ」と声を漏らす。
本当はそれは「おおっ」ではなく、日本や世界の他の地域の人々には発音できない「お」と「あ」と「う」の間の母音の弱鼻音化した響きだった。
それは橇を引く農耕馬の首に提げる土鈴のコロンとした響きのように、嘗て優しくこの土地の生活全体を包んで来た音だった。
後ろ姿の影絵を紺色の空に浮かべる小さい兄弟は、そんな声があちこちから聞こえる人垣に加わって、今となっては実態のつかめない火柱を見ていたのだった。

その年、その事件の少し前に一家には赤ん坊が生まれていた。二人の兄弟が火山を見に行っている間、赤ん坊は家で寝ていて、もう一人、一歳の幼児も同じ和室で寝ていた。
川端の二人と寝ている二人、それが私達四人兄弟だっだ。
四人兄弟が揃った年の出来事として、その火山の噴火の話を、父母や母方の伯父達から幾度か聞かされた。

川端の道は度々私達の生い立ちの話の舞台となった道で、火山を見ていた二人は、数箇月前にもその川端の道にいた。
末の弟が生まれたとき、その道を五百メートル程も歩いて病院へ行く道すがら、二人は野犬に追われた。
二人が病院に現れたとき、三歳の次兄の顔や手は引っかき傷だらけになっていて、産後で疲れ切っている母を心配させた。
長兄によると、犬はどれ程追い払っても次兄に纏わり付いて離れなかったということだが、本当は小さい野良犬を長兄が次兄に抱っこさせたところ、いやいやした犬に引っかかれたのではないかという疑惑もある。
次兄は真相を全然憶えていない(その四十数年後、嘗て病院があった場所の前の川原の夏草を、火山と同じ山塊の麓の農場の仔羊四頭連れてきて草毟りさせていたところ、たまたま対岸を通り掛かった散歩中のシベリア犬が突然目の色を変え、飼い主のリードを持つ手を振り切って石垣を駆けくだり、川を泳ぎ切るや仔羊四頭の首を次から次へ、あれよあれよという間に咬み千切るという事件があった事を母から聞いた。夏草の濃い緑、羊毛の入道雲のような白、鮮血の真紅。川原はイタリアの国旗のような様相を呈したという)。

犬を追い払うのに失敗はしたものの、長兄は私達弟達の面倒を良く見た。
人と人のことについては必ずしも器用な方ではなく、子供らしく至らないところも多かったと思うが、それでも普段弟達の様子には健気に気を配っていたと思う。
私も次兄も弟も、長兄の同級生達の遊びの輪に加えて貰って遊んだ記憶が多い。
隠れんぼや、当時はまだ宅地の周りに残っていた田圃での虫採り、蛙採り、イモリ採り、蛇観察、川端の神社の縁日に各地から集まってきた的屋の背中の動物観察、野犬からの身の隠し方、自転車の曲乗り、ブロック塀からの飛び降り方、家の門の木戸の屋根からの飛び降り方、小屋の屋根からの飛び降り方(冬季)、自宅の瓦屋根登り(ここからは飛び降りない)など、私達弟は兄の背中を追う中で遊びや危険回避の術、危険への挑戦を覚えて行ったと思う。
中でも私は絵や洋楽など兄と共通の趣味があったので、殊に仲が良かった。
よく兄が、私の書いた絵をアレンジした絵を描いて、私もそれを真似た絵を描くと言う、絵の連歌のようなことをして遊んだ楽しい記憶がある。

そんな兄が家を出たのは高校時代だった。
兄弟達には父方の一族の中で旧家の因習のしわ寄せが多々あった。
更に、まだ戦後の空気の濃い時分で、旧富裕層への復讐心は、学校では教師生徒両方の中に 赤く 燻っていて、兄は随分酷い暴力に晒されていたらしかった。
兄が学校からも家からも距離を取ろうとしたのは、思い起こすと自然な事だったのだろう。
小学五年生位の頃、私が一人で家の留守番をしていると、暫く姿を見せなかった兄が帰って来た事があった。
玄関から入って来たのではなく物置部屋の裏口の扉に秘密の開け方があった。
私は最初、父が連れて来た居候の大学生 山田がまた勝手に他の部屋の棚などを物色しているのではないかと警戒して柱の陰に身を隠したが、本棚の前とステレオセットの横のレコード棚の前に片膝着いて物色していたのは兄だった。
ものの五分ほどもすると、来たことは誰にも言うなと行って、また姿を消した。

その頃の夏、次兄と一度長兄の住む下宿屋を訪ねたことがある。
留守だった兄の部屋の扉の前に瓶のコカコーラと隣室の住人が書いた手紙が置いてあった。
ふざけるな、と言う怒りの手紙だったが、その手紙の下に長兄の書いたそもそもの発端の手紙も敷いてあった。
いつもお世話になっております。よろしければお召し上がり下さい。
隣人が飲もうとしたためコーラの瓶の栓が開いていて、中から醤油の匂いがした。
長兄の、隣人への他愛ない悪戯だった。

その後間もなく、長兄は独り東京に出た。
東京での暮らし向きは学校をドロップアウトした兄には矢張り楽ではなかったが、兄は中学に上がった頃の私に遊びに来るようによく言ってくれた。
出掛けるのはブニュエル等のサイレント映画や、弁士付きのチャップリン等の上映会だった。
何度かそう言う事があった。
当時、田舎育ちの私には、丸ノ内線のプロムナードの同じ一続きの地下街に二つ地下鉄の駅があるなどと言う地方では考えられない驚異などに気を取られ、兄の孤独な奮闘については思いを致す思慮すら無かったが、兄は兄で、田舎では見られない映画等を面白がる私の様子に満足していたところもあったと思う。

しかし、私が高校に上がる頃には私自身が気むずかし屋になり、一方兄は生活苦からか、さる新興宗教に入信するなどして、私達の間には徐々に距離が生まれていった。
私が大学に入る年だったか、正月に帰省した兄は、主人公が歴史の激動の波にもまれて人生を変えてゆくその年話題の映画を例に、人間にはその映画の主人公のような転機が必要なのだ、根底から変わらなければ…… と熱っぽさを噛
みしめるように語ったが、それは既に兄自身の言葉ではなかった。

私が大学に進んだ後、一度兄に誘われて新宿の静かな大衆割烹で飲んだことがある。
兄は何故私が哲学などを志したかを知りたがり、一応私の説明を聞き届ける振りはしながらも、私の説明が済むと、それまでの話を意に介さないように決然と、台本があるかのように突然舌の滑りまでよくなって、どれ程哲学を重ねても結局、宇宙のリズム、真実はただ一つだけなのだと説いた。
兄の布教活動はしかし、ラジカル過ぎる私の前に釣果を上げられず、挙げ句坐礁したようだった。
その夜を境に、兄は私を避けるようになって行った。

正月の帰省も、私とは必ず日をずらして帰ったが、ある時、正月に帰省しなかった兄にアパートの大家が何故帰らないのか理由を尋ねたことがあったそうだ。
兄は、弟に会うと自分が恥ずかしくなる、正月にも田舎に帰りにくいとこぼしたという。

その頃迄に、兄は糖尿病の症状が悪化して行った。
華奢で小柄な人だったが、若い頃から糖尿病を患っていた。
病魔も私の存在と手を携えて兄を気弱にした事だろう。

その兄が今年の春唐突に他界した。
独りで誰にも看取られること無く亡くなったのを大家が見つけたそうだ。
検屍の結果は多臓器不全だった。
糖尿病は重症化し、少し前に心臓のペースメーカーを埋める手術も受けていたというが、兄に避けられていた私は一切を知らなかった。

冷たい雨の日、歩くのがやっとの高齢の母と次兄と弟と私だけで、荼毘に付される兄を慎ましく送った。
長兄の死が何なのか、私達には良く飲み込めない所があった。
病気のことはあったが、昨年の晩秋には帰省して父の墓参も普通にしていたと言う。
車で送迎した弟が手桶に水をくんでくる間、兄は父の墓に何事か語りかけていたそうだ。

その時の様子では、まだ何年でも生きていておかしくないくらいには元気に見えたそうだし、何より死ぬには年齢としてはまだ若かった。
兄が焼き上がるのを待つ間、火葬場のバスケットボールの様にでかすぎる茶瓶から注いだ茶を啜って、皆で昔の思い出を語ってみても、それは兄の生と死を言い当てているような気がせず、何処か空ろだった。
骨を拾うとき、子に先立たれた母は矢張り涙を流していたが、兄の人生とその死が何なのかと言うところになると何だかよく分からない感じがするのは、我々兄弟と同じで、語る言葉が無いようだった。
兄は骨壺に収まって帰省して行ったが、本当に死んだと言えるのか、それはよく分からない。

私は長兄の死後、ずっと長兄の死が何なのか考えていたのだけれど、ふと伯父達が語る火山の話を思い出して、兄達がそれを眺めた神社裏の石垣の川端、そして自由連想的に、そこから川沿いに道を歩いて行った、私達兄弟全員が生まれた大病院の事を思った。
幼かった長兄は、次兄と私と弟の出生時、いつも病院に駆けつけ、生まれたばかりの私達を見た。

新生児室の中に沢山寝ている赤ちゃん達の中のあれが弟。隣はよその子。
手を結んだり開いたり少し動いた様に見える次兄と私と弟の最初の日の様子を兄は見ていた。

そう思うと、少しだけ兄の死の一部を理解出来たような気がした。

戦争も体験した高齢の伯父達が大往生を遂げたとき、わたしは、人は死ぬと裏表紙が付いて本棚の空きの幅の中にすっぽり収まるようだと思った。
生きているときはその人生は何処かに収まりきってしまうものではないけれど、死ねばその物語に始まりと終わりが切られて、全部が何処かに入ってしまう。
しかし兄の死は長さが中途半端で、途中から新興宗教の紋切り型の言葉を再生する精神の空洞化もあったから、どこか本に出来ない浮かばれなさを感じさせた。
それでも、幼稚園から小学校低学年の頃の兄が川端の道を歩いて病院迄やって来て、生まれて直ぐの私達を見守ったことは、兄の物語の混乱と挫折と長い空白のページをも物語として受け入れさせるに十分な足跡なのだと思われた。
未来のノンブルがあるだけで、生きられなかった白いページですら、残された弟達の物語を支えているのだと今は思う。
私達弟一人一人の本が、本棚に並び切る時まで、兄の本は本棚に収まることは無いだろう。
私達の人生の枝葉は今この時も、兄が新生児室に見た胚の展開を生きている。
その全てを弟達の誕生日に病院に駆けつけた兄だけがまず最初に見届けたのだ。
私達弟それぞれの誕生日は皆そう言う日なのだと思う。

 

 

募集期間を延長しました。ぜひ、ご応募下さいね。

 

ブログ・エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
エプスタ随筆大賞
応募締切:2020年10月11日(日)
ジャンル:随筆
形式:Microsoft Word または googleドキュメント
   ペンで紙に書いて、または点字などの郵送も歓迎です
枚数:制限なし
テーマ:以下の6つの中から選び、応募下さい。
   ・お楽しみはこれからだ
   ・おれは悪くない
   ・三等同僚
   ・死ぬのは奴らだ
   ・ビッグトゥモロウ
   ・耄碌と恍惚
賞品/賞金:後日発表
賞一覧:・大賞
    ・投票による読者賞
    ・裸の大賞
    ・若大賞
    ・青大賞
    ・のんき大賞
    ・Mr.BOO!ギャンブル大賞
審査員:高橋紅(くれない)
    高橋基(もとい)
    スズキスキー
発表:2020年10月吉日
応募先:info@epstein-s.net @を半角に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

 

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応募作品#5 我が家の家電製品
応募作品#7 江戸Σ
応募作品#8 ミラノの奇蹟
賞品決定・エプスタ随筆大賞
応募作品#9 首から上の世界は…
読者賞発表・エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case1 エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case2 エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case3 エプスタ随筆大賞
受賞コメント・エプスタ随筆大賞


2020.10.08

応募作品#5 我が家の家電製品

編集・鎌田浩宮

 

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
「エプスタ随筆大賞」

政府が、ダメダメです。
そんな状況なので
こっちの方が楽しいよと
コモンな遊び場を提案していきます。
さあ、随筆大賞です。

 

 

題・我が家の家電製品
著・鎌田浩宮
テーマ・お楽しみはこれからだ

 

 ∮       §       ∮       §       ∮

 

先日、ヴィデオデッキ(ハードディスクレコーダー)が壊れた。テレビがデジタル化となるので、それまで使っていたアナログ対応デッキが使えなくなり、2011年あたりに買い換えたものが、ついに壊れたのだった。購入してから、9年か…。

NHK-4Kで面白そうな番組もやっているし、今回は、思い切って4K対応のデッキを買った。渋谷のヤマダ電機。店員さんに相談するのも好きだし、ポイントの他に沢山おまけをつけてくれるので、他社ネット通販とかよりも安くなると思う。今回も、電卓を度々叩いて安くして下さった。確か前も、おまけで洗濯洗剤をいただいたんじゃなかったかな。

帰宅して、色々試してみて、やっぱりそうだった。

我が家のテレビはブラウン管なので、RCAピンプラグしか差し込めない。今回のデッキには、RCA出力はない。映像出力はHDMIのみだ。

このテレビは、長持ちしている。中学3年(YMOが散開した1983年)の頃、母と弟で今のマンションに引っ越してきて、そこから使い続けているものじゃなかったかな。

その後、母と復縁して父戻る。高校1年。
その後、2度目の離婚。父が家を追い出された。20代前半。
その後、弟が結婚をしてこの家を出た。20代中盤。
その後、母が再婚をしてこの家を出た。20代後半。
そして僕だけがこのマンションに残り、今日まで暮らしている。

記憶がしっかりしていないんだが、1983年からこのテレビだったとすると、37年使い続けている。

自転車で、最寄りのコジマ×ビックカメラへ。HDMIとRCAを中継できるコンバータがあった。無理やりに売りつけず、「ちゃんと映るか保証できませんよ」と親切におっしゃって下さったが、これに頼るしかない。買った。帰宅してつなげると、画角が16:9ではなく4:3に変換されてしまったものの、映ってくれた。

ブラウン管で、4K映像を観る。これが4Kか。4Kをアナログテレビで観るのか。ナム・ジュン・パイクは、我が家の茶の間に在り続ける。全てがやや細長く映るものの、気分がいい。

それにしても、我が家はなぜ、壊れないのだろう。赤ちゃんの頃からある少々の食器。棚。加えて、家電製品が壊れない。

電子レンジは、大学生の時分に買ったものだ。いくら貧困家庭と言えども電子レンジくらい買おうと親に頼んだものだ。これが、壊れない。職場や友人宅で電子レンジを見ると、1分/100gとか、600Wか500Wかと、複雑で使い方が分からない。我が家のものは「レンジ」「解凍」の2つしかボタンがない。あとは、タイマーを回すだけだ。

冷蔵庫も、35年ほど使っていたものだ。一昨年ついに冷気が途絶え、渋谷のビックカメラへ。修理費はどのくらいになりますでしょうかと訊くと「メーカーに35年前の部品はないので、修理はできないかと存じます…」とお答え下さった。言われて、その通りだと思った。35年前の部品など、あるわけがねえじゃねえか。冷蔵庫は、5年か10年で故障し買い換えるんだぞ。お店の方は、巌窟王に説明するかの様だったろう。(これはさすがに買い替えましたよ)

エアコンは、幼稚園の頃(「HOSONO HOUSE」発売の1973年)買ったもので、かなりのフロンガスを吐いていた機種。東日本大震災のあった2011年、冷風が出なくなったと思い、買い替えた。しかし、電気屋さんが取り付けに来た時、驚いた。エアコンは、電源コンセントが抜けていただけだったのだ。本当は、まだ使えたのだ。38年を越えても、使い続けてみたかった…。

先日、東京ガスの方が定期検査に来た。ガスコンロのホースを、無償で取り替えて下さった。さらに、コンロ本体を手入れして下さった。「さっきは炎が赤かったでしょう?根詰まりを除去したので、炎が青くなりましたよ」と、笑顔の検査員さん。こちらも気分がいい。ヤマダ電機の方といい、コジマ×ビックカメラの方といい、ビックカメラの方といい、最近は親切な方ばかりだ。

その夜、ガスコンロをひねると、ガス漏れの臭いがした。一時的なものかと思ったが、漏れは収まらなかった。コロナの事もあり、しばらく放置していた。が、ついに先日、東京ガスの別部署に電話をし、無償で貸出機をお借りすることになった。その際、担当の方は訝しがった。「検査員は、コンロに触れること、修理に関することはしないのですが」と。

定期検査の方は、37年以上前の製品に触れる機会なんぞ、なかったのではないか。しかし、そこでたじろぐことなく、根詰まりを直して下さった。さらば、マニュアル化された世界。本来のサーヴィスとは、検査とは、これだ。Good Morning Mr.Orwell.

だが、他の箇所からガス漏れするようになってしまった。初老の糞爺からクレームまがいの連絡を受け、彼は減給や解雇などされていないだろうか。恩を仇で返すようなことになってしまい、申し訳ありません。

なぜ、エアコンの電源を外していたのか?3月に震災の経験があって、漏電による火災を防ごうと思ったからだった。その時、我が家には浪(なみ)という名の猫がいた。その当時から17年前(細野晴臣監修CD「ecole」発売の1994年)に拾ってきた。息子であり、恋人であり、親友だった。老猫なうえに震災で体調を崩し、頻繁に嘔吐していた。真夏の暑さをどうにかしようとエアコンのスイッチを入れても、作動しない。浪は大丈夫か。気が動転して、壊れたと思い込んだのだ。

あれ?当初は、家電製品の長持ちについて書くはずだった。いつの間にやら、浪の話になってしまった。

僕の同級生のほとんどは、結婚を機に家から独立した。新しい家具や家電製品を買って、賃貸住宅に引っ越した。その親たちも、郊外の分譲住宅を購入し、引っ越した。その際、家電製品を買い替える。気分は一新する。当たり前だが、子も親も、離婚や復縁をそれほど繰り返さない。家は、住み続けない。倅が巌窟王になったりはしない。

僕は、気分を一新しない。浪が亡くなってから、なるべく家の中を変えないようにしている。もったいないとか、ケチだとか、古いものが好きということもある。あと、僕はもう初老で、耄碌しかけている。どんどん、浪のことを忘れていく。なので、なるべく忘れないように、家の中を変えないでいる。気分を一新するよりも、その金で映画を観たりした方がいい。

 

 

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2020.10.07

応募作品#4 ヴィラ・コーポ笹野101号室について

編集・鎌田浩宮

 

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
「エプスタ随筆大賞」

入稿、入稿、また入稿。
断続的な入稿に、破顔する編集部。
今回は、現時点で最年少の方による作品です。

 

 

題・ヴィラ・コーポ笹野101号室について
著・藤坂鹿
テーマ・ビッグトゥモロウ

 

 ∮       §       ∮       §       ∮

 

ヴィラ・コーポ笹野の101号室では、昨年の冬に住人が死んだ。だから我われ夫婦は、新宿まで直通5分の最寄り駅から徒歩8分、3LDK70平米という何とも好条件なこの部屋を月13万円で借りることができた。

人は皆死ぬ。かならず。人の死んでいない場所などない。もしかしたらわたしだって、この家を墓場にするかもしれない。だから前の住人が家の中で死んだことなど、何とも思っていなかった。広くて陽のよく入る、古いながらも趣のあるこの101号室を愛そうと決めた。2020年5月。春と初夏のまざる、一年で風がもっとも青い季節。

***

結論から申し上げよう。ヴィラ・コーポ笹野101号室に骨を埋める我が覚悟は、入居僅か4ヶ月にして完全に砕け散った。我われ夫婦は残暑のなか発狂寸前で荷造りをし、ヴィラ・コーポ笹野101号室をあっけなく打ち棄てた。

新居は築5年1LDK、お家賃非公開、シーサイドヒルズ602号室。シーサイドヒルズは二重の完全オートロック、しかもセンサーに鍵をかざさなければポストすら開かない。なんとも気品漂うセキュリティ。

ヴィラ・コーポ笹野は、オートロックどころかマニュアルロックも怪しかった(主に窓の立てつけが最悪)。ポストは玄関ドア直結、しかも隙間風が入る。腕を突っ込めば50センチほど家に侵入できる脆弱セキュリティ。うーん、思い出すと、そんなことすらジワジワ腹が立ってくるな……。

なぜ我々はヴィラ・コーポ笹野101号室を去ったのか。それは端的に申し上げて、ここが「住めない」家だったからだ。死んだ元住人の霊が夜な夜な枕元に現れ……のほうが、まだ趣がある。この部屋には「明日」が来なかったのだ。

***

事実は小説より奇なり。

***

引っ越して2週間目の朝、わたしは台所に置いてある石鹸の角が削れているのを見つけた。錐でひっかいたような削れかたをしていたので、気になったものの、「滑って落として削れたのだろう」くらいに思ってほうっておいた。

2日後の朝、起きた夫がわたしを呼んだ。

「おはよう、鹿ちゃん。あのさ、」

「なに?」

「聞きたくない話していい?」

「やだ~~~~~」

「たぶんね、この家、ネズミがいる」

「……ネズミ?」

夫の手にはあの石鹸。見ると、一昨日よりもはるかにいびつに角が削れている。

「これさ、今朝見つけて、なんか変だなって思って、『石鹸 削れてる』でググったんだよね。そしたら、ほら」

夫が見せてくれたスマホの画面には、我が家の石鹸と全く同じ様子の石鹸のサムネイル画像がずらりと並んでいる。その真下に踊る「石鹸のネズミ被害に…」「ネズミにやられました(T_T)…」の文字。

「ネズミって、石鹸かじるの好きなんだって」

全然知りたくなかった情報である。つまり、それは、我々はネズミがかじった石鹸で手を洗い、その手で料理をしたり、コンタクトレンズを入れたりしていたということだろうか。

「100億、無理」

「100億無理だね」

「これは100億よ」

「100億だね」

その場で管理会社に電話をかけ対応を仰いだところ、数日後にネズミ駆除業者を手配してくれるとのこと。本当は今すぐにでも駆けつけてほしいところだが、仕方ない。

念のため石鹸は袋に入れて保管し、台所にはプッシュ式ハンドソープを導入することにした。しかし折悪く天下は大コロナ禍時代。ハンドソープなど、店に並んだ日には一瞬でなくなってしまう。結局ドラッグストアを8軒巡り歩き、似非キレイキレイのボトルをなんとか確保した。

***

我が家に似非キレイキレイのボトルが置かれたその3日後、起床したばかりの夫がわたしに声をかけた。

「おはよう、鹿ちゃん。あのさ、」

「なに?」

「聞きたくない話していい?」

「やだ~~~~~」

「おれたちの寝てる部屋で、ゴキブリの赤ちゃんが死んでる。しかもたくさん」

「……ゴキブリの赤ちゃん?」

夫の指さす先には、数ミリほどの黒い点々。寝ぼけまなこに眼鏡をかけて見てみると、黒と白の縞模様の小さな虫が数匹転がっている。

「朝起きて、なんかゴミが落ちてるな~と思ってさ、よく見たら虫なの。で、『黒白 縞模様 小さい虫』でググったらさ、ほら」

夫が見せてくれたスマホの画面には、目の前に転がっている虫の死骸と全く同じ虫のサムネイル画像がずらりと並んでいる。その真下に踊る「クロゴキブリの赤ちゃん!?……」「クロゴキブリの幼虫が……」の文字。

「100億、無理」

「100億無理だねえ」

「えっと、つまりわたしたちは、クロゴキブリの繁殖の中で眠っていた、と」

「うん」

「ゲボ吐きそう」

「袋あるよ」

「できる男だなあ」

死んでいたのは、数日前にバルサンを焚いたせいだろう。引っ越す前に一度焚き、その2週間後にもう一度焚くと良いとGoogle先生が教えてくれた。調べたところ、クロゴキブリが卵からかえるまでにかかるのはおよそ1ヶ月ほどらしく(ものすごく知りたくない情報だ)、卵にはバルサンが効かないらしい(ものすごく知りたくない情報だ)。

つまり、2週間少し前に入居した我われの不注意で招いたゴキブリが産卵したのではなく、入居前の消毒清掃が十分でなかったために(あるいは、立てつけの最悪な窓から入り込んだゴキブリが清掃後に生みつけて)生き残った卵がかえった、ということだろう。こちとら入居前に消毒清掃費払ってんだぞ。どういうこっちゃ。

その場で管理会社に電話をする。ネズミの駆除業者がゴキブリも一緒に駆除してくれるという。頼む。一刻も早く来てくれ。

***

数日後、駆除業者が来た。家の中を見て回り、床下にも入り、ひとまずネズミが入ってきそうな場所に罠を仕掛けてくれた。これで一安心。明日から安眠できる。

そう思っていたのだ。そのときは。

***

「ねえ鹿ちゃん、見て、ヘビだよ」

101号室、すなわち1階にある我が家には、小さいながら庭があった。夫の指さす方を見ると、70センチほどのアオダイショウが、そろりそろりと龍のひげのあいだを進んでいる。しかしネズミとゴキブリの赤ちゃん騒動直後の我われは、もはや驚く気力を失ってた。

「ヘビだねえ」

「でっかいねえ」

「ヘビ何食べるんだろうねえ」

「ネズミだといいねえ」

「ほんとだねえ」

しかし、よく思い出してほしい。ここは最寄駅から新宿まで直通5分の都会。そんな都会の真ん中に、70センチのアオダイショウ。けれども我われは、ググったり考えたりすることに疲れ始めていた。『アオダイショウ 都会 なぜ』で調べても、Google先生はこの疲労を癒してはくれない。

生活をダイレクトにおびやかすものが近くにいるかもしれない、という不安は、精神をじわじわ蝕む。ネズミとゴキブリに比べれば、家の外をヘビ一匹がうろついているくらい、どうということはなかった。

「ヘビ、かあ」

初夏はすでにその爽やかさを手放し、重苦しい湿気が庭を満たしていた。

***

ヘビが庭を横切ったその日の夜、わたしと夫はコンビニに出かけた。メルカリで出品した品物が売れたので、発送をしに行ったのだ。儲けたメルマネーでコンビニスイーツを買う。これがつつましやかに暮らす我われのささやかな幸福である。片手にティラミス、片手にチーズケーキを提げ、帰路を急いだ。

帰宅して明かりをつける。テーブルの上には、ラップにくるまれたご飯。いつも夜に炊いたご飯は残りをこうして冷まし、冷凍する。

そのラップご飯の端が、ぐちゃぐちゃに食い破られている。

「……!?」

絶句した。これは、この食われ方は、間違いなくネズミだ。なぜ? ついこのあいだ、業者が床下にまで入って罠を仕掛けたばかりではないか。どこかに抜け穴があったのか……?

と思う間もなく、リビングに接してドアを開け放していた寝室から、黒い塊が猛然とこちらに突っ走ってきた。でかい。瞬時に目が捉えたそれは、体長20センチはあろうかと思われるネズミであった。

「うわあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

叫んだ。叫んでわたしは、反射的にリビングから飛び出した。玄関にいた夫が慌てて駆けつけてきて、飛び出してきたわたしとぶつかりそうになる。

「どうしたの!?」

「ネズミ!!!!でかい!!!!こっちに突っ込んできた!!!!」

「嘘!?どこ行った!?」

「怖くて見てない!わかんない!」

すぐさま夫がリビングを覗いたが、もうそこに奴の姿はなかった。業者の言葉を思い出す。

「ネズミってね、親指ほどの隙間があれば通れるんです。だから、見つけた次の瞬間は、もうどこに隠れるかわかんない」

***

その日からわたしは不眠症になった。猛然と突進してくる手のひらサイズのネズミは、夢までわたしを追いかけてきた。どこの下水を通ったかもわからないような体で寝室に入りこまれたせいで寝る場所も変えざるを得ず、それが不眠に拍車をかけた。ただただ、怖い。なぜ自分の生活が突然こんなにもおびやかされなくてはならないのか、わけがわからなかった。

不安のない暮らしには、当たり前に明日が来る。ヴィラ・コーポ笹野101号室には、明日が来ない。暮らしへの不安は、人から明日を奪うのだ。

***

不眠症、数週間。時は梅雨。いつしか不眠症をこじらせ、日中に幻覚すら見るようになった身体に、晴れ間のない空はずいぶんつらかった。

あれからまた業者が来てくれた。調べたところ、玄関下から床下に続く穴を通って、ネズミが出入りしていたらしい。穴は木の板で頑丈にふさがれた。そしてネズミはいなくなった。隙間という隙間に殺虫剤を散布した。ゴキブリの赤ちゃんもいなくなった。ときどき、立てつけの悪い外から入ってきたと思しきでかいゴキブリに、100%の殺意でゴキジェットを向けた。わたしの明日を奪う奴は、絶対に、許さない。

梅雨。雨は続く。6月だというのに染み入るような寒さで、わたしはかぼちゃを煮ていた。しとしと降る白い糸を窓から眺める。去年の冬ここで亡くなった人の骸は、無事だったのだろうか。ネズミに食い破られ、ゴキブリに群がられてはいなかっただろうか。その人は、台所に斃れていたという。ラップご飯と石鹸のかじられた、この台所に。

そんなことをぼんやりと思いながら、醤油のボトルを開けて、「あっ」と声が出た。

かびているのだ。醤油のボトルの口元が。

「……?」

なぜ、かびているのか? 醤油のボトルがかびるなど、26年生きてきて初めてのことである。慌てて醤油をしまっていた台所の戸棚を開けて、手近にあるものを引っ張り出し、安否を確認する。

かびている。森永ココアの粉、マリアージュフレールの紅茶、だしの素、乾物、口を開けた調味料。どれにもうっすらと胞子がまとわりついている。絶望して、隣の引き出しをひっくり返す。なんと、中に入っているものどころか、引き出しの底面一面にカビが生えている。

とっさにティッシュでカビを拭おうと、木製のティッシュケースに手をかけて、さらに「あっ」と声が出た。

木製のティッシュケースは、毎日いるこのリビングダイニングに置いてあるにも関わらず、その側面がかびていた。ゾンビに襲われて、仲間に助けを求めようとしたらその仲間がゾンビになっている、B級ホラー映画でおなじみのあの展開を、まさか生きているあいだに体験することになろうとは。

この家は、呪われている。幽霊なんかよりも強烈なものに。

***

台所中の戸棚や引き出しにカビキラーを薄めたものを噴霧して、丁寧にふき取った。それでも調味料やお茶類は、無残にもカビに敗れていった。家中を改めて点検すると、たった2か月半前に押し入れに入れたカバンやコートもかびていた。下駄箱のブーツもかびていた。よく見たら、私室の床にもカビが浮き上がり始めていた。

ネズミとゴキブリの定期点検に来た業者は言った。

「床の基礎がダメかもしんないね、これ」

こうして我われはとうとう、ヴィラ・コーポ笹野101号室を去る決心をした。

***

そこから先はまた別の地獄であった。何が何でも初期費用の全返還と、諸々の被害の補償を望む我われと、管理会社の仁義なき戦い。夫はそうした争いが苦手な人間である。かたやわたしは、生まれながらに阿修羅を背負う人間である。最初、夫だけに名刺を渡し、夫に顔を向けて話していた担当者に「わたしもこの家の主人ですが」と静かなる宣戦布告をしたら、彼はいつしか、メールの本文先頭に、夫よりも先にわたしの名前を書くようになった。

わたしは絶対に一歩も引かなかった。家中のあらゆる証拠と、賃貸物件に関する過去の判例を揃え、契約書を隅々まで読み漁り、万全の交渉の城を築いた。しかし、ただでさえ両者にとってセンシティブな交渉事で、決して怒ってはならない。ましてやパワーで押し切ろうとしてはならない。交渉は、あくまでも相手が気持ちよくこちらの申し出に応じてくれる結果にならなければ、成立とは言えない。阿修羅はそうした美学にもこだわるのだ。美学を守ろうとした結果、ストレスで中耳炎と膀胱炎を発症した。幻覚はひどくなる一方だった。

そして1ヶ月以上ににわたる交渉の結果、ついに我われは完全なる勝利を収めた。しかし、条件付きで。

「8月末までにご退去いただくという条件であれば、初期費用の全額返還及び弁済をするとの意向を貸主様より承りました」

カレンダーを見る。そのメールを受け取った日は、8月13日だった。

***

こうして我われは3つ目の地獄、つまり2週間ちょっとでの引っ越し騒動を発狂寸前で乗り切り、ヴィラ・コーポ笹野101号室を去った。入居からぴったり4ヶ月が経った、残暑の午後に。

引っ越しを終えた日の夜、わたしと夫は近くの中華料理屋で労をねぎらった。

「終わったね」

「むしろ始まった」

「たしかに」

「やっと明日が始まるんだ……」

「?」

「明日が来る家に住めてよかった」

「ほんとうに、そうだね」

我われの明日。それは、なににも脅かされず、安心して眠れる場所にある。明日がこれほどまでにうれしく輝いていた日があっただろうか。

さようなら。ヴィラ・コーポ笹野101号室。わたしは、明日を手に入れました。

 

 

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ブログ・エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
エプスタ随筆大賞
応募締切:2020年10月11日(日)
ジャンル:随筆
形式:Microsoft Word または googleドキュメント
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枚数:制限なし
テーマ:以下の6つの中から選び、応募下さい。
   ・お楽しみはこれからだ
   ・おれは悪くない
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賞品/賞金:後日発表
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    ・投票による読者賞
    ・裸の大賞
    ・若大賞
    ・青大賞
    ・のんき大賞
    ・Mr.BOO!ギャンブル大賞
審査員:高橋紅(くれない)
    高橋基(もとい)
    スズキスキー
発表:2020年10月吉日
応募先:info@epstein-s.net @を半角に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

 

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応募作品#2 我が家の困った習慣変わるかなあ
応募作品#3 自転車泥棒
応募作品#5 我が家の家電製品
応募作品#6 昭和四十五年九月十七日木曜日 火山、川、犬、人のことなど
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読者賞発表・エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case1 エプスタ随筆大賞
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審査結果発表 case3 エプスタ随筆大賞
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2020.10.06

応募作品#3 自転車泥棒

編集・鎌田浩宮

 

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
「エプスタ随筆大賞」

コロナ下の随筆を、10年後に読み返す。
そのことを前提として、随筆を書く。
庶民による、2020年のドキュメント。

 

 

題・自転車泥棒
著・鎌田浩宮
テーマ・ビッグトゥモロウ

 

 ∮       §       ∮       §       ∮

 

2019年の5月末に、仕事を辞めました。
仕事をしている場合じゃない、と思ったからです。
2018年から2019年にかけて、同い年の友人が立て続けに2人亡くなりました。
そこで、僕のジンセーも終わったと思い込むことにしたのです。

かといってすぐさま自殺するわけにもいかないので、仕事を辞め、昼は出汁でも取って、4時頃からつまみを作り始め、5時には風呂に入り、6時から広島東洋カープの試合を観て過ごすようにしました。

これがすこぶる楽しくて、持病は治るわ、不眠症は治るわ、暴飲暴食しなくなり体重減るわ、いいこと尽くし。本物ではなく似非隠居だけれど、ジンセー51年目にして、初めて平穏な日々と出会えた気になりました。

年越しをして、コロナウイルスが流行しだしても、あまり苦になりませんでした。去年から極端に外出をしなくなったし、無職なのでそもそも失職しない。生活はあまり変わりませんでした。

しかし!昔から行きつけ、お世話になっている地元のお店が、コロナで売上激減、閉店するかも知れないという状況に陥りました。何かしなければと思いました。僕は、子供の頃からこの町に住んでいます。同級生や、その親御さんが営む店もあります。そこで、4月からクラウドファンディングを起ち上げました。嗚呼、似非隠居のくせに。引きこもってりゃいいのに。

あまりにも金が集まらず、ひっくり返りそうになった。初老でネットに疎いとはいえ、それにしても集まらなかった。参加して下さったお店が、見る間に冷たくなった。協力下さらないどころか、「店内に募金箱を置いた方がましだ」と俺を罵るお店さえあった。

俺が客だった時は、温かかった。仕方がない。女将も主人も必死なのだ。いつ閉店するか分からない状況下で協力して下さっているのに、頼りにならない役立たずなのだ。餅は餅屋にさせておけばよかったのだ。似非隠居がしゃしゃり出るから、こんなことになったのだ。

このままだと、この町にいられなくなるな。金に困って自殺する人の気持ちが、理解できるようになる。クラウドファンディングの期間は2か月だったから、死なずに済んだ。ケツがなかったら、死んでいたかも知れない。

(途中で気付いたのだが、コロナに関して町ぐるみで展開するクラウドファンディングには、特徴があった。数百万円、数千万円集まっている団体・自治体の場合、参加店舗数も多いのだ。したがって、集まった金を参加店舗数で割ると、おおむね10万円前後になるケースがほとんどだった。俺達の場合、集まったお金は少なかったものの、参加店舗も少ないので、10万円前後の金を分配することができた。まあ、言い訳なのだが。)

その日も、自転車で参加店舗を回っていた。ご苦労様と言ってくれる店もあった。別の店では、「大将は休憩中で不在」と店員に言われ、後ろの座敷を見ると、寝ている大将の足が見えた。俺の声が聞こえているにもかかわらず、寝たままだ。起きて挨拶もなかった。妻と思われる女性から、挨拶はない。俺を睨んでいた。そんなに憎いのかと思った。

店の前にはスペースがなく、隣のビルのスペースに自転車を停めていた。10分後に戻ると、自転車がなかった。辺りを見渡すと、貼り紙があった。

「不法駐輪禁止
●〇〇のお客様以外の車両は撤去し1日当たり1万円の必要経費を請求いたします。
●申し出が無い場合は、警察・及び行政機関へ届出をした上で、処分いたします。
※誰かに勝手に置かれたなど事情がある場合、車両の所有者自身で犯人へ損害の請求をして下さい。
※メールの返信には1週間ほどかかります。
※下記メール以外の対応は一切いたしません。
(メール送信が失敗する場合、メールのセキュリティ設定が原因です。ご自身で契約しているプロバイダへ問い合わせて下さい)
※撤去は外部委託している為、各テナント・管理会社・警備室への訪問しても対応できませんのでご了承下さい。
連絡先:〇〇@gmail.com
記述内容:住所、氏名、自転車の防犯登録番号(バイクの場合はナンバープレート)」

中国映画「象は静かに座っている」(2018年)のフー・ボー監督は自殺したが、彼の住んでいた町にも、類似した貼り紙があったのではなかろうか。

かなり疲れていましたが、歩いて帰るしかありませんでした。亡くなった老猫・浪も乗せていた愛着ある自転車でした。

後日もその後日も、クラファンで忙殺されていました。が、数日後、貼り紙に書かれたアドレスへ、メールを送ることにしたのです。

その場所はビルになる前、ビルの事業者がレストランとパチンコ屋さんを営んでいました。

「今から45年前、小学生の頃に家族で訪れ、セットメニューを注文しました。ほたての貝殻の上にグラタンが乗っていて、ハンバーガーもついており、幸せな気分になりました。同じ頃、僕のおじは向かいのマンションで、デザイン事務所を営んでいました。おじの背中についていき、拾ったパチンコ玉で羽根台を打つのが楽しみでした。素敵な思い出をありがとうございます」と結んで、送信しました。

8日後、自転車撤去委託組合という方から、返信が届きました。法的責任に関する難しい長文が続き「同意をしたとみなされるので、安易にこのメールへ返信するな」と書かれていました。

その次に「ここまでは固定フォーマットの文面だ」と断りがあり「正確に確認できないが、おそらく当組合では撤去していない。警察は、盗難届の受取を拒否するかも知れない。しかし、警察は受け取る義務がある。何とかして授受させるべきだ」といったことが、です・ます調で書かれていました。

すぐに区へ問い合わせると、区が僕の自転車を撤去し、保管していることが分かりました。すぐに保管所へ出向き、3000円を払い、返還してもらいました。

コロナで、世界中のお店が経営難になりまして。クラウドファンディングを運営する者・支援してもらうお店・寄付をする者と、弱者同士にもかかわらず全ての関係性が「利用する者」と「利用される者」の2者のみに分別されまして。

そこに忽然として登場した、自転車撤去委託組合。その後、事態はやや好転し、苦しみのないクラファン終了を迎えることができました。自殺する前のフー・ボーの町にも、なぜ自転車泥棒が現れてくれなかったのでしょうか。

クラウドファンディングを、決して人には勧めません。僕の地元だけでも、コロナにまつわるクラファンが複数ありましたが、どこも思ったようにお金が集まらなかったからです。ただ、クラウドファンディングをやってよかったと思っています。なぜなら、クラファンを展開したがゆえの常軌を逸した苦しみよりも、クラファンを起ち上げなかった後悔の苦しみの方が、僕の中では上回ると思っているからです。

 

 

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2020.10.04

応募作品#2 我が家の困った習慣変わるかなあ

編集・鎌田浩宮

 

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
「エプスタ随筆大賞」

随筆が、止まらない。
日常を、奪還する。
非日常を、狩猟する。
筆1本で、止まらない。
大賞決定前に、応募作品を1作ずつ掲載していきます。
読めばいいだに!

 

 

題・我が家の困った習慣変わるかなあ
著・表参道が好き
テーマ・お楽しみはこれからだ

 

 ∮       §       ∮       §       ∮

 

仕事を終えて2駅を都営新宿線に揺られて帰宅する。
今日は、帰宅途中にクリーニング屋さんによって、息子と娘の冬の制服を受け取った。
家に帰ると洗濯物を取り込む。お風呂を溜める。
夕ご飯の食材を冷蔵庫を見て考えて夕ご飯を作る。
高3息子、中3娘は夕ご飯を食べたら塾の自習室へ行く。
子ども達の夕ご飯が終わるころにお父さんが仕事から帰ってくる。
お父さんのご飯や晩酌の配膳して、私も一緒に夕ご飯。
食べ終わると、夕ご飯の後片付けをする。
洗濯物を畳む。アイロンかける。
お風呂に入って、少し一息。
そうするうちに息子や娘が帰宅する。
帰ってきた2人がそれぞれにいろいろ話してくれるのでそれを聞く。
お父さんや子供たちがお風呂に入った後に洗濯機を回して、朝干せるようにしておく。
明日の朝のご飯を炊飯器にセットする。
これが、私の近頃の夕方から寝るまでの行動だ。

そして今、わが家の父さんが寝ているベットの足元に置いてあるパソコン前で座布団に座って、カタカタとこれを打っている。

夜中に文章を書くのは久しぶりだ。
私は、1972年生まれの48歳。
高3男子、中3女子のダブル受験生を抱え中で時短勤務の正社員。
四年制大学を卒業し、印刷会社に営業職として就職、結婚して退職、16年の主には主婦生活(パートやアルバイトはしていたけれど)ののち、印刷系のお仕事に復帰して現在3年目をむかえたところ。という、よくある子育てが落ち着いてきたから働きます。教育費もかかるしね、な主婦だ。

今夜、こんな話になった。
中3娘が、
「1999年に男女共同参画法案ができたんだから、にいにはおうちのことを普通にできる男になってよね。」
と中間試験の勉強で仕入れたばかりの知識を使って高3兄さんに言う。
「うちは昭和だもんね~」
と私が言うと、
「そうそう。まじ昭和。」
と兄も妹も声を揃えて言う。

そうなのだ。うちは「お父さんが一番偉い」のである。
だから、お父さんは基本的に家事をしない。
それには事情があるのだけれど、、
兄が未来のパートナーに対して我が家のようであっては、兄のパートナーが大変だ
と思った。
我が家の「お父さんが一番偉い」は、子どもたちが小さな頃、お父さんだけが外で稼いできてくれていたときに出来上がった習慣がそのまま残っているのだ。
昼間は私と子どもで好きなようにしてるんだから、お父さんは、お仕事でくたびれているんだから帰ってきたらお父さんが好きなようにしてあげようね。っていう習慣。

今や、10代の子どもたちも、時短勤務の私も、お外で頑張っているのだから、それぞれおうちでは好きにしたい毎日だ。しかし、この習慣は残ってしまっている。
例えば、お父さんが帰宅するとテレビ権は自動的にお父さんのものになり、休日に在宅の日は一日中テレビ権はお父さんのもので食卓はお父さんの場所。
一緒にいてもつまらない子どもは、部屋にこもり、私は家事をする。
いかにお父さんにこちら側へきてもらうか。子どもたちがもう少し小さな時期に話し合いをすればよかったかと私も少々頭をかかえている。老後2人になった時に、家事をできる人になっておいて欲しい。と。一日中座っていられてはさすがに困る。

それを感じての今夜の娘の一言なのだ。
兄も十分に分かっているので、
「俺はやるよ。家事もするし、けっこう今もしてるよなあ。」
という。
確かに彼は、私がいないときは、雨が降ってきたら洗濯物を入れたり、ご飯の後片付けもしている。
しかし、続けて一言
「でもさあ、男って、女の人より気が付かないんだよね。俺も、かあちゃんが家事してるの見ちゃってるもん。あー、かあちゃんやってんなあ。って。きっと、男ってそうなんだよ。父さんも多分おんなじなんじゃないかなあ。自分から気が付く前に女の人がやってるか、ああ、いろいろやってんなあ、って眺めちゃう。」
とニコニコして言う。
それは確かにそうなのかもしれない。
と思っていると、
妹が
「それじゃあ、男の人は、結局家事やらないじゃん。
私みたいに、ずっと働き続けたい女の人は、どうやって家のことと仕事と子育てすればいいのよう。」
とワーワー言い出した。
私は、娘はそういう人生設計なのかと思いながら
「じゃあ、おうちのことが得意な人や協力できる人をパートナーになったらいいね。」
と娘に言った。
兄は
「今はさ、女性も男性も同じに働けるし、ほら、男女雇用機会均等法、習ったでしょ?
しかも、バリバリ働きたい女性がいる一方で、バリバリは働きたくない男性だっているわけよ。だからバランスとれそうな人がいたらいいんじゃね?俺は、家のことやるからバリバリ誰かに働いてほしい!」
とニヤニヤしているので、妹に
「ヒモかよ」
と突っ込まれていた。

私の育った昭和40年代のモデルのような家庭は、父親が稼いで母親が家を守るタイプが多かった。
今と比べると男女の役割分担がはっきりしていた時代だったっと思う。
それは、教育でも同じで、幼児のころや小学校でも、男の子だから、女の子だからという言葉をつけてしつけられていた記憶もある。女の子だから家事できないとね。っていう感じ。

「男が働いたって女が働いたって一緒に暮らしていくんだから、家のことは一緒にやればいいんじゃね?男と結婚するとも限らないだろうし、結婚しないかもしれないし、違う国の人と一緒になるかもしれなくね?」
という兄の言葉はとてもフラットだ。

わが家には、兄妹の友達が小さな時からたくさん来た。
そのおかげで、10代後半に成長した彼らの世代との交流を私も持たせてもらっている。
それを通じで感じることがある。
彼らはとってもナチュラルなのだ。
ナチュラルとはどんな感じかというと、自分のままでいるという感じ。
10代という男女の性差を大きく感じ、体も心もホルモンの影響をうけ、乱暴になったり、自分ではどうにもならない思いを抱える時期なのに、ストンとそこにいる。
もちろん、思春期に特有の自分をよく見せたかったり、自意識過剰になったりはしているけれど、自分と違う個性の他者を受け入れることができていて、自分の個性も自分で受け入れている。互いに個性を受け入れるゆとりが彼らの世代にはあるのである。
さらに自分の意見もきちんと伝えることができる。
彼らを見ていると、私たちの10代の時はどうだっただろう?
と考えてしまう時がある。
兄妹ともに、地元の公立中学校へ通ったが、女子がスラックスを履いている子もいるし、
ルーツが日本以外の国の仲間もいる。学校に来るのが得意ではない子もいるし、勉強が得意な子、人気者の子、内気な子、いろいろな子がいろいろな個性を持ち寄って刺激をしあっている環境がある。

私たちの10代の頃は、今よりも日本は日本人ばかりだし、男の人と女の人の役割がはっきり決まっていて、学校には嫌でも行かされた。大人は子どもに言うことを聞けといい、反発をした私たちは大人と揉めたり、学校で暴れたりした。話し合いや個性を認めるとういう生活からはまだ遠かったように思う。

もうひとつ、この子たちは私の世代と圧倒的に違うところがある。
それは、無意識でも意識的でも死を意識しているということ。
彼らは、東日本大震災を幼稚園や小学生、中学生で経験し、日常が急に変わってしまうことを知っている。毎年の台風の水害、ミサイルが日本の上空を飛びアラートの鳴る朝を知っている。そして今のコロナ禍。日常はいかにもろくて日常ではないことを知っている。その中で、自分のために、自分の未来のために、自分の大切な人のために、エネルギーを使う。そして、世界ともつながっている。日本だけではなく、世界として物事をとらえている。日常や命は消えることを知っているからこそ、今できることを今しようとする力がある。

彼らは新しい人たちだと私は思う。

私は、「お父さんは偉い」の習慣を兄妹が小さな時にわが家へ持ち込むような、ゴリゴリな昭和の男女の役割を刷り込まれている母親だ。
しかし、兄妹はお互いのパートナーと協力をしあって暮らしを築いていくのだろうと思う。彼らの世代の新しい人たちが、ナチュラルに生活を営み、私たちの生活の中の不自然なところを臆することなく指摘をしていく未来がきっとあるのだと思う。そんなそう遠くない未来はきっと、日本で暮らすことや世界の人が日本にいることが、もう少しラクになる世の中が来るような予感がする。それが楽しみで仕方がない。

私は、まず、お父さんに家のことをすこしずつしてもらえるように作戦を練るとしよう。
そうすれば、こんな夜中にパソコンを叩かなくてもよくなるかもしれない。

 

 

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2020.10.03

応募作品#1 老人と笑み

編集・鎌田浩宮

 

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ぐわー、いかん。
予想以上の、応募数。
でもって、豊かで面白い。
断続的に、破顔です。
大賞決定前に、応募作品を1作ずつ掲載していきます。
読めばいいさ!

 

 

題・老人と笑み
著・番場正志
テーマ・耄碌と恍惚

 

 ∮       §       ∮       §       ∮

 

私も自分が何やってんのかわかんないのよぅ!何やってんのか!

おばあさんが叫ぶ。ここは銀行の窓口。毎日、毎日たくさんの来店客で賑わう窓口の片隅で何やら大声を発している。静まりかえるロビー。クラシックのBGMだけが鳴り響く。一斉に視線が集まる。

なんだ、年寄りか…。

そこにいる誰もが思い、また会話に戻る。

なんかあったのか?窓口の責任者をしている僕はロビー担当にインカムを経由して尋ねる。

4番窓口、老人女性。認知症だと思います。
医者でもないくせにすべてを悟りきったかのようにロビー担当が勝手に報告をはじめる。

今日は朝から3回目。キャッシュカードを失くしたと言い、再発行の手続にきています。課長、そろそろ対応いただけません?

わかった。いくよ。

インカム越しに応えると、窓口でおばあさんが仁王立ち、明らかに不服そうな表情を浮かべている。

あなた?あなた責任者なのよね?カードがないのよ!キャッシュカード!どこを探してもないのよ!なんとかしてちょうだい!

おばあさんは叫ぶ。ソファに座り週刊誌を読んでいた中年女性が雑誌越しにこちらをチラチラと眺めている。

おばあちゃんね、今朝も来たよ。今朝ね、カードが見当たらないというからもう一度作り直す手続をしてるよ。大丈夫ですよ。

大きな声ではっきりとわかりやすく伝える。

え?来てないわよ!ウソを言わないでよ!

大丈夫ですよ!カードは新しく作り直してますからね。

こんな押し問答は日常茶飯事だ。よくある光景。どうせカードは家の中のどこかにあるんだろう。

腑に落ちない表情のまま、ロビーのソファに居座る。

仕方がない…。来てもらうか。電話の先は大田区の地域包括支援センター。このような認知症老人のケアをする行政機関だ。すぐに地域担当者が駆けつける。

別室で状況と経緯を説明すると、

了解。あとは任せてください。連絡ありがとうございました。との返事。10分ほどで駆けつける。

ロビーに居座るおばあさんに向かって、優しく説明。

おばあさん。この人はね、区役所の職員さん。今からね、一緒におうちに行ってカードを探してくれるって。よかったねー。

歩くのも辛そうなおばあさんの腕を職員が支え家まで連れて帰ってもらう。

2時間もすると、区役所から電話がある。

もしもし、課長さんですか?先ほどは連絡ありがとうございました。カード?ありましたよー。どこにあったと思います?植木鉢ですよ。花と一緒に水あげてました。え?見つかったとき?そりゃあもう満面の笑顔でしたよ。よほど嬉しかったんじゃないですか。とにかくもう明日は行かないと思います。安心してください。

よかった。植木鉢か…。こういうケースでは探すと見つかりそうな場所がいくつかある。 仏壇の亡きご主人の遺影。冷蔵庫内でバターナイフとして使われていることもあった。また、孫が来たときにトランプの1枚になっている場合もある。

地域包括支援センターのスタッフは勤勉で、実直で何より責任感が強い。他人の親をどうしてここまで面倒を見てくれよう。その当事者意識には脱帽する。

反対に残念な人種がいる。みんながみんなそうだと言えば語弊があるが、警察だ。これを読んでいる方の中に警察関係者がいたら、申し訳ないと思うが。

ある日、別の老人女性が窓口で怒鳴った。

どうしておろせないんですか!早くやってよ!もう。

状況を聞く。どうやら振込め詐欺の可能性があり、窓口担当が現金引き出しを断ろうとしているらしい。銀行窓口の世界では振込め詐欺被害を防止することは勲章だ。ロビーに所轄警察署からの感謝状の額が並んでいるとさながら戦闘機の撃墜王のようだ。今日みたいなまた感謝状が獲れそうな状況になると、店内はザワつきはじまる。誰がその手柄をあげるか、そこが問題。銀行の窓口はやって当たり前、できて当たり前、ミスがなくて当たり前の世界。減点主義の世界ではこのような数少ないプラス加点になる場合は、何としてもでも成功させたいのだ。

そんな下心があるからこそ、詐欺被害防止への関心はそれほど高くはない。警察署も本気で詐欺被害を減らしたいなら、管内金融機関窓口に偽の感謝状を乱発し掲げれば、この窓口はガードが硬そうだと警戒するだろう。魔除けのようなものだ。そんな簡単なことすらしないのだ。

ちょっと!早くしなさいよ!

窓口で例の老人女性が再び大声をだす。

いいじゃない!わたしのお金なんだから。ええ、そうよ。だまされてもいいの!だから早くおろしてちょうだいよ!

報告を聞くと息子を名乗る男性から電話があり、会社の金を使い込んでしまいバレる。今日中に300万が必要。お母さん、助けてほしい…。典型的な振り込め詐欺の手口で教科書にも載っていると言っていいぐらいだ。

興奮が冷めないようなので、自分が対応を代わり応接室に通す。温かいお茶を差し出すと、早速本題に入る。

あのー、奥さま?もしかしたら、その、騙されているんじゃないかと心配しているんです。

だまされていいじゃないの!

えっ?

そんなやりとりが続き、意外な言葉があった。(だまされていい…。)

どういう意味ですか?

だまされてもいいのよ!息子たちは何年も電話一本すらかけてこないし、詐欺でもウソでも息子と話できたなら、それでいいのよ!

その言葉を聞き、せつなくなった。
ひと呼吸おき、切り出す。

わかりました。お手続きします。ただ、混雑していますので、こちらの部屋をお貸ししますからお待ちください。

すると、老人は願いが叶ったと言わんばかりの満面の笑みを浮かべた。

ありがとうね。でも早くしてちょうだいね。3時に家に電話がかかってくるから。お金を取りにくるのよ。

これも典型的な手口だ。部屋を出て110番通報する。サイレンを鳴らさずパトランプ点滅のパトカー車輌が3台、3分もたたずに支店建物を取り囲んだ。通行人には銀行強盗が暴れているように目に映ったことと思う。それだけ警察が暇なのは平和な証拠か。

制服、私服、ものものしい人数の警察関係者が臨場する。応接室にノックもせずに入りこむ。

おばあちゃん、もうだいじょうぶですよー。

挨拶のひとつもなく第一声がそれだ。

は?

事態を掴めていない老人が、呆気にとられたように警察関係者を見つめる。

あ、ごめんごめん、おばあちゃん。私ね、〇〇警察署生活安全課で刑事やってます△△と申します。今日はね、おばあちゃんを守りに来たのー。

かなりハイテンションの刑事だ。

あなた!だましたわね!どういうことよ。何でここに警察がいるの?

僕は下を向いたまま、何も言えなかった。

二人の警察官が老人の両腕を抱えて、正面路上に横付けしたパトカーの後部座席に押し込む。振り向きざまに僕に向かって、

ウソつきー!

と叫ぶ。いやはや、後味がものすごく悪い。

後日、中年男性がアポもなく来店した。僕に会いたいという。その男性は警察に連行されたおばあさんの息子だと名乗った。開口一番お礼があった。話を聞くと関西に居を構えてもう数年、実家に帰っておらず、たまたま長期出張で東京にいたという。ちょうど母親が振り込め詐欺未遂にあったときも在京で、警察から確認の電話を受け、仕事を抜け出して実家に戻ると数人の刑事が母と部屋にいたそうだ。固定電話が鳴る。犯人からの電話だろう。いよいよこれから始まるのか。テレビの密着捜査24時みたいな現行犯逮捕ってやつが。緊張感が張りつめたという。

おばあさんが電話を取る。

もしもし、はい。お金?下ろしてきたわよ。300万円。はい。これから来るのね?わかったわ。

そこまで話すと、刑事が突然受話器を取った。

おい、お前、誰だ!金を取りにくるのか?
俺か?俺は警察だ!

そこまで言うと、電話を切られたらしい。
よくある逆探知とかをやっている気配もない。

おばあちゃーん。もうだいじょうぶですよー。もう悪いやつは来ませんよー。

呆れた。ハナから犯人を捕まえる気がないのだ。理由を聞くとあぶないから、だそうだ。
それ以来、週に一度は母親に電話することにしたという。思いがけず、親子にとってはいいきっかけにはなった。警察の対応には僕も呆れる。これだから詐欺被害は無くならないのだろう。

ウソつきー!と僕に吐き捨てた叫び声がいつまでも耳に残る。だが、二人の老人の満面の笑みが忘れられない。あの、願いが叶った瞬間に見せた本当に嬉しそうな、純真無垢な子供のような笑顔だ。満足感を得たとき人は本能的に笑うのだろう。

肉体的に経済的にも不自由な高齢者にとって、受難の世の中である。その笑顔を台無しにだけはさせたくない。

 

 

募集期間を延長しました。ぜひ、ご応募下さいね。

 

ブログ・エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
エプスタ随筆大賞
応募締切:2020年10月11日(日)
ジャンル:随筆
形式:Microsoft Word または googleドキュメント
   ペンで紙に書いて、または点字などの郵送も歓迎です
枚数:制限なし
テーマ:以下の6つの中から選び、応募下さい。
   ・お楽しみはこれからだ
   ・おれは悪くない
   ・三等同僚
   ・死ぬのは奴らだ
   ・ビッグトゥモロウ
   ・耄碌と恍惚
賞品/賞金:後日発表
賞一覧:・大賞
    ・投票による読者賞
    ・裸の大賞
    ・若大賞
    ・青大賞
    ・のんき大賞
    ・Mr.BOO!ギャンブル大賞
審査員:高橋紅(くれない)
    高橋基(もとい)
    スズキスキー
発表:2020年10月吉日
応募先:info@epstein-s.net @を半角に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

 

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応募作品#4 ヴィラ・コーポ笹野101号室について
応募作品#5 我が家の家電製品
応募作品#6 昭和四十五年九月十七日木曜日 火山、川、犬、人のことなど
応募作品#7 江戸Σ
応募作品#8 ミラノの奇蹟
賞品決定・エプスタ随筆大賞
応募作品#9 首から上の世界は…
読者賞発表・エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case1 エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case2 エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case3 エプスタ随筆大賞
受賞コメント・エプスタ随筆大賞


2020.10.02

審査員決定・エプスタ随筆大賞

文・鎌田浩宮/名無シー

 

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
「エプスタ随筆大賞」
遂に審査員を発表します。

 

 

第1回エプスタ随筆大賞 審査員

 

高橋紅
kurenai takahashi
秋田県横手市のお惣菜屋さん
デリカテッセン&カフェテリア紅玉
取締役事業部長

 

高橋基
motoi takahashi

「デリカテッセン&カフェテリア紅玉」
代表取締役

 

スズキスキー
suzukiski

音楽家

 

以下、選考理由などをつらつらとお喋りしますね。

 

 

鎌田浩宮
審査員をお願いした基準のひとつは、田舎にお住まいの方でした。コロナにしても地球温暖化にしても、東京の出来事しか報道されないでしょ?例えば相馬に行くと、満員電車の通勤ラッシュもないし、車を使わないと行けないくらい居酒屋も少ない。

そもそも、平日も休日も昼も夜も、人がそんなに歩いていない。感染リスクは少ないし、東京よりも涼しいし。そういった所でお住まいの人に、審査をしてほしかったんです。東京の物差しを、使わない人です。

名無シー
それぞれの土地、それぞれの空気、それぞれの生活の中で選んだと言うのを、サイトを訪れる人が感じるといいですね。

審査員、私個人としては、全く個人的な苦しみと闘っている弱い個人をイメージして捜していましたが、思い付いた人は、長らく持病に悩まされながらも、何とか自活しようと日々仕事に健気に向き合っていて、むしろ、審査員の役目すら重荷になりそうで頼めないなと思いました。

他の人のために立ち回れる人ではない人の声も反映できないかなと思ったのです。そこには、まごう事なき、そこだけの場所があって、それは逆に全ての人のつらさ、切なさなどを代弁するとも思ったのでした。


自分のことだけで精一杯な人。意外とそういった人の方が、他者を客観視できる。世の中を把握している。


ゴダールが「アワーミュージック」で、子供や先住民の言葉は歴史から抹殺されていると言う事を描いていましたが、普段声が小さくて影が薄いと思われている人の言葉も矢張りそうなのだと思った次第でした。

 

 


スズキスキーは、音楽の才能で表に出ましたが、どことなく、そう言う知られざる人の属性もありますね。そういう所が今回適任だと思わせるところがあったのです。


個人的な苦しみを負っている個人。そのような彼ら(僕ら)は、誹謗中傷をSNSに書くことには慣れています。でも、実は「新自由主義」や「自助」の強要のせいで、何気ない率直な心情を吐露することには、慣れていない気がするんです。

そこで、YouTubeや音楽や写真でもなく、隋筆で何かを語ってみよう、何気ない語りから、驚くものが浮かび上がってくるはず。そこを汲み取る作業をしてみようという企てですものね。

つい先日、宮台真司さんのインタビュー記事を読みました。特に若い人は、自分が貧困などに苦しんでいる事を、周囲と共有しようとしない。自分が貧困に苦しんでいる事を発信すれば、自己責任でどうにかしろという結論になる。であれば、自分の苦しみを他者と共有しない。むしろ、自分は苦しんでいないのだと思い込む。なので、安倍政権を批判も拒絶もしない。むしろ肯定する。

こうなっちまうと、誰も「個人的な苦しみを背負っている個人」を語りにくくなる。バカバカしいですよね。だからこそ、随筆です。狡猾に、随筆です。


随筆! 心から溢れ出す詩でなくても、滲み出す染みや、忘れた頃に滴る雫のような言葉で、YouTuberを撃破!


為政者をとことん無視してやろうという、この企画の裏テーマを感じてもらえたら嬉しいですね。


権力の土台をスクラッチするペン、いたずら書きをするペン!


その通りです!


官庁街のトイレの落書きに帰る!


あと、応募形式に点字などでの入稿も加えました!あと、紅さんと基くんのお店では、通販もやってます。果物もタルトもチーズケーキも、美味しいんですよ。皆さん、ぜひ覗いてみて下さいね。


秋の夜長を楽しくさせる良い随筆よ集え!

 

 

募集期間を延長しました。ぜひ、ご応募下さいね。

 

ブログ・エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
エプスタ随筆大賞
応募締切:2020年10月11日(日)
ジャンル:随筆
形式:Microsoft Word または googleドキュメント
   ペンで紙に書いて、または点字などの郵送も歓迎です
枚数:制限なし
テーマ:以下の6つの中から選び、応募下さい。
   ・お楽しみはこれからだ
   ・おれは悪くない
   ・三等同僚
   ・死ぬのは奴らだ
   ・ビッグトゥモロウ
   ・耄碌と恍惚
賞品/賞金:後日発表
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    ・若大賞
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    ・のんき大賞
    ・Mr.BOO!ギャンブル大賞
審査員:高橋紅(くれない)
    高橋基(もとい)
    スズキスキー
発表:2020年10月吉日
応募先:info@epstein-s.net @を半角に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

 

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受賞コメント・エプスタ随筆大賞


2020.09.28

エプスタ随筆対象のしほり

文・鎌田浩宮/名無シー

 

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
「エプスタ随筆大賞」
の中に潜む、ヨシ男・ワル男・フツ男 。
2人で、あれやこれや、相談します。

 

 

いい塩梅の部門賞は何か

 

鎌田浩宮
さて、大賞と読者賞の他に、何か賞を設けるとすれば、何が考えられるでしょうか?今回は6つのテーマを掲げているので、各部門賞とか…。

名無シー
お題に合わせるか、お題を皆自由に料理してしまうので、寧ろお題ではない分け方にするか。例えば、語り方やエスプリの天真爛漫さを讃える「裸の大賞」とか、若い斬新さを讃える「何ザンス?」とか…あ、でも、「何ザンス」はよくない。審査員が副賞のどれに推すかをぱっと分かる方が良いですね。「裸の大賞」は町会の方でもぱっと分かるはず。


流石。相談してよかった。


若さにはもう死にそうですけど、「若大賞」でしょうか。


もう、追随を許さないですね。サイコー。


海に映える小麦色に日焼けした若い文章に上げたいですね。


いいですね。同じ海でも、ラストで長門裕之が魚の死んだ目をして好演の「狂った果実」とは大きく異なりますね。


ひたすら元気!


こうなると、安易に聞こえるかも知れませんが、「青大賞」もいかがでしょう?狙いすぎに見えるけれど憎めない、いや、憎たらしい、若干の嫌悪感さえ抱くけれど、賞に値すると言いましょうか…。


憎めないユーモラスさに!


です!…となると「のんき大賞」もありでしょうか?


外国語随筆部門。ウイ。

 


※愛すべきジャック・タチ監督長編第1作「のんき大将脱線の巻」(1949年)

 


Mr.BOO!ギャンブル大賞もありますが、これはやりすぎですね?


色川武大、蛭子能収張りの強者が応募してきた時発動する特別枠。凄く小さい但し書きとして要綱に載っている的な。

 


※「Mr.BOO!ギャンブル大将」(1974年)。日本では1979年に「Mr.BOO!」が封切。空前のヒットとなり、第2弾「Mr.BOO!インベーダー作戦」、第3弾「Mr.BOO!ギャンブル大将」が連続して1979年に公開された。いずれもホイ3兄弟による過去の作品であり、ストーリーの関連性はない。

 


もう、しっかり肉付けをいただき、感謝しております!元巨人軍の盗塁王であり賭博王?柴田勲も追記いただければ!


面白ければ面白いほど、観衆も、果たして随筆は集まるのかとか、審査員は受けてくれるのかとか、チラ見のしがいがあるものです。楽しみです!


それではありがたく、部門賞を発表します!

 

 

裸の大賞
語り方やエスプリの天真爛漫さを讃える

若大賞
海に映える小麦色に日焼けした若い文章を讃える

青大賞
憎めないユーモラスさを讃える

のんき大賞
外国語随筆部門

Mr.Boo!ギャンブル大賞
色川武大、蛭子能収、柴田勲張りの強者を讃える特別枠

 

 

以上、5つの部門賞を新設します。
ふるってご応募下さいませ!

 

募集期間を延長しました。ぜひ、ご応募下さいね。

 

ブログ・エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
エプスタ随筆大賞
応募締切:2020年10月11日(日)
ジャンル:随筆
形式:Microsoft Word または googleドキュメント または 紙に書いて郵送
枚数:制限なし
テーマ:以下の6つの中から選び、応募下さい。
   ・お楽しみはこれからだ
   ・おれは悪くない
   ・三等同僚
   ・死ぬのは奴らだ
   ・ビッグトゥモロウ
   ・耄碌と恍惚
賞品/賞金:後日発表
選考委員:後日発表
発表:2020年10月吉日
応募先:info@epstein-s.net @を半角に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

 

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応募作品#6 昭和四十五年九月十七日木曜日 火山、川、犬、人のことなど
応募作品#7 江戸Σ
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賞品決定・エプスタ随筆大賞
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読者賞発表・エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case1 エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case2 エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case3 エプスタ随筆大賞
受賞コメント・エプスタ随筆大賞


2020.09.14

エプスタ随筆大将のしほり

文・鎌田浩宮/名無シー

 

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
「エプスタ随筆大賞」
の中に潜む、清く 貧しく おもてなし。
2人で、あれやこれや、語ります。

 

 

いい塩梅の賞品は何か

 

鎌田浩宮
賞品…これだけでも、考えると楽しくなってしまって、あっという間に時間が過ぎていきます。

東日本大震災屋昨今の台風・水害、コロナの影響で被害を受けている地域の名産品などもいいですし、僕が子供の頃親に贈った「肩たたき券」みたいなものも、自分がもらったら相当に嬉しいです。

あとは、SNSで何を発信しようとも誹謗中傷を受けないシステムの贈与(そんなもん実際にはないので、僕がマンパワーで書き込みを取捨するだけ)とか、随筆大賞なので、ちょっと変わったペンや原稿用紙など。

賞金でもいいんですけどね。今回応募する皆さんから無理やり500円ずつ徴収して、それをまとめてお渡しする。それだけではアイデア不足なので、そのお金で電通の株を買ってお渡しする。なぜ電通なのだ~!

名無シー
賞品は考えて行くと意外と面白いですね。大賞以外の賞、図書券的な実利的な物から、良い随筆を物する人なら喜んでもらえそうな、国内外の民芸置物、骨董置物、など。海外の孫の手的な物とか。マトリョーシカぐい呑み的な物、熊型ビアジョッキ、文鎮、珍奇なペン立てなど。


熊型ビアジョッキ!一昔前は、ヘンなジョッキが多かった。常軌を逸しているデザイン。みうらじゅんさんが「いやげもの」と名付けるにふさわしいもの。ちょっと、文豪にふさわしい意匠のもの、探してみますね。

 

いい塩梅の審査員は誰か

 

名無シー
あと、審査員、どうするんですか!? ここで驚きの、感受性の巨人スズキスキーにもたのむとか。異彩を放つかも知れません。良識的な人々の中に、珍しい花のように佇む感性を注入。


スズキスキー、いいですね。僕や名無シーさんの随筆は、徹底批判してほしい!スズキスキー、知ってる人にとってはすごい人だが、知らない人は全く知らないという。

※テクノ系の音楽家として国内外で著名なスズキスキー。名無シーと鎌田は学生時代、彼とカシオトーン系キーボードのみで編成するバンドを組んでいた。なお、本審査員への打診は未だ行っていない。

 

 


スズキスキーについては、説明をつけて、サイトで読めるようにするのです。あと、三茶にご老人の俳句会とかありますか? 俳句会の皆様とか。あ、審査員の内のお一方(団体)ですが。ただし、俳句会の人の中に頭の硬い人がいるとあれなので、慎重な選定が必要ですが…。


ああ、いい!それ!三軒茶屋の商店街の理事長とは、親しいです。マンション反対運動で一緒に活動してるんですよ。理事長、ご高齢ですが、かっては、全学連の闘士だったとか。驚くほど頭脳明晰で、リベラルです。素敵な方ですよ。

あと、考えていたのは、和田先生です。それこそ、誰だ?という人選ですが…僕の小学校の時の恩師です。75歳くらいでしょうか。当時僕は家庭環境も荒れており、貧困で、かなりひねくれた子供で、毎日反省文を書かされました。先生は、その読み手でした。

※エプスタインズにも度々登場する、和田浄美先生。当時、世田谷区立三軒茶屋小学校4年2組を担任。現在は、鎌田と戦闘的ゴジラ主義者の飲み仲間。なお、本審査員への打診は未だ行っていない。


反省文読解のスペシャリスト!こいつは本当に反省しているかどうか、心にもない文面から読み解くプロ。


つい、感傷にふけってしまいます。身長145㎝、体重30㎏。自分に降りかかることを、懸命に受け止めていました。


身長2mの音楽の巨人。

 

 

田舎に点々と佇む庶民を審査員に

 


面白そうですね。例えばですが、誰も知らない基君の奥さんとかも、東北の片田舎で料理に励む料理研究家として。或いは基君に、何か育てている農家の方をご紹介頂くとか。もう、文学と関係ないけど、その感性が興味を引くかも知れません。

※高橋基(もとい)は、名無シー・鎌田と学生時代遊び呆けた後、秋田県横手市にて「デリカテッセン&カフェテリア紅玉」を経営。新型コロナウイルスの影響で売り先を失った地元農家の果物を、オンラインで販売。好評を博している。なお奥様へ、本審査員への打診は未だ行っていない。


ああ、全くいいですね!その線です!地方に住む市井の庶民が、女性が、1日の労働を終え、読みかけの文庫本を、手に放る。遂に最近購入した、老眼鏡を試す。あら、よく見えるわなんつって、頁をめくる。この随筆、ちょっと面白いわ。今頃の秋田は、鈴虫の声も美しいでしょう。涼しいので、冷房はいらない、窓を開け、虫の声、そよぐ夜風、星もそよぐ。


知らない人達オールスター(互いのことも知らない)!お米の袋の、私達が作りました!じゃないけれど、誰だか知らない誰かさんが、熱心に読んで好きなものを挙げる。私達が読みました!


随筆も含め、文学によるやり取りは、赤の他人同士で行うものですよね。


その、日本各地からの、これが好きの点数を合算すると…物凄く短い選評も貰えたら嬉しいですね。これは、書いてくれたらいいな位のものでしょうけれど。


ありがとうございます。そのように進めてみます。


あ、しごとです。


しごとだしごと!早くしねえと親方に怒られるぞ。

 

続きは「エプスタ随筆対象のしほり」をお読み下さい!

 

 

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応募作品#9 首から上の世界は…
読者賞発表・エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case1 エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case2 エプスタ随筆大賞
審査結果発表 case3 エプスタ随筆大賞
受賞コメント・エプスタ随筆大賞


2020.09.11

エプスタ随筆大賞のしほり

文・鎌田浩宮/名無シー

 

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エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
「エプスタ随筆大賞」
の中に潜む、まごころ・きずな・思いやり。
2人で、あれやこれや、語ります。

 

 

丸腰で出来るものがいいでしょう

 

鎌田浩宮
今回10周年で、読者の方から何かを募集したいと思った時、随筆だなあと思ったんです。YouTubeなんぞは、もってのほかです。YouTuberを馬鹿にするわけじゃないんだけど、なんであんなにハイテンションで登場できるんだろう?

アクセス数を上げるための手段なんだろうけれど、一昔前の芸能レポーターが浮気の現場に張り込んでます的な。もしくは現在のテレビと全くおんなじな、「うわあ、中はふわっふわ、外はサックサク」的な。

せっかく組織から自由になって、YouTuberとして生きているんだから、本当にやりたいことをやればいいのにと思うんです。

なので、動画の募集は嫌だ。音楽も嫌。技術に頼るものじゃない方がいい。編集ソフトを持ってなくっても、できるものがいい。そこで、文字だけの作品がいいなと思ったんです。

名無シー
丸腰で出来るという身軽さ、いいですね。ユーチューブに関しては金が出るというのが全てをつまらなくしている感じがしますね。

十数年前位だとジオシティーズやそれに毛の生えた程度のサイト開設サービスでやっているページには、場末町にこんな良いお店、銭湯、定食屋、お寺等があったのかと言う発見に似た、いい感じのマイナーなサイトを発見することが出来ました。

内向的で熟考を宿したようなサイトで、年齢不詳でした。勢いとは無縁で中にはコンテンツとして永久保存したいような出来のものもあったと思います。

 

商売道具じゃなかった頃のネット

 


誰がこんな所に行くんだろ、という場末のお店を訪れたブログとか。相当昔にアップされたまま、放置されているサイト。例えば、三軒茶屋の三角地帯に以前あったお店って、食べログにも口コミ掲載なし・写真掲載なし。住所以外何も書かれていないんですね。ネット社会から追放…もしくは開放されたような店です。今は閉店してしまった店の訪問記などを見かけると、いいなあと思うんです。


Twitterでもいいねやフォロワーの数が少ないアカウントがありますが、あれですね。常に数百から千、万単位のいいねが付く、感慨とは関係ないアカウントとは違うそういう人達は、目立たないところでしっかり息をしていますね。

お金というニンジンを鼻先にぶら下げている人達の高揚は、正直疲れる。


そうか…根源は、お金だったんだ…。YouTubeでお金を稼ぐ。それもいいだろう。ただ、そのせいで作風が一昔前や今のテレビと同じになるのは、やっててもつまらんだろうに、「楽しんで作ってるんだ」と、自分を洗脳しちゃう。


恐らく奇妙な独自性を持ったキャラクターや、アプローチを持った人も、ビューが稼げないと、先ず自分でそのやり方を否定するかも知れませんよね。ユーチューバーになろうというのは、とにかくビュー至上主義とならざるを得ない。

 

おじいさんのサイトを目指し

 


自分を安易に肯定するつもりはないんだけど、僕や僕の周りの人が何かを作る際、お金がほしいとかは、あまり考えないんです。やりたいことや表現したいことを、くいぶちにしようと思わない。だから、マーケティングやSEOやビュー至上主義は、自分の作品に関与してこない。


サイトの名前もリンクも忘れましたし、恐らくそのサイトもサイトの運営の方ももうこの世にいらっしゃらないと思うのですが、地方史の研究サークルみたいな集まりの、死んだ仲間達との活動の記録をひたすらアップしているおじいさんのサイトとか目撃したときは、何という奥の細道、或いは天国への階段だろうかと言う感慨がありましたが、ユーチューバー系ユーチューブ映像にはそう言うのは期待できませんね。

忘れ去られた系ユーチューブ映像には、地方のバスに乗っているだけの車窓の映像とかはありますね。ユーチューバーではない、忘れ去られた人達です。


それらのサイトは、随筆につながりますね。


ほんとに。


今回、コラムではなく、エッセイ=随筆としたんですが、そこに通ずるのかしら。


コックリさんでないので、それは随想でもある。自由です。


一方で、俳優や音楽家が、「コロナで時間ができて、家にいてばっかりで、小説書き始めたんすよ」みたいなの、急増していることに気づきまして。それ、暇だからやるんであれば、ただの迷惑だなあとか思って。

一方で映画監督が、リモートで劇映画を完成させたりして。観ていないのにあれこれ言ってはいけないんだけど、それ本当に表現したい事なのかなあ、監督の表現したい事の、ど真ん中にある事なのかなあ?とひねくれてしまいます。

子供からお年寄りまで参加できること。逆に、審美眼を持ち合わせてなくても審査できること。手あかのついていないメディアであること。こうなると、随筆で行こうと結論したんです。

 

この続きは「エプスタ随筆大将のしほり」へどうぞ。

 

 

募集期間を延長しました。ぜひ、ご応募下さいね。

 

ブログ・エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
エプスタ随筆大賞
応募締切:2020年10月11日(日)
ジャンル:随筆
形式:Microsoft Word または googleドキュメント または 紙に書いて郵送
枚数:制限なし
テーマ:以下の6つの中から選び、応募下さい。
   ・お楽しみはこれからだ
   ・おれは悪くない
   ・三等同僚
   ・死ぬのは奴らだ
   ・ビッグトゥモロウ
   ・耄碌と恍惚
賞品/賞金:後日発表
選考委員:後日発表
発表:2020年10月吉日
応募先:info@epstein-s.net @を半角に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

 

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2020.09.09