要キャプション。

私の2017年の5大apple music プレイリスト 山内大輔編

文・山内大輔

 

おい、あれ見ろよ。
2017年だぜ。
いつ、過去になるんだろうな。

 

元Wowful(株式会社アカツキ)
のライター・編集者達が、一丁かますぜ。
大輔兄貴の、怪力随筆。

知らざあ読んで聞かせやしょう。

ちなみに、山内大輔がWowfulで編集した記事は
JK.SURF」などである。

 

2017-4-13 Booker T.Jones gig at Blue Note Tokyo

 

あけましておめでとうございます。編集長の鎌田さんから、何か2017年のランキングを、というご依頼をありがたく頂戴しまして、今回駄文を寄せさせていただく山内大輔と申します。よろしくお願いいたします。

年末までにという締め切りの設定でしたが、生来筆が遅いため年明け気分も薄れた今になってようやく筆を執っている次第ですが、今回はapple musicのプレイリストの中から、個人的に2017年に聞いた回数の多かったベスト5、ということで書かせていただきたいと思います。まずはこちら。

 

 

雄大な自然美を想像させる音楽 ←click

不快な音が一切含まれておらず、とても心地よいプレイリストです。秩父あたりの森の中で、一人ヘッドフォンでこのプレイリストを聴いたら間違いなくトリップできる気がするのですが、まだ試していません。

坂本龍一、レディオヘッド、スティーブ・ライヒなど大御所の楽曲が取り揃えられている中で、個人的なハイライトとしてお勧めしたいのが「La Donna Ni Demo Des Kinna」(Yoshimi & Yuka)。鳥の鳴き声から始まり、何となく中国の農村を思わせるような音像が展開されるこちらの作品は、プレイリストのタイトルからは幾分かけ離れた「ほっこり」した印象を受けるものですが、絶妙のアジアンテイストも相まって、唯一無二の存在感を放っています。

最後がライヒの「electric counterpart」で〆られるのも、なんかいいです。ミニマルって人工物の極致だと思うのですが、それを突き詰めると自然に帰るんだ、みたいな。龍安寺の庭みたいなものかもしれません。

 

 

クルージング 〜 ひとけの少ない都市:エレクトロニック ←click

このプレイリストを初めて聞いたときに思ったのは、「Jumbo」(Underworld)について、ああ確かにプレイリストのタイトルにぴったりの曲だなと。

淡々とした展開&ボーカル、音数の少なさ、しっかりしたリズムパート。年末年始当たり、ひとけの少ない都市をクルマで流したら、確かに寂しくもなく、かといって騒々しいわけでもないこんな音楽が似合うだろうなと。

これまで何回聞いたかわからないようなド定番の曲でも、こうやって新たなテーマを与えられると新鮮に聞こえてしまうのがプレイリストの醍醐味です。そういう意味では「Star Guitar」 (ケミカル・ブラザーズ)なんかもそうですね。こちらは電車の車窓を延々と流すMVにも多分に引きずられているかもしれませんが。

もう一点こちらのプレイリストの特徴として、Open Reel EnsembleDJ KAWASAKI、FPM、Jazztronikなど日本のアーティストの割合が多めです。日本のキュレーターが作ったものだと思うのですが、やはり日本の都市には日本のエレクトロニックが似合うということかと。音楽も地産地消が一番ですね。

 

 

静かな時間:ギター ←click

これはもう、一曲目の「Five Steps」 (伊藤ゴロー)が全部持っていってます。この曲の音が流れ出すとその場の空気がちょっと変わります。神社の鳥居をくぐった時みたいに、クリアになるというか、乱雑だったものが整うというか。

伊藤ゴローさん、青森県青森市(筆者も同じ) の出身ですが、多分雪に色々影響を受けていると思います。雪はちらかったものを全部隠してしまうという結構特殊な気候です。冬の青森なんて企業の看板も犬のウンコも雪が隠してしまって、文字通り白一面です。そういう意味でもう一人思い出す音楽家がいまして、あまり有名ではない(失礼)かもしれないのですが、こちらのSeiji Takahashiさんという方の曲がまさに青森っぽい「平らさ」と「透明さ」を兼ね備えています。CDを1枚リリースしている他、sound cloudで音源を無料で聴けるので、ぜひお試しを。

改めてプレイリストの話に戻りますが、ギターの倍音って気持ちいいんだなあということを実感できる構成です。なにしろ音数最小限でほとんどギターの音のみ。それなのに目の前と頭の中が音で一杯になるというギターってすごいなあと(あと収録曲のミキシングも)。なお、姉妹版「静かなピアノ」もおススメです。

 

 

湯けむり温泉旅情 ←click

本稿が掲載される当サイトの性格(?)も加味して、こちらのプレイリストをご紹介。温泉に行くときの気分を高めるために結構かけています。

「北の宿から」 (都 はるみ)「さざんかの宿」(大川栄策)など誰しも知っている名曲から、「私をいで湯に連れてって」 (三船和子)といったJRもびっくりの老春推奨ソングまで盛りだくさん。こってりとした昭和風情が詰め込まれています。

このプレイリスト、しゃれおつ路線をひた走る箱根にお出かけの際には向いていません。熱海以南の伊豆半島の温泉(伊東とかいいですよね)ならまだマシですが、よりぴったり来るのが山梨県石和温泉です。数年前に訪れた際には、かつての温泉宿と思わしき更地などもいやが応にも目につき、侘び寂を感じさせたものですが、あのような萎びた温泉街に都心から1~2時間で行けるというのは精神衛生上、実に良いことです。

ついでにもう一つ山梨でおススメの温泉街がありまして、その名は増富温泉。韮崎市から山中に上ること一時間くらいでしょうか、「富が増す」という名前からして素晴らしいですが、何でもこちらの温泉はラジウム含有量が世界一だとか。マッチョです。

いずれにしても、温泉地の湯けむりを目にするたびにふと思い出す、そんなプレイリストです。

 

 

試合を盛り上げるベストナンバー ←click

これは当方の持論なのですが、音楽はビタミン剤のように扱うと有効である、と考えています。その時その場で適切な音楽を摂取する。

例えば異性にフラれて悲しい思いをしたときの対処法は二つあって、思い切って悲しい方向に振り切るか、もしくはバカみたいな音楽を聴くか。前者なら中島みゆき(apple musicにはないけど)の「わかれうた」あたりが効くと思われ、後者ならセパルトゥラあたりのデスメタルとか、思い切ってマイアミベースでも聴いてみるといいかもしれません。ただ、経験則から言えば、大概の場合は荒療治にあたる後者の手法はいまいち効果が薄く、その時の気分を増幅させるような音楽を聴いた方が効き目が早い模様。悲しい時は思い切り泣いた方が良いです。

というわけでこちらのプレイリスト、どんな時に摂取するべきかと言えば、もちろん勝負がかかっている時です。仕事でプレゼンがある、大事な試験を受ける、結婚を申し込む、世の中にはいろんな勝負事がありますが、大切なのはテンションです。直前の気持ちの作り方で、アウトプットの質は間違いなく変わります。

一曲目の「Gonna Fly Now」(ビル・コンティ)でとりあえずロッキーの一場面を思い出したら(肉を殴るところとか)、そこから怒涛の3連荘で「Eye of the Tiger」 (サバイバー)「Welcome to the Jungle」 (ガンズ・アンド・ローゼズ)「We Will Rock You」 (クイーン)と続きます。その後は「Lose Yourself」(エミネム)などHip Hopのメッセージソングの固め打ちが続きますが、要するに「俺は負けない」というボーストソングで、英語が聞き取れないとピンとこないかも。

日本ならZARD「負けないで」や中島みゆき「ファイト!」などが入るとグッとくる人が多いのでは。個人的には森高千里のほうの「ファイト!!」冒頭「頑張って!」のセリフが嬉しい限りです。

話を戻しますが、こちらのプレイリスト、最後は「We Are the Champions」 (クイーン)で〆るあたりは、そりゃそうだよね、と腹落ちします。日本人にとって完璧なプレイリストではない(当方も聴くのは最初の4曲だけ)と思いますが、音楽=ビタミン剤説を提唱するべく、取り上げてみた次第です。

 

 

もし効きのいいプレイリストがないようなら、用途に応じてご自身でプレイリストを作ってみるのも面白いかと。ご参考までに自作プレイリストを1つご紹介。あくまで個人的な処方箋なので、万人に効くわけではありません。

上げるリスト ←click

以上、2017年にたくさん聴いたプレイリスト5選でした!皆さんもapple musicやspotifyなどでお気に入りのプレイリストを見つけたり、オリジナルプレイリストを作って快適な精神生活を過ごしてください!


2018.01.18

?年12月24日 クリスマス

文・鎌田浩宮

毎年クリスマスになると、キヨシローの歌う曲を選んで掲載している。
「きよしこの夜」
「歓喜の歌」
どれも、素晴らしいんだよなあ。

だけど、今年紹介するこの曲がいつ創られたものなのか、一切を知らない。
3人編成だった頃の、デモテープかしら?

キヨシローが正面から向き合ってクリスマスソングを創っていたなんて、意外だ。
クリスマスというものは、家族一緒に過ごす日という印象しかない。
団欒。
平安。
50年代に創られたクリスマスソングに始まり、ジョン・レノンの「happy Xmas(war is over)」に至るまで、家族がつつましく穏やかに暖炉などを囲んでいる様子が浮かんでくる。
実際、欧米にしてもかつての日本にしても、この日ばかりは家族で過ごすもの。
女と男が惚れた腫れたなんぞの下衆な恋愛沙汰がクリスマスソングに取り込まれるようになって、急激にくだらなくなってしまったのは、いつの頃からだろう?

80年代以降、欧米や日本のロックミュージシャンが、冬はクリスマスソング、夏は海をテーマにした曲を、ルーティーンとして発表するようになった。
ロックの商業化が、顕著になったのだ。
キヨシローはかねてから、そうしたマーケットに取り込まれることを疎んじていたんじゃないかな、と思う。

この曲に関して、何か知っている人がいたら、こちらまでよろしくお願いしますね。


2017.12.24

1986年12月24日(水) 交響曲第九番

文・鎌田浩宮

僕はイスラム教徒だから、
クリスマスは知らない。
サンタクロースも、
プレゼントを運んじゃ来ねえ。
来るといっちゃあ、
奴等はラマダンでさえ、
知ったこっちゃねえと
空爆をかましやがる。
だから僕らとしても、
クリスマスに
テロをかますまでさ。

 

でも、忌野清志郎が歌うんなら、別さ。
彼の歌は、宗教なんぞ、軽く飛び越えてみせる。
国境なんぞ、人種差別なんぞ、軽く飛び越えてみせる。
ベートーベンの曲だって、ゴスペルに変えちまう。
いや、待てよ。
ゴスペルはアフロアメリカンが日曜に教会で歌うものだ。
だからここはやむを得ず、ゴスペルではなく、ソウルと言った方がいい。

キヨシローが歌う、ソウル・クリスマス。
2016年、世界中が宗教間戦争と移民排斥に溢れ、日本じゃ戦争法案が可決し、南スーダンの自衛隊が殺される目前で、米軍と日本政府が沖縄をレイプし続け、原発は再稼働し、福島の子供達はいじめられる。
そんな時に、キヨシローのソウル・クリスマスが鳴り響く。

キヨシローが歌うと、乾いた荒れ地に水が流れ始める。
本当さ。
キヨシローの歌は僕にとって、生きるに欠かせない水そのものさ。
するとどうだ、水は荒れ地に染みこみ、草が生え、動物達が戻ってくる、実が成って、鳥がついばみ、種を運ぶ。
さらに、音楽は高らかに鳴り響く。
愛と平和は素晴らしいものだと、鳴り響く。

それは、止まらない。
決して、鳴り止まない。
日本が戦争になろうとも、その音楽を止められやしない。
胸の中には、常に鳴り響く。
忌野清志郎の歌が、鳴り響く。

 

 

エプスタインズ、これまでのキヨシロー関連記事です。

清志郎行きつけの店で献杯する

再び清志郎行きつけの店で献杯する

玉音ちゃんradio 第15回「忌野清志郎ロックン・ロール・ショー」

2009年5月2日(土) すべてはALRIGHT(YA BABY)

玉音ちゃんradio 第8回「仲井戸“CHABO”麗市特集」

玉音ちゃんradio 第13回「チャボの2012年」

玉音ちゃんradio 第14回「きよしちゃん」

玉音ちゃんradio 第18回「矢野顕子、忌野清志郎を歌う」前編

玉音ちゃんradio 第19回「矢野顕子、忌野清志郎を歌う」後編

玉音ちゃんradio 第20回「矢野顕子、忌野清志郎を歌う」本編

矢野顕子、忌野清志郎を歌うツアー2013を観る

1987年12月24日(木) 交響曲第9番

1985年12月24日(火) きよしこの夜

みたび清志郎行きつけの店で献杯する

忌野清志郎ロックン・ロール・ショー 渋谷公会堂 Love&Peace

ラストデイズ「忌野清志郎×太田光」を観て

よたび清志郎行きつけの店で献杯する

忌野清志郎ロックン・ロール・ショー渋谷公会堂2015


2016.12.24