要キャプション。

和む!ウイグルの音楽 pt.5 ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

構成・文/名無シー・鎌田浩宮

 

 

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ئۇيغۇر مۇزىكىسى

 

 

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記念事業第3弾
和む!ウイグルの音楽
ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

 

 

ウイグルの音楽を、聴いてみようじゃありませんか。
音楽で、ウイグルを訪ねてみようじゃありませんか。
東京芸大や博物館、ウイグル料理屋さんに寄り道しながら。
その道の大家に、話を聞きに行ったりして。
きっと、眩しい旅になるでしょう。
時間は、たっぷしありますよ。
さあ、一緒に出家しましょうぞ。

 

 

 

 

最初の手掛かりは、
図書館の倉庫に眠っていた、
下記2枚のCD。
ここからウイグルへ
浸っていくのだ。

 

キャラバンの調べ~ウイグルの器楽
1 ムシャーブラクムカーム
2 グンドゥパイ
3 カーデル・マルラン(マルラン公社幹部)
4 タシュワイ
5 ヤルー(恋人)
6 ダワンチェン(大板城)
7 ディハンラー・マディア(農民讃歌)
8 豊作
9 ウッシャーク・ムカーム 第一ダスタン
10 ラクダの鈴の音
11 カルワン(キャラバン)
12 ラーク・ムカーム テザ間奏曲

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

レワープ:ダウティ・アウティ
バラマン:バーキル・トゥルディ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

 

オアシスの抒情~ウイグルの歌

1 タック・スーレイ(山水)
2 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(1)
3 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(2)
4 グリヤール
5 グレー・チスカン・ミニン・ヤレン(花を持つ恋人)
6 ティレック・ボスタン(生き生きとしたオアシス)
7 チャビアート・ムカームのチョンナグマン
8 白い泉
9 遥かなる道
10 トーガン・ジェル(ふるさと)
11 クォールケム・アルタイタウェ(美しきアルタイ山)

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

歌:パシャ・イシャ
レワープ:ダウティ・アウティ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
歌・ドゥタール・タンブル:マハムティジャン・シャキル
歌・ドンブラー:ダリルハン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

ウイグルのヴォーカルものを聴く。

 

鎌田浩宮
こんばんは。ヴォーカルものも探ってみましょうか。名無シーさんがすでに挙げて下さった、もう片方のCD「オアシスの抒情~ウイグルの歌」の2曲目「ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(1)」…パシャ・イシャン Pasha Ishan پاشا ئىشان という方が歌っています。この映像の方ですね。別の歌を歌ってますが、ちょっと観て下さい。

 


2012年のテレビ番組「Tengritagh Bulbuli Naxsha Kichiligi」らしい。

 


高音域のド迫力が、ヘビメタかっつーくらい凄まじいですね。中国の京劇のヴォーカルのようでもあり、ちょびっとだけファドの感じもあり。全くの推測なんですが、ご高齢の方をメインに慕われている、かなり著名な歌手なのかしら。

名無シー
13分くらいからスクリーンで流されるやつですね。確かにこの方の唱法、旋法、そしてバックの楽団の音楽は京劇的です。京劇が、中国的なのか、或いは古えの西方北方諸民族の音楽の流れを汲むものなのかという辺りは興味が尽きませんね。そしてこの民俗芸能のステージの演出は、旧ソ連から北朝鮮に広がる共産全体主義的であるというこのミクスチャーも凄まじい!


なるほど!共産全体主義的ミクスチャー。


嘗て、ウイグルの民族的な歌は、恐らく野や中庭などで歌われたと思いますが、共産全体主義の台頭の中で、現在とは違って、寧ろ共産党的体制は民族性をそれが守られる豊かな体制の宣伝として使ったのは、パヴェウ・パヴリコフスキ「COLD WAR あの歌、2つの心」でも紹介された冷戦時代の東側のお馴染みの風景だったと思います。オヨヨォ♪のあれです。

 

 

映画「COLD WAR あの歌、2つの心」を通して。

 


そうか!あの頃の共産全体主義は、民族の伝統や音楽を重んじる、守る、そして利用する。2018年公開(日本公開は2019年)「COLD WAR」、大好きな映画です。

 


ポーランド。13世紀にはモンゴルが来襲。
1945年にソ連の占領下となり、社会主義国化。


上の予告編で合唱された民族音楽が、経過してジャズに。どちらも極上の音楽。

 


この方の唱法は音節の頭に短く力強いコブシが入るところも印象深いですね。京劇のそれに比して、勇ましい力強さの様な表現を感じますが、そもそも歌詞は勇ましい内容なのか、悲恋とか何かなのか……。振り返ると、戦後日本の演歌も、哀しい恋を随分勇ましげな唱法で歌い上げますね。他のジャンルではあまり、「歌い上げる」等と言わないし。


前にも名無シーさんと話したけれど、日本と韓国には演歌というジャンルがあります。

 

 

アルタイ語族圏というくくり。

 


それと、歌だけではないですが、[y](ユィ)の発音を聞いていると、アルタイという感じがしますね。


アルタイは、ウイグルの北隣り。モンゴルともお隣さんです。

 

 


「アルタイ」は、国名ではなく「アルタイ語族圏」と言う感じで、トルコから朝鮮半島迄の言語族的地域となります。ヨーロッパでは飛び地的にハンガリーとフィンランドも関連のある言語地域です。


朝鮮語や日本語もアルタイ語族ですね。主語-目的語-述語という文法が、アルタイ語族圏の特徴です。

 

 


例えば古満州語を使っていた満州族の国・渤海の珮(ハイ:帯を通して腰に提げる玉器)型のパスポートには「ギュィルン・ニ・カダグム(国・の・誠)」と書かれていました。江戸時代に新潟だかの浜辺に打ち寄せられていたのが発見されています。


この時代に、もうパスポートがあったんかいな。

 

7世紀から10世紀まであった「渤海」。
満州~中央アジアを制していた契丹により滅亡。

 


満州の皇族 愛新覚羅家の姓は、愛新アイチン(黄金の)・覚羅ギョロ(血族)。そんな風にアルタイ系の言葉には変母音[y](ユィ)や、子音化した母音[j](ヤ行子音)が耳に残りますね。トルコから満州まで馬を駆って繋がった言葉の響きです。


モンゴルに2回行った事があるんだけど、耳にした感じでは、モンゴル語とウイグル語は似ているなあと思います。シナ・チベット語族圏の中国語よりも、語感が近い。

 


これが満州語らしい。

 


因みにアイチンギョロ姓には、日本で言うと鎌倉時代、満州族の一部族 女真 の阿骨打が建てた国「金」を継承する一族だという意味が込められていて、ギョロとギュィルンは音節の近似や、意味の面の血の土地への帰属意識の関連を見ると語源を共有しているのかなとも思います。

 

12世紀に建国された、金王朝。モンゴルの来襲により13世紀に滅亡。

 

 

 

日本の演歌との比較。

 


名無シーさんが指摘した、日本の演歌と比較してみましょう。敢えて、戦争が終わったばかりの曲を選んでみます。1947(昭和22)年、二葉あき子「夜のプラットホーム」です。「歌い上げる」とまではいかないけれど、パシャ・イシャン同様に高音域を聴かせる歌唱ですよね。この頃はまだ、演歌という言葉はありません。

 


当時はSP盤。くすんで聴こえることもあいまって、ウイグルの歌に近いものを感じる。

 


でもって1949年「悲しき口笛」。なんと12歳の美空ひばり。低音に聴き応えがあります。演歌のルーツとして「りんご追分」が挙げられますが、そちらは1952年。こぶしやうなりで「歌い上げる」天才・都はるみのデビューは1964年。演歌という言葉が「現代用語の基礎知識」に掲載されたのは、1970年だそうですね。

 


低音で歌われることもあり、大陸の歌と異なる「演歌」へと向かっていく。

 


ふと思ったのは、都はるみが口蓋垂(編集部注:のどちんこのこと)から鼻腔の振音を激しく発しながら歌っていた歌を、日本語が分からない海外の方々は何を歌っていると想像したかなと言うことが気になって仕方ありません。それは、恋でありながら、日本海の荒波に向けて舟を出すような、何かに立ち向かうようなものに聞こえたのではないかと。


そうそう。例えようがないので、ついついパシャさんのことをヘビメタと当てはめ、いやそうじゃないだろと自分ツッコミする。


ウイグルの方の、先に言及した勇ましげな音節の頭の短いコブシは、まるで馬を駆って闘いに出るような勇ましさを感じさせます。普段の気持ちの根のようなものが、歌い方に現れる空気を取捨選択したという事はないかななどと想像します。


なるほど。日本のコブシと、ちょっと違う。いや、だいぶ違うか。


第一次産業の従事者が減っていった90年代に向かって演歌が下火になっていったのはそう言う事と関わりが無かっただろうか等と、今ウイグルの歌を聴きながら、日本の現代音楽史について振り返らせられる気がします。

 


都はるみ17歳、映画初主演作「アンコ椿は恋の花」(1965年)

 

三日おくれの 便りをのせて
船が行く行く ハブ港
いくら好きでも あなたは遠い
波の彼方へ 行ったきり
アンコ便りは アンコ便りは
ああ 片便り

三原山から 吹き出す煙
北へなびけば 思い出す
惚れちゃならない 都の人に
よせる思いが 灯ともえて
アンコ椿は アンコ椿は
ああ すすり泣き

風にひらひら かすりの裾が
舞えばはずかし 十六の
長い黒髪 プッツリ切って
かえるカモメに たくしたや
アンコつぼみは アンコつぼみは
ああ 恋の花

 


あんなに唸り声を上げて、何歌ってるかと思ったらラブソングかよ!海外の人、ビビりますよ。


力んで絞り出す恋!


都はるみ、好きです。このご時世で何か歌ってくれないか。


あ゙ん゙こぉ~、あ゙ん゙こぉ~ みたいなあれ…当時は、ロックぽい曲もどこか演歌っぽい唱法があったように思い出されます。


鼻腔を使った歌い方では、西城秀樹も思い出します。ヒデキ、好きなんだよなあ。で、その歌唱法を矮小してリサイクルしたのが、氷室京介。

 

 

CDの曲は「恋人よ」だった。

 


逆にパシャ・イシャンさんも、全曲少女の恋心を歌っていたりして。先に挙げたCD2曲目の曲名「恋人よ」だし。


そんな気がします。戦後の日本人が力んで恋愛したように、ウイグルの方々も勇ましく恋い焦がれるのかも知れませんが、歌詞の和訳を読みたいですね。


叙事詩と叙情詩と叙景詩…歌詞をこの3つに分けてみて、パシャさんはウイグルの広大な風景とかを歌ってるのかなと想像しつつも、実は「ウルムチ山から噴き出す煙 あれは私の恋心 ウルムチ椿は ウルムチ椿は」と歌っているのだ。

 

 


このCDのライナーノートを読む事も忘れ、夢中になってお喋り尽くす我等愛おしい初老2人。種明かしのようで嫌だけど、ここに転載しますね。

「パシャ・イシャ(Pasha Ishan)は、エルキン・クトゥブディン(Erkin Kubidin)、アイシャム・キューム(Aishem Keyum)、ジェミリー・クルバン(Jemile Kurban)などと並ぶ人民芸術家の称号を持つウイグル最高の女性歌手だ。1954年のワルシャワ世界青年交歓会での銀メダルを皮切りに、ウイグル・中国はもとより、世界各地でステージを行い、極めて高い評価を受けている。圧倒的な声量と、絶妙なコントロールは本CDでも堪能できる。そんな名声にもかかわらず、ふだんの彼女は冗談の好きな“気さくなおばさん”といった雰囲気で、これがまた敬愛される理由でもあるようだ。


シルクロードの音楽を記録するプロジェクトのページでアブドセミ・アブドラフマンさんと仰るウイグル人の音楽家で研究者の方が、ウイグル音楽を解説しています。今読み始めました。矢っ張り恋歌はメインのテーマの一つらしいです!


げ!同じサイト、僕も数日前から見てました。

 


ウイグル・テレビジョン
「Séghinip Keldim, Weten’ge Medhiye, Tagh Suliri Pasha Ishan」より

 


2011年にアップされたYouTube「Pasha Ishan-Bulbul. Saitov Zainidin」。

 


2017年にウイグル・テレビジョンで放映された
「Pasha Ishan Zepmu chirayliq Keldi baha」のようだ。

 


そして遂に!2人でウイグル料理を食べに行ったのだ。次回、たっぷり語り倒すので、お待ちあれ!

 

謎が謎呼ぶ!pt.6へ続くっ!


2021.03.09

和む!ウイグルの音楽 pt.4 ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

構成・文/名無シー・鎌田浩宮

 

 

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和む!ウイグルの音楽
ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

 

 

ウイグルの音楽を、聴いてみようじゃありませんか。
音楽で、ウイグルを訪ねてみようじゃありませんか。
東京芸大や博物館、ウイグル料理屋さんに寄り道しながら。
その道の大家に、話を聞きに行ったりして。
きっと、眩しい旅になるでしょう。
時間は、たっぷしありますよ。
さあ、一緒に出家しましょうぞ。

 

 

 

 

最初の手掛かりは、
図書館の倉庫に眠っていた、
下記2枚のCD。
ここからウイグルへ
浸っていくのだ。

 

キャラバンの調べ~ウイグルの器楽
1 ムシャーブラクムカーム
2 グンドゥパイ
3 カーデル・マルラン(マルラン公社幹部)
4 タシュワイ
5 ヤルー(恋人)
6 ダワンチェン(大板城)
7 ディハンラー・マディア(農民讃歌)
8 豊作
9 ウッシャーク・ムカーム 第一ダスタン
10 ラクダの鈴の音
11 カルワン(キャラバン)
12 ラーク・ムカーム テザ間奏曲

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

レワープ:ダウティ・アウティ
バラマン:バーキル・トゥルディ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

 

オアシスの抒情~ウイグルの歌

1 タック・スーレイ(山水)
2 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(1)
3 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(2)
4 グリヤール
5 グレー・チスカン・ミニン・ヤレン(花を持つ恋人)
6 ティレック・ボスタン(生き生きとしたオアシス)
7 チャビアート・ムカームのチョンナグマン
8 白い泉
9 遥かなる道
10 トーガン・ジェル(ふるさと)
11 クォールケム・アルタイタウェ(美しきアルタイ山)

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

歌:パシャ・イシャ
レワープ:ダウティ・アウティ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
歌・ドゥタール・タンブル:マハムティジャン・シャキル
歌・ドンブラー:ダリルハン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

子供の映像、見つけた。

 


格好いい。ほれぼれする。

 

鎌田浩宮
日本でもテレビで、小学生くらいの子がギターやドラムスを演奏しているのを見かけます。その技量ときたら、僕やうちのバンドのドラマーを楽々超えてます。さてさてこの映像はフェイスブックの「ロンドン・ウイグル・アンサンブル」というページからなんですが、いいプレイヤーですね。

名無シー
こども と言うことで言うと、どこの国、地域だろうと、矢張り天性というものはあるでしょうね。音楽自体人間の発達と共に発展してきていますから、どの調律も旋法も和音やハーモニーも究極的には人間に親和性があります。


でもってこの子の場合、津軽三味線っぽさが前面に出てるよなあ!アラブ音階なんだけど、奏法が津軽なんだ。もーサイコー。ライヴ観に行きたい。


楽器もそうです。人間のために作られていて、人間の身体性と精神性を取り持つ橋としてデザインされています。ですが、矢っ張り、味覚の鋭い人や視覚が鋭い人がいるように、音感が鋭く、それが高い身体性と接続している人とそうでない人はいて、前者で、幸運にも早い段階でそれが分かっている人は、神童の道を歩むのでしょう。学問や囲碁将棋やスポーツと一緒ですね。


あ、それで言うと、ラワープはネックが細いので、子供でも演奏しやすそう。


フラメンコ・ギターのパコ・デ・ルシアは、未だギターに触る前の幼稚園児位の年頃の時、お兄さんがお父さんからギターの手ほどきを受けて苦戦しているのを見て、どうしてお兄さんがあんな簡単なことに苦戦しているか分からなかったと言っていました。一度も練習をしたことの無かったパコは、ギターを持ったその日その時からギターを普通に弾けたそうです。

 


スペインのパコ・デ・ルシア。2014年没。

 


一方、それだけではない要素もあって、すさんだ苦しみや、トンネルを抜けたような喜びの遠い空のようなものを歌に出来るかどうかなどは、音と言葉やイメージのアナロジーの問題、詰まり、ある感情や景色などを音としてはどんな風に感じるのかという総合的な感覚の問題で、上手に弾けるかどうかとはまた違う要素ですよね。


大多数の人が好むメロディーがあったりするし、多くの人が不快に思う不協和音があったりします。でもって、それらを踏まえたうえで映画に音楽を乗せたりもします。ある感情や景色に、音を乗せていくんですが、意外なメロディーがマッチしたりする。


神童が楽器を弾いているだけ、上手に歌を歌っているだけのレコードはそんなに食指を動かさないでしょう。ところが、楽器か下手な人が作ったものでも、魂に訴えかけるレベルの作品に仕上がったレコードは持っていたい。


親から無理やりやらされているのか、自発的にやっているのか、その音楽を好きなのか。その辺も音や顔に出ちゃうのかというと、意外にそうでもなかったりする。隠そうとするしないに関わらず、表層には一生出てこなかったりする。


或いは記憶を辿っても、クラフトワークのレコードのあのグルーヴ感は、当時まさか生で人がドラムを叩いているとは思わず、打ち込みかと思っていましたが、我々のグルーヴの壺にピタッと嵌まりました。

 


クラフトワークしかり、YMOしかり、意外とドラムスは人力だったりする。

 


神童かどうかは羨ましさも誘う反面、天は二物を与えないと言うくらいで、我々の何らかの理解はモナド的な重なり合わない固有のパースペクティヴによるところが多く、何かを羨む事には然程意味は無く、寧ろ、才能を持てる者、持たざる者が何らかの次元やチャンネルでは交流できるという事の方が面白い感じもします。


物質で言えば、原子よりも細かく分けることはできない…と言いつつ、科学が発展したら、それは可能になるかも知れない。そうではなくって、心や魂などといった分割不可能な1つの単位を、モナドと言います。細野晴臣さんが主宰していたレーベル「モナド」とはちゃいますねん。

僕の母はステージママになりたくて、俳優にさせようと無理やり僕を芸能事務所に入れたんです。小学2年だったか、アフレコかなんかの仕事であるスタジオに行った時、当時22歳のCharに会って、サインもらったことがあるんですよ!げっ!チャーだ!「気絶するほど悩ましい」のチャーだ!格好いい!ションベンちびりそう。

 


1977年の映像らしい。「ザ・ベストテン」放送開始よりも前になるわけだ。

 


チャーも神童と言われたけれど、22歳だと自覚的に活動し演奏しているはずでもあるが、歌謡ロックと揶揄されたりもして。自我の確立って大変。一生かかっても確立できない人、多かろう。


ちあきなおみの歌は、それを聞いて泣いてくれる飲んだくれあっての存在意義が、主成分です。神童が受ける喝采は、その喝采の中身、喝采する側の高い精神性に裏打ちされた視線の方が重要な気がします。


ぐわ。唐突にちあきなおみの名が。美空ひばりが岡林信康に接近したのは正調、さもありなんで分かりやすいんだけど、ちあきなおみが友川カズキに曲を依頼したっていうのは、グッと来るわあ。彼女「朝日のあたる家」歌ってるし。

 


格好いい。ほれぼれする。ちあきなおみ「夜へ急ぐ人」。作詞作曲友川カズキ。

 


あと気になるのはね、このウイグルの少年は、ロンドンで暮らしているのだろうか?であればジェノサイドからはとりあえず逃れられたのかも知れないが、異国の地で差別を受けたりしていないだろうか?この少年にとって、こんなにうまくなるまでラワープを学ぶって、どういうことなんだろう?


神童少年、多分先生はいるんじゃないでしょうか。亡命コミュニティはありそうな気もします。


色々調べてくと、ウイグル人は「子どもは歩きはじめると踊り出す。話しはじめると歌いだす」と言われるほどに、音楽と踊りを好むという話もありました。

 

ウイグルの弦楽器。サタール。

 


話をウイグルの楽器の話に戻しましょう。少年のソロの映像が貼ってある「ロンドン・ウイグル・アンサンブル」のページですが、ラワーブは矢っ張り津軽三味線のようなめりはりと切れの良い快活さが特徴的ですね。一方擦弦のサタールは長い音のなかで無段階的なベンドやコブシで中東的な雰囲気がある。

 


これがサタール。なんと!東京藝術大学 小泉文夫記念資料室YouTubeチャンネルより

 


サタールも、ウイグルの弦楽器。ネック、どえらい長いな。栗の木をくりぬいて作るらしい。弦は13本あるが、弓で弾くのは1本だけ。あとは共鳴弦ですって。サ=3・タール=弦という意味で、このサタールが日本の三味線のルーツという説がある。

 

ウイグルの弦楽器。タンブール。

 


タンブールではそう言う中東旋法的なものを半音階の速弾きで表現していて、マグリブ(編集部注:エジプトよりも西の北アフリカ地中海岸の一帯…モロッコ、アルジェリア、チュニジアを指す)辺りのウードゥの端正なペーソスに通じる臍の緒のようなものも感じさせました。

 


タンブール。Uyghur TelevisionのYouTubeチャンネルより

 


タンブールは、ヨーロッパのチターのような音色。ところどころ、マンドリンのようにトレモロ奏法。


リズムがレゲエですね。これは、日本の三味線の人がロックとかレゲエやるのと同じ様なあれですかね。外向きな、新しい時代の。

 


タンブール。

 


タンブール。やっぱりネック長すぎ。チューニングかなり面倒くさそう。あと、中東っぽかったり、中国っぽかったり、津軽三味線っぽかったりするラワープと同じで、演奏する人によって全然変わってくる。なので、2つの映像を挙げます。

 

ウイグルの弦楽器。ドゥタール。

 


ドゥタール。

 


そうかと思うとドゥタールは、歌を歌いながら弾くところも、そのバッキング的な弾き方もフォークギターを髣髴とさせますね。


なるへそ。右手はフォークギターのようにストローク奏法…バッキング的な弾き方なんだけど、ネックを押さえる左手の指があっちこっち動くもんだから、まるでアルペジオ奏法のような細かいメロディーとなっている。

このドゥタールはイラン発祥、ウイグルだけじゃなく、ウズベキスタンやタジキスタン、トルクメニスタンでも親しまれているそうで。ドゥ=2・タール=弦で、2弦という意味なんだって。


ウイグルの楽器は、ウズベクと共通するみたいですね。中東からウズベク経由で信仰とそれに付随する文化がウイグルに齎されたのでしょう。仏教文化時代は南からの文化受容があって、モンゴル帝国時代辺りから、中東の文化が西から入って来たと。

 

 

マグリブの弦楽器。ウードゥ。

 


ウードゥ。

 


先に比較で引き合いに出したマグリブのウードゥ。ちょっとウイグル音楽とは離れますが、イスラム音楽の東西と言うことで、文化的広がりを感じて貰うために紹介しますと、イベリア半島のギターのペーソスを誘発したのではないかと言う感じの、ペーソスと静謐さと緻密さをぎゅっと固めたような、そんな感じの楽器ですね。この辺はムスリム音楽文化の一つの頂点という感じもします。


あ、奄美大島の三線とおんなじ、細長い棒をバチに使ってる!ちなみに沖縄の三線は、水牛の角で作った爪を指にはめて弾きます。同じ三線でも、全然ちゃいます。

 

 

 

ウイグル音楽らしさ。ウイグルらしさ。

 


こうして、改めて色々聴いて行くと、ウイグル音楽には、地理的に極東と中東の間の中央アジアであることを象徴するように、中東らしさと極東に通じる部分が感じられますね。極東に通じる部分が、元々の極東らしさなのか、或いは中央アジアらしさが中国に入ったのかは色々調べなければ分かりませんが、一つ参考になるのは、唐代の中国は西方の文化受容に積極的であったことが、唐三彩で駱駝や西域の人々の特徴を持つ人物がモチーフになっていることにも見て取れそうです。

 

たくさん乗りすぎ!
7世紀末から8世紀初め、
唐の陶器「唐三採」でござんす。

 


そしてモンゴル帝国時代には、政治的支配による文化の変容もあったかも知れませんね。


支配と文化と言うと、日本でも古くは東北弁とかもそうですね。元々は板東の言葉、所謂あづまことばですが、板東の人々を編成して作った朝廷軍が東北に攻めてきて、三十八年戦争や前九年後三年の役などを通し支配が確定して行く中で、それまで話されていた夷語に取って代わられていったわけです。


言葉を奪う為政者ってぇのは、国内外いつの世にもおるもんですな。ちなみに箱根・足柄峠より東の国を「坂東」と呼ぶんです。


戦後の日本人がパンを食べるのもアメリカ支配による文化の変容です。戦後、アメリカは国内の小麦を捌くために、日本で移動バスのパン焼き教室まで展開しました。


となると、ウイグルの方々にとってイスラム教は比較的新しい文化なんですね?


ウィグルと言うより、世界全体にとって、イスラムは一番新しい世界宗教、文化なんです。

勿論文化的側面は何も無いところにいきなりぱっと出て来るわけではないので、以前からの文化と流入文化の融合があって、今があると。仏教時代にどんな風に暮らしていたかを調べるのも楽しいでしょうね。


今のウィグルの悲劇を思うと、中国の独裁的政治だけではなく、トルコの大トルコ主義に基づく動きの影響もあるのだろうかと、気になりもします。中国がそれに強く反発していると。

 

 


次回予告。ウイグルの絶品、ラグメンに迫る。東京でただ1軒のウイグル料理専門店・シルクロード・タリムに行ってくるかも!

 

謎が謎呼ぶ!pt.5へ続くっ!


2021.03.04

和む!ウイグルの音楽 pt.3 ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

構成・文/名無シー・鎌田浩宮

 

 

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ウイグルの音楽を、聴いてみようじゃありませんか。
音楽で、ウイグルを訪ねてみようじゃありませんか。
東京芸大や博物館、ウイグル料理屋さんに寄り道しながら。
その道の大家に、話を聞きに行ったりして。
きっと、弾む旅になるでしょう。
時間は、たっぷしありますよ。
さあ、一緒に出発しましょうぞ。

 

 

 

 

最初の手掛かりは、
図書館の倉庫に眠っていた、
下記2枚のCD。
ここからウイグルへ
浸っていくのだ。

 

キャラバンの調べ~ウイグルの器楽
1 ムシャーブラクムカーム
2 グンドゥパイ
3 カーデル・マルラン(マルラン公社幹部)
4 タシュワイ
5 ヤルー(恋人)
6 ダワンチェン(大板城)
7 ディハンラー・マディア(農民讃歌)
8 豊作
9 ウッシャーク・ムカーム 第一ダスタン
10 ラクダの鈴の音
11 カルワン(キャラバン)
12 ラーク・ムカーム テザ間奏曲

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

レワープ:ダウティ・アウティ
バラマン:バーキル・トゥルディ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

 

オアシスの抒情~ウイグルの歌

1 タック・スーレイ(山水)
2 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(1)
3 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(2)
4 グリヤール
5 グレー・チスカン・ミニン・ヤレン(花を持つ恋人)
6 ティレック・ボスタン(生き生きとしたオアシス)
7 チャビアート・ムカームのチョンナグマン
8 白い泉
9 遥かなる道
10 トーガン・ジェル(ふるさと)
11 クォールケム・アルタイタウェ(美しきアルタイ山)

新疆ウイグル自治区歌舞団
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歌:パシャ・イシャ
レワープ:ダウティ・アウティ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
歌・ドゥタール・タンブル:マハムティジャン・シャキル
歌・ドンブラー:ダリルハン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音

 

 

 

インスタグラムを、見つけてしまった。

 

鎌田浩宮
ウイグル音楽について、掘って掘ってどんどん掘って。インターネットの中に、まだまだあるぞ未知の領域。細野さんじゃないけど、頭クラクラ・みぞおちワクワク・下半身モヤモヤです。遂に、ウイグルのインスタを見つけちゃった。今風だよなあ。投稿数4000点超え。見応えばっちし。ほんの時折、中国批判もあり。彼らの文化を、簡単に知ることが。

 

 

名無シー
中国内の情報も、大紀元とか海外に拠点を置くサイトを経由して、大連のコロナ対策で生きた人が住んでいるアパートの入口を鉄板で溶接して閉じ込めたりしている住民撮影の映像がリークされたりしていて、指導部のネット規制の裏を掻こうと市民も色々がんばっているようですね。


そうですね。この連載も、大っぴらに中国批判を掲げたいけれど、そうしちゃうとウイグルの方々が、容易にこのサイトへアクセスしにくくなる。だから、その辺りは考えながらやりたい。まずは、ウイグルの方々と僕らの広場、遊び場にしたいんです。

 

 


法輪功の人達の中には教養もデジタルリテラシーも高い人などもいて、2020年に日本でも劇場公開された映画「馬三家からの手紙」はそう言う草の根の闘いが絵描かれていました。ウイグルの人達にとっても状況は同じで、在外ウイグル人達とのネットワークを通して世界と繫がろうと言う動きがあるかと思いますが、寄らば大樹的に卜ノレコの情報筋もそこに噛んでいる場合もあるのかも知れません。

 

 


市民の闘いは、一人一人は小さな市民ですから、立場を保つのにも兎角難しい問題があると思います。それは、日本とて同じものがあるでしょう。言い寄ってくる甘言の裏にあるものを見抜くには様々な知識が求められるところもあると思います。


香港の方々とも繋がりたいんだけどさあ…グスングスン、容易にできない。だからこそ、巧妙に狡猾に進めたいですね。

 


ウイグルの楽器、ラワープ。
胴には、蛇の皮が張られていますね。

 

 

ベゼクリクの、加山雄三さん。

 


さてさて、ラワープの演奏に話を戻そうではないか。これは2009年かな?ウイグル自治区内・ベゼクリク千仏洞で、旅行者が撮影したもののようです。こんな凄腕、街角でごろごろしてるんだろうか?すごいぞ。左手を、フレットレスのようにスライドさせる。高音域で速弾き。この点が、津軽三味線に似たサウンドを醸し出しています。


中央アジアの加山雄三ですね、これは。音階は微妙にイスラムっぽさもある。


ある曲を演奏しているようでもあり、手癖でアドリブで弾いているようでもあり!


歌心が作った歌というより、楽器と奏法に引っ張られて曲が出来る感じでもありますが、歴史上も、その癖みたいなものは一旦一つの音の特徴として認識されるや常に新しい歌心になって、新しい歌を開拓する原動力になって来たでしょうね。そもそも調律もそうで、アイヌのウポポなどを聴くと、音階的楽器に影響される前の原初の歌心を感じさせます。

 


アイヌにはトンコリという弦楽器…音階楽器を用いる曲がある一方、
音階楽器を用いない曲・歌謡も多い。

 

 

私たちは、寺内タケシだ。

 


ところで加山雄三ですが、これなんかを聴くと、明らかに津軽三味線に引っ張られていますね。デイストーション加減や単音の4連符の短い切れの感じは非常に三味線的です。


ああ、そうか!若大将シリーズには、しょっちゅう寺内タケシがバンドメンバー役で出演してるんです。寺内タケシといえば、ベンチャーズによって日本に広まったエレキギターの第一人者。その後、日本の民謡を演奏してレコード化してますもんね!加山さんも、彼から多大な影響を受けています。名無シーさん、流石鋭い。

 


永遠の若大将。

 


日本エレキの先駆者は、やがて民謡に手を伸ばした。

 

 

音楽を伝承するには。

 


民謡の洋楽器再生で、民謡も変質したわけです。十二階音階の民謡になっていった筈なのです。五線譜に書き留め、フレットのある楽器で演奏することで、田畑や山や舟の上で歌われた、風雪と親和性のある古い歌心は、音符と音符の隙間から、往古の方へ消えていった筈でしょう。


それで思い出すのは、僕が敬愛している大友良英さんです。福島県広野町で廃れてしまった盆踊りの音頭を復活させようと、地元の若い方々が奮闘するんですね。残った音源(カセットテープとかかな)を聞き取り、笛のメロディーを五線譜に書き起こすことから始まるんですよ。そこから色々あって、最終的に大友良英スペシャルビッグバンドがリメイクに携わるんですが。

広野の若者はもちろん笛を吹けないので、とりあえず譜面に起こすしかない。古い歌心を伝承するのって、難しいのかな…?

 


伝承の一例です。
ちなみに鎌田、2度ほど二風谷を訪れてます。

 

 

そもそも、昔のチューニングは分からない。

 


この譜面が、我々と過去を分かつわけです。酷い場合は全てよさこいになってしまう。こう言う発想が、北宋期に唐代の音楽を探し求めた歐陽脩『新唐書』の「禮樂志」などにあって、唐の時代からの音楽を伝えているお爺さんに会いに行ったら、死んでました~!みたいな。


よさこい。全国230地域で開催されてるらしい。


宋代は軍事を縮小してでも文化を盛り立てようとした文治政治で有名ですが、そうした文化への情熱は質量共に凄まじいものがあり、それは先行する唐代の文化の隆盛への、元のものが失われつつある状態からの憧憬と言う特殊な状況も関わっていたと思われます。


宋の時代に、唐の時代を調べとるのか!すごいです。


唐代には唐代の音階での楽譜の記録が始まった時期ですが、それがどんなチューニングだったか、宋代の人達には判らない。チューニング研究に熱が入り、十二階音階が生まれたのも頷けますが、それは古楽には諸刃の剣となった訳です。エクリチュールはフォネーそのものではないのです。但し新しいものは生まれます。ラバーブが形を変えて新しい曲を作った様にプラス面、未来の面を見れば、それは豊かさでもあります。

編集部注:エリクチュール…書かれたもの、書くことを指す言葉。フォネー…声を指す言葉。

 


フレットのない楽器の例として、フレットレスベースの音を聴いてみましょう。

 

 

フレットのある楽器は、音楽を伝承するのか。

 


ウポポは音階楽器を使わない。音階楽器を用いる音楽の伝承とは、異なるのかしら?


楽器があれば、楽器自体の扱い方が楽譜のような記録的性質を発揮します。フレットのある楽器ではハーモニクスをちゃんと確認して調律すれば、同じ弾き方の曲はおおよそその曲として伝わるでしょう。現代の楽器が堅牢なフレームなどを追及したのはそう言う恒常性を志向しているわけです。


日本の三味線はフレットレスの楽器ですが、そこへ敢えて便宜的に数字を当て込んで、譜面にしています。1664年に発行された「糸竹初心集」が最古の譜面だそうです。現在三味線の譜面はおよそ3種類あり、下の写真のように当てどころを示してます。

 

 

 

周波数以外。

 


音階楽器を使わずに伝えられるものは音階に関して、現代的な周波数以外のところに重きを置いていた可能性もあるのではないかなどと妄想してしまいます。例えば魂が乗る響きとかそんな何か。


大好きなクドカンの「俺の家の話」。すごいぞ長瀬くん、能とプロレスの2つをマスターしながら演じてます。ざっくり言ってしまえば、能もプロレスも口承伝承の割合が大きいのかな。能には「謡本」というものがあり、台本に節回しまで記されています。

 

クドカンも長瀬くんも、凄いところに挑んでいる。
例えば1799年、宝生流謡本 内貮拾巻 高砂~百萬。

 


師匠の西田敏行が、長瀬くんら弟子に稽古をつけるんだけど、弟子によりエコひいきがすごくって!これも口承伝承だなっ、師匠次第でどうにも変わるなって、げらげら笑って観てます。ただ、能独特のおどろおどろしい声色ってえのは、カセットテープやSP盤で伝承するわけじゃなし。まさに「周波数以外」に重きを置き「何ものかを乗せる響き」にしていくんでしょうね。


それと、楽譜の弱いところは、他にもグルーヴを記録できないとか、ありますね。蠟管以降のレコードやテープ、コンピュータで使う緻密な記録なら、チューニングの問題もグルーヴの問題も記録できますから、福島の若者達は楽譜を使わず音データ耳コピの方が本当は理想的でしょうね。

 


2017年、福島県広野町での盆踊りの様子。

 

 

皆、元気でな!

 


我々が今辿ろうとしているのも、現代中国の指導部が破壊しようとしているいにしえのウイグル文化ではありますが、ウイグル人の若者達が打ち込みで地域性バリバリのラップとか畳み掛けている映像があったら、それはそれで聴いてみたいですね。


です!今、探し回ってますです!なかなか見つかりませんです!


地域系ラップの良いところは、嘗てはダサいとか言われそうな、訛りとか、地域経済の置かれた抑圧など、現地の空気、現地の気骨が伝わってくるところでしょうね。世界の平行性、あり得べきヴァリエイションの可能性を感じさせてくれて、どこかSFに似たクリティシズムがありますね。


以前テレビで、福島のラッパーを観ました。外見はギャングスタっぽいんだけど、原発事故に対する怒りがあって、ライムに力がありました。そう、気骨!


等と、大分横道にそれましたが、今ウイグルで壊されようとしているものはそう言う、世界の可能性であって、それを担う人々の命なので、必ずしも本質的にはこの話も的外れではないと信じます。


そうですよね!この度の連載、ウイグルの伝統音楽にこだわる気はなく、現在のウイグル音楽を探るのも本当に楽しみです。


そんな若者たち、彼等に伝えるもののあるお年寄り達、父や母や子供達、皆元気でいて欲しいですね。


そこへ行きつきますね!

謎が謎呼ぶ!pt.4へ続くっ!


2021.02.23