応募作品#5 我が家の家電製品

編集・鎌田浩宮

 

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
「エプスタ随筆大賞」

政府が、ダメダメです。
そんな状況なので
こっちの方が楽しいよと
コモンな遊び場を提案していきます。
さあ、随筆大賞です。

 

 

題・我が家の家電製品
著・鎌田浩宮
テーマ・お楽しみはこれからだ

 

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先日、ヴィデオデッキ(ハードディスクレコーダー)が壊れた。テレビがデジタル化となるので、それまで使っていたアナログ対応デッキが使えなくなり、2011年あたりに買い換えたものが、ついに壊れたのだった。購入してから、9年か…。

NHK-4Kで面白そうな番組もやっているし、今回は、思い切って4K対応のデッキを買った。渋谷のヤマダ電機。店員さんに相談するのも好きだし、ポイントの他に沢山おまけをつけてくれるので、他社ネット通販とかよりも安くなると思う。今回も、電卓を度々叩いて安くして下さった。確か前も、おまけで洗濯洗剤をいただいたんじゃなかったかな。

帰宅して、色々試してみて、やっぱりそうだった。

我が家のテレビはブラウン管なので、RCAピンプラグしか差し込めない。今回のデッキには、RCA出力はない。映像出力はHDMIのみだ。

このテレビは、長持ちしている。中学3年(YMOが散開した1983年)の頃、母と弟で今のマンションに引っ越してきて、そこから使い続けているものじゃなかったかな。

その後、母と復縁して父戻る。高校1年。
その後、2度目の離婚。父が家を追い出された。20代前半。
その後、弟が結婚をしてこの家を出た。20代中盤。
その後、母が再婚をしてこの家を出た。20代後半。
そして僕だけがこのマンションに残り、今日まで暮らしている。

記憶がしっかりしていないんだが、1983年からこのテレビだったとすると、37年使い続けている。

自転車で、最寄りのコジマ×ビックカメラへ。HDMIとRCAを中継できるコンバータがあった。無理やりに売りつけず、「ちゃんと映るか保証できませんよ」と親切におっしゃって下さったが、これに頼るしかない。買った。帰宅してつなげると、画角が16:9ではなく4:3に変換されてしまったものの、映ってくれた。

ブラウン管で、4K映像を観る。これが4Kか。4Kをアナログテレビで観るのか。ナム・ジュン・パイクは、我が家の茶の間に在り続ける。全てがやや細長く映るものの、気分がいい。

それにしても、我が家はなぜ、壊れないのだろう。赤ちゃんの頃からある少々の食器。棚。加えて、家電製品が壊れない。

電子レンジは、大学生の時分に買ったものだ。いくら貧困家庭と言えども電子レンジくらい買おうと親に頼んだものだ。これが、壊れない。職場や友人宅で電子レンジを見ると、1分/100gとか、600Wか500Wかと、複雑で使い方が分からない。我が家のものは「レンジ」「解凍」の2つしかボタンがない。あとは、タイマーを回すだけだ。

冷蔵庫も、35年ほど使っていたものだ。一昨年ついに冷気が途絶え、渋谷のビックカメラへ。修理費はどのくらいになりますでしょうかと訊くと「メーカーに35年前の部品はないので、修理はできないかと存じます…」とお答え下さった。言われて、その通りだと思った。35年前の部品など、あるわけがねえじゃねえか。冷蔵庫は、5年か10年で故障し買い換えるんだぞ。お店の方は、巌窟王に説明するかの様だったろう。(これはさすがに買い替えましたよ)

エアコンは、幼稚園の頃(「HOSONO HOUSE」発売の1973年)買ったもので、かなりのフロンガスを吐いていた機種。東日本大震災のあった2011年、冷風が出なくなったと思い、買い替えた。しかし、電気屋さんが取り付けに来た時、驚いた。エアコンは、電源コンセントが抜けていただけだったのだ。本当は、まだ使えたのだ。38年を越えても、使い続けてみたかった…。

先日、東京ガスの方が定期検査に来た。ガスコンロのホースを、無償で取り替えて下さった。さらに、コンロ本体を手入れして下さった。「さっきは炎が赤かったでしょう?根詰まりを除去したので、炎が青くなりましたよ」と、笑顔の検査員さん。こちらも気分がいい。ヤマダ電機の方といい、コジマ×ビックカメラの方といい、ビックカメラの方といい、最近は親切な方ばかりだ。

その夜、ガスコンロをひねると、ガス漏れの臭いがした。一時的なものかと思ったが、漏れは収まらなかった。コロナの事もあり、しばらく放置していた。が、ついに先日、東京ガスの別部署に電話をし、無償で貸出機をお借りすることになった。その際、担当の方は訝しがった。「検査員は、コンロに触れること、修理に関することはしないのですが」と。

定期検査の方は、37年以上前の製品に触れる機会なんぞ、なかったのではないか。しかし、そこでたじろぐことなく、根詰まりを直して下さった。さらば、マニュアル化された世界。本来のサーヴィスとは、検査とは、これだ。Good Morning Mr.Orwell.

だが、他の箇所からガス漏れするようになってしまった。初老の糞爺からクレームまがいの連絡を受け、彼は減給や解雇などされていないだろうか。恩を仇で返すようなことになってしまい、申し訳ありません。

なぜ、エアコンの電源を外していたのか?3月に震災の経験があって、漏電による火災を防ごうと思ったからだった。その時、我が家には浪(なみ)という名の猫がいた。その当時から17年前(細野晴臣監修CD「ecole」発売の1994年)に拾ってきた。息子であり、恋人であり、親友だった。老猫なうえに震災で体調を崩し、頻繁に嘔吐していた。真夏の暑さをどうにかしようとエアコンのスイッチを入れても、作動しない。浪は大丈夫か。気が動転して、壊れたと思い込んだのだ。

あれ?当初は、家電製品の長持ちについて書くはずだった。いつの間にやら、浪の話になってしまった。

僕の同級生のほとんどは、結婚を機に家から独立した。新しい家具や家電製品を買って、賃貸住宅に引っ越した。その親たちも、郊外の分譲住宅を購入し、引っ越した。その際、家電製品を買い替える。気分は一新する。当たり前だが、子も親も、離婚や復縁をそれほど繰り返さない。家は、住み続けない。倅が巌窟王になったりはしない。

僕は、気分を一新しない。浪が亡くなってから、なるべく家の中を変えないようにしている。もったいないとか、ケチだとか、古いものが好きということもある。あと、僕はもう初老で、耄碌しかけている。どんどん、浪のことを忘れていく。なので、なるべく忘れないように、家の中を変えないでいる。気分を一新するよりも、その金で映画を観たりした方がいい。

 

 

募集期間を延長しました。ぜひ、ご応募下さいね。

 

ブログ・エプスタインズ創刊10周年記念特別事業
エプスタ随筆大賞
応募締切:2020年10月11日(日)
ジャンル:随筆
形式:Microsoft Word または googleドキュメント
   ペンで紙に書いて、または点字などの郵送も歓迎です
枚数:制限なし
テーマ:以下の6つの中から選び、応募下さい。
   ・お楽しみはこれからだ
   ・おれは悪くない
   ・三等同僚
   ・死ぬのは奴らだ
   ・ビッグトゥモロウ
   ・耄碌と恍惚
賞品/賞金:後日発表
賞一覧:・大賞
    ・投票による読者賞
    ・裸の大賞
    ・若大賞
    ・青大賞
    ・のんき大賞
    ・Mr.BOO!ギャンブル大賞
審査員:高橋紅(くれない)
    高橋基(もとい)
    スズキスキー
発表:2020年10月吉日
応募先:info@epstein-s.net @を半角に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

 

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2020.10.07