コロナウイルスvs映画館 第1回

文/名無シー・鎌田浩宮
構成・一部写真/鎌田浩宮

 

 

僕(鎌)はぶっちぎりに楽しかった連載、
「『パラサイト」でど突け」。

全く、反響がない。
いい。
それで、いい。
語りたいことは、
山ほどあるのだから。

9年目の東日本大震災と、映画「風の電話」「Fukushima 50」。
日本アカデミー賞と、「新聞記者」。

その前に、コロナウイルスと
映画館について、語りたい。

NHKのサイトが
コロナウイルスについて
まとめているので、
加筆をせずに抜粋してみる。

続いて、
WHOの見解を、
加筆せずに抜粋。

最後に、
通常のインフルエンザについて、
厚生労働省のHPから、
加筆せずに抜粋する。

 

 

WHO調査報告書 症状の特徴・致死率など詳しい分析明らかに(NHK NEWS WEB)2020年2月29日より

この報告書は、WHOが派遣した各国の専門家や中国の保健当局の専門家らによるチームが現地で調査にあたり

感染者のおよそ80%は症状が比較的軽く、肺炎の症状がみられない場合もあったということです。

重症や死亡のリスクが高いのは60歳を超えた人や高血圧や糖尿病、それに、循環器や、慢性の呼吸器の病気、がんなどの持病のある人だということです。

逆に子どもの感染例は少なく、症状も比較的軽いということで、19歳未満の感染者は全体の2.4%にとどまっていて、重症化する人はごくわずかだとしています。

全体の致死率は3.8%でした。

致死率は高齢になるほど高く、80歳を超えた感染者の致死率は21.9%と5人に1人に上っています。

特に、合併症の患者は致死率が高く、
▽循環器の病気がある人は13.2%、
▽糖尿病が9.2%、
▽高血圧が8.4%、
▽慢性の呼吸器の病気が8.0%、
▽がんが7.6%となっています。

 

 

 

 

新型コロナ「インフルほど感染力高くない」 WHO見解(朝日新聞DIGITAL)2020年3月4日より

季節性インフルエンザと比べて感染力は高くないとの見解を明らかにした。一方で重症化する患者はより多く、致死率は3・4%とインフルエンザより高いとも指摘した。

 

 

 

 

新型インフルエンザに関するQ&A(厚生労働省HP)(2011年3月31日現在までの情報)

Q10.
通常の季節性インフルエンザでは、感染者数と死亡者数はどのくらいですか。

例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いると言われています。
国内の2000年以降の死因別死亡者数では、年間でインフルエンザによる死亡数は214(2001年)~1818(2005年)人です。
また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されています。

 

 

 

 

地方映画館、危機か。

 

鎌田浩宮
こんばんは。ちょっとだけ、ご無沙汰しています。最近の映画館、コロナの影響などはいかがですか?

名無シー
作品にもよるかと思いますが、矢張り客足は鈍い感じがします。大手はいいとして、小さいところは倒産しないように必死だと思います。この期に配信の契約をした家庭も少なくないと思いますが、それだけに、自分はきっちりうがい手洗いなど予防策を講じ、マスクして観に行っています。しかし、マスクもせず咳をしている人などもいて、困ったもんです。


なるほど…ありがとうございます。興行成績は、映画館にとっても、配給会社、製作会社にとっても響きますものね。

 

 


配給迄は最悪配信の分もあるかも知れませんが、映画館が潰れてしまうと、スクリーンで上映できる映画がどんどん減って、非常に悲劇的な状況になってしまうでしょうね。元々綱渡りの川越スカラ座の様なところは、本当に危機的な状況と思います。


そうか…地方のコヤは…。


あそこは昭和30年代のタイムカプセルとして貴重な映画館なので応援したいですが、なんせ遠いという。

 

 

銀幕前で、喫煙。

 


今はケイズシネマがあるところ、ヤクザ映画の昭和館だったんです。僕が行った時、お客さん、タバコ吸いながら観てました。映画館=自由な場所 というイメージのある人は、マスク着用も…


あそこから駅側に出た丁字路の突き当たりにピンクもありましたね。うちの田舎にも子どもの頃は、映画館通りと呼ばれるエリア以外にも町中あちこちに映画館があって、銭湯に日付か何かのパンチを打った映画のポスターが貼ってありましたね。生き残った映画館が、それらの映画館のように映写機の灯を落とす等という事になるのは淋しいですね。

 

 


ピンク、ありましたね!高校生の頃、見かけました!


あ、あの辺は、高校生かまちゃんのホームグラウンドでしたね!


覚えていてくれてありがとうございます。文化祭の打ち上げは、歌舞伎町の居酒屋でした。僕は制服が嫌いで普段から着てなかったんですが、制服の者はそのまま飲みに来ていました。

 

 

底辺的文化、御苑、米軍。

 


フリーダム! 貨物ターミナル跡と新宿高校の間に木賃宿街ありましたね。あそこのお客さんなんかが、あの辺の映画館を利用したかも知れませんね。今ではあの昭和の残像もいずこと言う。


よくぞご存じで!嬉しいです。あの木賃宿の辺りはまだ残っていて、今でも時折散歩します。


おお! いいですね!

 

 


さすがに、新宿高校から徒歩1分で行けた「新宿トルコ」は、その後「新宿ソープ」と名前を変えたんですが、今はもうないんです。


中学生の時、先だって物故した兄に連れられて、あの辺を歩きました。御苑に行ったのでした。なお、勿論トルコには行っていません。


東京にお越しだったんですね。


親族が多数東京におりましたので、遊びに来たりしていました。御苑という皇室の砦の周りを、貨物ターミナルから湧き出してきた戦後物流の底辺的文化が取り巻いているという。緩衝地帯の新宿高校。

 

 


でもって、代々木公園周辺は、米軍連中の家があったんでしたっけ。


飛行訓練場が米軍に接収されて。光が丘や狭山のアメ村と同じですね。細野ハウスの。


去年のNHK大河「いだてん」。僕は大好きだったんですが、代々木の米軍連中からなんとか策を練って土地を奪回し、オリンピック会場としていく様子が描かれていました。

 

 

史実と、誇張と、主観。

 


テレビ無いので見ていなかったんですが、あれ、映画撮っている知人もまたやんないかなあ、みたいなこと言っていました。一方まやかしの復興?五輪……


クドカンも、演出の井上剛さんも、音楽の大友さんも、あの頃の五輪と変わっちまったじゃねえかという思いを、描こうとしなければしないほど、客観的に史実に忠実に描こうとすればするほど、自然に滲み出てしまうことに、関心があったんだと思います。


なる程。


そのことに加え、ベルリンオリンピック、ヒトラー、東京オリンピック返上、国立競技場学徒出陣。この辺りを、しっかりと描いていました。阿部サダヲさんや綾瀬はるかさんが、客席から学徒を見つめる姿。万歳三唱をしながら、例えようのない表情。そこだけを観ても、スタッフ陣の意気が伝わりました。

学徒出陣の空気と、安倍やトランプがふりまこうとしている空気。どこが違うんだい?ということです。スタッフ陣にその意図がなくても、自然に滲み出るんです。


返上された方の五輪と今五輪のダブルイメージ、とてもいい視点ですね。さて、今五輪はコロナと切り離せないし、下水の水質チェックでは耐性菌は調べていなかったとのことで、感染症、疫病五輪という感じですね。オリンポスの神も、被災地も、疫病神に抱き付かれた感じありますね。疫病神と言うのは誰かと言えば……

 

 

不安になれない。

 


僕自身は、コロナウイルスについて公の場で話すことを、これまで控えていたんです。テレビは、視聴率を取れるもんだからコロナばかり。しかも、まともな報道ではないんです。煽る報道。この方が、数字を取れる。

夜6時のニュース。何チャンネルでは、どこそこの市町村で初めて感染者が出た、何チャンネルでは、初めてこんな職業の方で感染者が出た。

阿呆か。

正しい知識を持たない視聴者は、不安を増加するばかりです。僕は、この渦中に加わって、SNSで自分の考えや意見を述べても、あまり世間には作用できないなと思ったんです。まあ、ナンチャッテ隠居初老を気取っていますし。僕が何かを述べるより、専門家や専門団体の説明や声明のみを追いかければ、冷静にされる、正しく怖がることができる。

 

隠居仲間、様々な対応。

 


冒頭に挙げた報道を読めば読むほど、どこをどう不安がればいいのか、分かりませんでした。ただし!ご高齢の方や、糖尿病やガンなどで免疫機能が低下している方と接する際は、僕も十二分に配慮しなくてはなりません。僕自身、発症していないだけで、保菌者かも知れないからです。

一方、僕が普段接している隠居仲間、独居老人…70代後半の方々なんですが、お一人からは、感染が怖いので僕と外で飲むのは控えると言われました。もう一人からは、感染を気にしていないとのことで、酒にも花見にも誘われています。

ただし、感染が不安だから酒の席を断った、僕の隠居仲間。彼女を優先すべく考えると、僕らの社会から彼女たちを切り取ってしまうのではなく、保菌者かも知れない僕らは家の中に待機し、彼女たちが不安なくのびのびと外食する…そういった話であれば、理解できます。

同じく、内臓疾患などで免疫機能が低下している方が、のびのびと不安なく外食できる、今回の話で言えば、不安なくコヤで映画を観られる…そういった仕組みを取れたらいいな、と思います。

十把一絡げに何でも閉鎖は、エビデンスのない話かと…。特に学校の休校は、頭の悪い総理大臣にしか思いつかない魂胆だと思うんです。

 

 

未知に対する対応。

 


新型コロナで重要なのは、未知の部分が多いという事だと思います。武漢で死者が出始めていた頃も、WHOからは人から人にはうつらないと言う極めて楽観的な情報が出ましたし、後にDP号への杜撰な対応を指摘した岩田氏も、当初、DP号視察の前の頃は割と楽観的な事を言っていたと記憶します。

そうした専門機関、専門家がどんどん言を翻して来たのは、一重に新型コロナが未知のウィルスだからでした。当初は眉唾視されていたエアロゾル感染の可能性が研究者によって評価されたのはやっと一週間程前です。


香港のアグネス・チョウさんは、かなり早い時期から空気感染だと、ツイッターで発言していましたね。


急激な死者数の伸びとの関連も取り沙汰されている抗体依存性感染増強現象の有無は未だ解明されていませんが、タイでは同特性を持つHIV治療薬をタミフルとカクテル療法的に投与して効果を上げた等というニュースもありました。

 

子ども。

 


向き合っている者が未知のウィルスですので、死ぬわけに行かない人々はその最悪のシナリオを想定して行動して当然だと思います。

私の飲み友達達は今のところ集まって飲むのを控えています。仲間の中に小さい子どものいる家庭があり、そうでなくても彼は昨年やっと独立して店を構えたばかりで、この商売をうまく軌道に乗せなければならないのっぴきならない状況なので、状況の中の不安要素を我々が高めることは出来ません。経済が、彼の家庭、子どもの中期的な未来に実際に打撃を与え得る訳です。


その人に自分の意見をぶつけるのではなく、その人の言うことを聞く。大事な事ですよね。僕も元来押しつけがましい人間なので、気を付けなければと思っています。


神経過敏だと思われる方々の対応も、基礎疾患の有無、彼等の家庭環境、子どもの有無、死ぬ前にしておかなければならないことの進捗状況、借り入れの有無等を想定すると、尤もだと言えるところがあります。

 

 

映画館を潰したくない。

 


そして、映画ファンとしての自分は、映画館を潰したくないと言う事があります。巨大資本が運営しているシネコンでも、そこで働いて生計を立てている人はいます。今路頭に迷えば他の業種でも直ぐに仕事が見つかるわけでは無いでしょう。

サービス業は割に深刻だと思います。また、映画館の経営者側についても、中小のミニシアター系の映画館は厳しい状況だと思います。業績悪化に伴ってスタッフを簡単に馘首には出来ないし、とにかく早く疫病が去るのを望んでいるはずです。


エプスタインズで連載中、元映写技師・現野宿者の嶋さんはなぜ失職したのか…を思い出します。


ファンである自分は、とにかく個人で出来る予防を頑張りながら、映画を見続けたいと思っています。

3/28から営業を再開する予定の早稲田松竹では、感染騒動の前から予定されていた番組で、クリス・マイケルの「ラ・ジュテ」を上映予定です。同作は地上で生活できなくなった人類の話で、テリー・ギリアムの「12モンキーズ」の下敷きになった話です。

この番組は何だか予見的なタイムリーさを以て上映予告がなされ、非常に象徴的でしたが、我々はその映画を、自分達の未来がどちらに傾いて行くか判らないまま観ることになりそうです。

第2回へ続きます…



2020.03.21